HPの『HP Pavilion 15-eg2000』(以下、”HP Pavilion 15-eg”)は、15.6インチサイズのディスプレイを搭載する据え置き向けのスタンダードノートPCです。CPUはだい12世代Coreプロセッサで、中上位モデルには高性能なPシリーズが使われています。薄型ノートPCとしてはなかなか高性能で、しっかり作業したい人向けです。
本体デザインは高品質で、据え置き向けとしてはスリムな点がポイント。高級感のある仕上がりです。しかしディスプレイが格安ノートPCレベルで、色合いと鮮やかさが物足りません。とは言え内容は普通に見えるので、映像品質にこだわらないなら問題なく使えるでしょう。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
HP Pavilion 15-eg
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
ディスプレイ | 15.6インチ 1920×1080 IPS 光沢 タッチ対応 |
CPU | Core i3-1215U / Core i5-1240P / Core i7-1260P |
メモリー | 8GB(4GB×2) / 16GB(8GB×2) DDR4-3200 ※最大16GB |
ストレージ | 256GB~1TB NVMe SSD |
グラフィックス | UHD(Core i3) / Iris Xe(Core i5 / i7) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.2 |
インターフェース | USB Gen2 Type-C×1(USB PD / 映像出力対応)、USB Type-A×2、HDMI、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅360mm、奥行き234mm、高さ17.9mm / 約1.71kg |
バッテリー | 最大 7時間30分(Core i3) / 最大 7時間(Core i5/i7) |
本体デザイン
外観は、なかなか洗練されています。直線的なフォルムで、スリムかつシンプル。15.6インチタイプのスタンダードノートPCは大きくて野暮ったくなりがちですが、HP Pavilion 15-egはスタイリッシュな印象です。
サイズと重量
見た目はスリムでスタイリッシュですが、サイズそれほどコンパクトではありません。大きいわけではないものの、ほかの15.6インチタイプや16インチタイプでは、もっと小さな機種もあります。ただそれらは総じて値段が高く、その意味ではHP Pavilion 15-egは手頃なわりに小さめです。
ディスプレイについて
本体の外観は高品質に感じますが、ディスプレイの映像がチープです。鮮やかさはいまひとつな上にやや暗く、全体的に黄緑色が強く(赤みが弱く)見えます。格安ノートPCと同じパネルが使われているのでしょう。筐体も性能もいいのに、この部分は残念。
キーボードについて
キーボードはいい意味で”普通”です。日本語配列に違和感はなく、ノートPCにありがちな変則的なキーもありません。テンキーはやや小さいもののついており、数値入力時に活躍します。タイプ感も標準的で、”普通”に使えるキーボードです。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-1260P(12コア16スレッド、28W) |
---|---|
メモリー | 16GB(DDR4-3200) |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUは、第12世代のCore i3-1215U / Core i5-1240P / Core i7-1260Pです。Core i7-1260P搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、シングルコア / マルチコア共に非常に優秀な結果が出ました。同CPUの平均値を上回るスコアで、薄型ノートPC向けCPUとしてはトップクラスのパフォーマンスです。大作ゲームや高度な動画編集には向きませんが、たいていの処理は快適にこなせるでしょう。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 6800U |
10183
|
HP Pavilion 15(Core i7-1260P) |
9794
|
Ryzen 7 5825U |
9740
|
Core i7-1260P |
9254
|
Core i5-1240P |
8928
|
Ryzen 5 5625U |
8267
|
Core i7-1250U |
7552
|
Core i5-1235U |
7104
|
Core i3-1215U |
6086
|
Core i5-1135G7 |
4932
|
Core i7-1165G7 |
4711
|
Core i3-1115G4 |
3378
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (シングルコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
HP Pavilion 15(Core i7-1260P) |
1770
|
Core i7-1255U |
1743
|
Core i7-1250U |
1726
|
Core i7-1260P |
1680
|
Core i5-1235U |
1616
|
Core i3-1215U |
1622
|
Core i5-1240P |
1606
|
Ryzen 7 6800U |
1471
|
Ryzen 7 5825U |
1437
|
Core i7-1165G7 |
1423
|
Ryzen 5 5625U |
1394
|
Core i5-1135G7 |
1349
|
Core i3-1115G4 |
1329
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
そのほかのCPUも、なかなか優秀です。特にCore i3-1215Uは、前世代のCore i7を上回るほどのパフォーマンスを発揮できるでしょう。ただしCore i3モデルの標準価格は若干高めで、7~8万円以下であればお買い得だと思います。
グラフィックス性能
グラフィックス機能には、CPU内蔵のUHDGraphics(Core i3)またはIris Xe Graphics(Core i5 / i7)が使われます。Core i7搭載の試用機で3Dベンチマークテストを行なったところ、DDR4メモリーとの組み合わせとしては非常に優秀な結果が出ました。ゲーム向けの専用GPUほどではないものの、内蔵グラフィックスとしては高い性能を期待できます。
なおUHD Graphicsを使用するCore i3-1215Uについては、グラフィックス性能はかなり落ちると考えてください。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Ryzen7) |
2211
|
HP Pavilion 15(Core i7+DDR4) |
1668
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
1302
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は上回っており、普通の使い方であればまったく問題ありません。コンテンツ制作系は若干弱いながらも、内蔵グラフィックス利用のCPUとしては健闘しています。
注目したいのは、一般利用のテストのスコア。薄型ノートPCとしては、トップクラスです。高いシングルコア性能が強く影響しているのでしょう。普段使いであれば、Core i7モデルが最強クラスの快適さを実現できるかもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
11379
9477
10606
10594
10647
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7455
6534
8578
9536
6968
6759 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6754
5363
7972
6685
5997
6342 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Yoga 770 | Ryzen 7 6800U / 16GB / Radeon 680M |
▶HP Pavilion 15-eh | Ryzen 7 5825U / 16GB / Radeon |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間はCore i3モデルで7時間30分、Core i5 / i7モデルで7時間とされています。ただしこれはパフォーマンスをグッと落とした状態での計測結果で、実際の駆動時間は公称値よりも短いのが一般的です。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、6時間48分でバッテリー切れとなりました。公称値よりもやや短い結果ですが、据え置き用のスタンダードノートPCでこれだけもてば十分でしょう。
ただし、バッテリー駆動時はパフォーマンスが抑えられている可能性があるので注意してください。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Core i7モデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 最大 7時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 6時間48分 |
充電率50%までの時間 | - | 41分 |
満充電になるまでの時間 | - | 2時間10分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム性能
Core i7-1260P搭載モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、軽いゲームなら普通に楽しめそうな結果が出ました。ただしやや重い程度の中量級以上のタイトルになると、画質を落としても厳しそうです。なおHP pavilion15-egはディスプレイのリフレッシュレートが60Hzなので、ゲーミングノートPCレベルのなめらかな動きは実現できません。
検証結果まとめ
- ・やや重いタイトルは厳しい
- ・超軽いゲームならOK
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(やや重い)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最低画質 | 50.8 / 34 |
※実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
ヴァロラント 屋外射撃場(超軽い)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 102 / 49.8 |
最低画質 | 139.8 / 72.7 |
※実際のプレーではこの結果よりもFPSが10%程度低下します
FF15ベンチ (重い)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 1591 / 動作困難 |
標準品質 | 2254 / 重い |
軽量品質 | 2810 / やや重い |
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 3795 / 26.3 FPS |
高品質 | 5105 / 35.3 FPS |
標準品質 | 6457 / 45.3 FPS |
映像にこだわらないならアリ
本体の外観がいい上に、性能面も優秀。値段はちょっと高いものの、セールをうまく使えばお得に入手できます。完成度としてはかなり高いのですが、唯一映像品質だけが残念です。高級感はあるのですが総合的にはハイエンドではなく、ミドルレンジあたりと考えたほうがいいでしょう。
ただし映像品質にこだわらないなら、コスパは高めです。普段使いや文字中心の作業には普通に使えますし、外付けディスプレイを利用する手もあります。公式サイトの週末セールやアウトレットセール、あるいは楽天のセールで異様にお得に買えるときがあるので、そのときを狙ってください。
HP Pavilion 15-eg
*
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