レノボの『IdeaPad Slim 170 15.6型 (AMD)』(以下、”IdeaPad Slim 170 15.6型”)は、価格の安さが魅力のノートPCです。性能はあまり高くはないものの、ネットの調べ物やオフィスを使った文書作成には十分。価格は5万円台からで、導入コストを抑えたい人に向いています。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Ryzen 5 7520U / 8GB / 512GB | 5万7860円 |
Ryzen 7 5700U / 16GB / 512GB | 6万4790円 |
Ryzen 5 7520U / 8GB / 512GB / Office | 8万2830円 |
Ryzen 7 5700U / 16GB / 512GB / Office | 8万9870円 |
※2024年1月11日時点
この記事ではメーカーからお借りした実機(グレーカラーのモデル)と筆者が購入した実機(サンドカラーのモデル)を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
おことわり
このレビュー記事では、メーカー貸し出し機材を1週間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
ディスプレイ | 15.6インチ、1920×1080ドット、IPS、非光沢、250nit、45% NTSC |
CPU | Ryzen 3 7320U(4コア8スレッド) / Ryzen 5 7520U(6コア12スレッド) / Ryzen 7 5700U(8コア16スレッド) |
メモリー | 8GB LPDDR5-5500(オンボード増設不可) または 16GB DDR4-3200(オンボード8GB+スロット8GB) |
ストレージ | 256 / 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon 610M または Radeon Graphics ※CPU内蔵 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth |
インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C(データ通信のみ)×1、USB3.2 Gen1×1、USB2.0×1、HDMI、SDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | ※生体認証なし |
サイズ / 重量 | 幅360.2mm、奥行き236mm、高さ17.9mm / 約1.6kg |
バッテリー | 約14時間 |
本体デザイン
IdeaPad Slim 170シリーズは価格重視のモデルで、作りは格安ノートPC相当です。ボディは樹脂(プラスチック)製で手触りにやや安っぽさがあるものの、見た目はそれほどでもありません。ただし強度についてはそれなりなので注意してください。
ベゼルは標準的な太さ
サイズと重量
本体の質感はあまり高くはないものの、15.6インチタイプとしては軽量スリムかつコンパクトです。このサイズのノートPCでよく見られる「ゴツさ」や「野暮ったさ」は感じられません。
ディスプレイについて
画面サイズについては、一般的な格安ノートPCと同じです。以前は見づらいTNパネルが使われていましたが、いまは改善されてIPSパネルに変更されています。とは言え色の鮮やかさはいまひとつで、スマホやタブレットほどではありません。ノートPCとしては、必要最低限レベルと考えてください。
※(注意)アマゾンではTNパネルのモデルが販売されている場合があります
デスクトップの文字は2~2.8mm程度で、やや小さめです(標準のスケーリングは125%)
キーボードについて
キーボードにはクセがあります。人によっては気にならないかもしれませんが、タイプ感にこだわる人は注意してください。たわみや底打ち感も若干感じられるため、特にキーを強く叩く人には不向きです。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 7520U(4コア/8スレッド、15W) |
---|---|
メモリー | 8GB×1 |
ストレージ | 256GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(Radeon 610M、CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト『Lenovo Vantage』で「電源およびパフォーマンス」を「エクストリーム・パフォーマンス」に設定。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしてはAMDのRyzen 7 5700UまたはRyzen 5 7520Uが使われています(以前はRyzen 3 7320Uのモデルも販売されていました)。
値段の安いRyzen 5 7520UモデルでCPUベンチマークテストを試したところ、最近のノートPC向けCPUとしては低めの結果が出ました。上位モデルで使われているRyzen 7 5700Uのほうが高性能ですが、現行世代としてはそれほど高性能ではありません。
とは言え最近のノートPC向けCPUはちょっと異様なほど高性能なので、特に気にする必要はありません。この機種であれば、普通の作業(ネットの調べ物やオフィスを使った文書作成など)には十分です。ただ長時間、あるいは頻繁に使うのであれば、16GBメモリーを搭載した上位モデルをおすすめします。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Ryzen 7 5700U |
15872
|
Core i7-1355U |
15636
|
検証機(Ryzen 5 7520U) |
10124
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Intel N100 |
5620
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス周りの処理には、CPU内蔵のグラフィックス機能が使われます。Ryzen 5 7520U搭載モデルで3Dベンチマークテストを行なったところ、内蔵タイプとしてはかなり低めの結果が出ました。上位のRyzen 7モデルでも、それほど高い結果は期待できません。とは言えゲームや高度な動画編集を行なわないなら、特に問題はないレベルです。
GPUの性能差(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
Radeon 680M |
7521
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
4734
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
4059
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
3420
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
Iris Plus |
2880
|
Radeon (Ryzen 5) |
2652
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
2474
|
Radeon (Ryzen 3) |
2324
|
IdeaPad Slim 170(Ryzen 5,Radeon 610M) |
1756
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。
Ryzen 5 7520Uモデルでテストを行なったところ、最近のスタンダードノートPCよりは低いスコアではあったものの、それほど悪い結果ではありませんでした。むしろ価格が安いことを考えれば、十分検討していると言っていいかもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
8507
10616
9882
10917
10258
10501 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7386
10003
6966
9572
7417
7622 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
3683
6018
5500
6536
6026
6624 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶Vostro 15 3550 | Core i5-1335U / 16GB / Iris Xe |
▶IdeaPad Flex 5 Gen 8 | Ryzen 7 7730U / 16GB / Radeon |
▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は約14時間とされています。しかしこれはバッテリーの消費量をグッと抑えた場合の結果。公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこでビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から12時間53分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短い結果ですが、バッテリー消費の大きいテストなので仕方がないでしょう。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びるかもしれません。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約14時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 12時間53分 |
充電率50%までの時間 | - | 2時間04分 |
満充電になるまでの時間 | - | 3時間19分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
メモリーの増設について
IdeaPad Slim 170 15.6型のRyzen 5モデルはメモリーがオンボード(マザーボード直付け)のため、増設には対応していません。Ryzen 7モデルではスロットが1基用意されているので、換装してメモリー容量を増やせる可能性があります(未確認)。
ちなみにRyzen 5モデルでは標準で8GBメモリーを搭載していますが、実際にシステムで使えるメモリーは5.7GBしかありません。これはグラフィックス処理用に、2GBをビデオメモリーに割り当てているためです。5.7GBはシステムの容量としてはかなり少なく、実際の使用時にも処理がやや遅く感じることが多々ありました。
そこでUEFI(BIOS設定)の「UMA Frame Buffer Size」を512MBに変更したところ、システムで使える容量が7.2GBに増えました。各種ベンチマークテストを行なったところスコアは標準時よりもやや下がっていますが、体感速度は向上しています。処理が遅いと感じたら、設定を変更するといいかもしれません。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark 10 CPU Markスコア |
---|---|
IdeaPad Slim 170(設定変更前) |
10124
|
IdeaPad Slim 170(設定変更前) |
9946
|
値段を抑えたいならアリ
外観面でも映像品質でも、チープな部分は感じられます。性能についてはRyzen 5モデルならギリギリ普通に使えるレベル、Ryzen 7モデルなら比較的余裕を持って使えるレベルといったところ。重い作業でガッツリ使う人向けではなく、軽めの作業中心の人向けです。
とは言え、価格が安いのは魅力です。特に上位のRyzen 7モデルであればほとんどの初級~中級者には十分な性能ですし、このクラスのモデルが6万円台半ば(2024年1月時点)で買えることはなかなかありません。性能と価格のバランス面で見れば、コスパの高い機種です。
*
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