レノボの『IdeaPad Flex 5 Gen 8 14型(AMD)』(以下、”IdeaPad Flex5 Gen8″)は、画面が回転するタイプの14インチノートPCです。手書き入力用のペン付きで、さまざまなステイルで利用可能。もちろん、普段使い用やビジネス用にも利用できます。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Ryzen 5 7530U / 16GB / 512GB | 7万9860円 |
Ryzen 5 7530U / 16GB / 512GB / Office | 10万4830円 |
Ryzen 7 7730U / 16GB / 512GB | 11万4972円 |
※2023年10月24日時点
CPUはAMD Zen3世代のモバイルRyzen 7030Uシリーズ。スペック的には、特別高性能というほどではないものの、16GBメモリー搭載モデルならガッツリ作業するのに適しています。ただ値段の割りに筐体やキーボード、ディスプレイがややチープな印象を受けました。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
スペック
発売日 | 2023年1月 |
---|---|
本体カラー | アークティックグレー |
OS | Windows 11 Home |
ディスプレイ | 14インチ IPS 光沢 タッチ/ペン入力対応 |
パネル | 1920×1200 300nit 45% NTSC / 2240×1400 300nit 100% sRGB |
CPU | Ryzen 3 7330U / Ryzen 5 7530U / Ryzen 7 7730U |
メモリー | 8 / 16GB LPDDR4X-4266 ※オンボード |
ストレージ | 256 / 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth |
インターフェース | HDMI、USB 3.2 Gen1×2、USB Type-C(USB PD/映像出力対応)×1、SDカードスロット、ヘッドホン入力 |
セキュリティー | 指紋センサー |
サイズ /重量 | 幅313.1mm、奥行き224.9mm、高さ17.8mm(最薄部) / 約1.55kg |
バッテリー | 約14.5時間 |
本体デザイン
IdeaPad Flex 5 Gen 8は一見すると普通の外観ですが、実際に手に取るとややチープに感じます。ボディは樹脂(プラスチック)製で、質感も強度もそれなり。樹脂素材はキズがつきやすいので、取り扱いには注意してください。とは言え、見た目はそれほど安っぽくはありません。
サイズと重量
14インチタイプは一般的な15.6インチタイプよりも画面が小さいぶん、本体がコンパクトです。体感的には、A4サイズよりもひと回り大きい程度。厚みは少しありますが、気になるほどではありません。
ディスプレイについて
画面サイズは14インチで、一般的な15.6インチよりもひと回り小さめです。標準ではデスクトップの拡大率が150%に設定されているため、文字が小さくて読めないことはありません。解像度によってはむしろ大きく感じるほどなので、125%あたりに変更するといいでしょう。
キーボードについて
キーボードにはややクセがあるものの、一般的な14インチタイプとしては特別おかしな部分はありません。ただタイプ感が非常に軽いので、普段から軽めのタッチで入力している人に向いています。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 7 7730U(8コア/16スレッド) |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「Lenovo Vantage」の「電源およびパフォーマンス」→「スマート・パワー」を最高設定の「エクストリーム・パフォーマンス」に変更。その上で電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
ストレージ性能
ストレージとしては、256GBまたは512GBのSSDです。使われているSSDはPCIe Gen3 x4で、試用機ではサムスンの「PM9B1(MZAL4512HBLU)」シリーズが搭載されていました。最近主流のPCIe Gen4 x4と比べるとやや遅めではあるものの、ノートPCとしてはよくあるタイプです。
CPU性能
CPU(APU)には、AMD Zen3世代のRyzen 5 7530U(6コア12スレッド)およびRyzen 7 7730U(8コア16スレッド)が使われています。Ryzen 5 7530U搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、非常に優秀な結果が出ました。ただ同じCPUの平均値を大きく上回っており、いくらなんでもスコアが上がり過ぎな気もします。個体差の可能性もあるので、「けっこう優秀」程度に考えたほうがいいでしょう。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
IdeaPad Flex 5(Ryzen 7 7730U) |
22424
|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Core i7-1355U |
15636
|
Core i3-1315U |
13033
|
Ryzen 3 7330U |
10909
|
Core i3-N305 |
10265
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Ryzen 3 7320U |
9249
|
Intel N100 |
5620
|
※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
軽めの作業に強く影響するシングルスレッド性能については、平均値と同程度の妥当な結果です。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Core i7-1360P |
3670
|
Core i5-1335U |
3665
|
Core i7-1355U |
3606
|
Core i3-1315U |
3573
|
Ryzen 7 7735U |
3289
|
IdeaPad Flex 5(Ryzen 7 7730U) |
3280
|
Ryzen 7 7730U |
3228
|
Ryzen 5 7530U |
3136
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3089
|
Ryzen 3 7320U |
2485
|
Core i3-N305 |
2279
|
Intel N100 |
1971
|
※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス周りの処理には、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。3Dベンチマークテストでは、内蔵グラフィックスとしては中位クラスのスコアが出ました。グラフィックス周りの処理で多少の効果はあるものの、大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。
内蔵グラフィックスの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3445
|
Radeon(RDNA 3) |
2862
|
Radeon 680M(RDNA 2) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR) |
1302
|
IdeaPad Flex5(Radeon, Vega) |
1290
|
Radeon (Vega) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR) |
1149
|
Iris Xe(Core i5+DDR) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は大きく上回っています。コンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集)のテストについてはスコアがあまり高くはないものの、スタンダードノートPCとしては妥当なところ。文字中心の作業に適した機種です。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10917
10616
9882
9869
10258
10501 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
9572
10003
6966
8854
7417
7622 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6536
6018
5500
8298
6026
6624 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶Vostro 15 3550 | Core i5-1335U / 16GB / Iris Xe |
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公称値で、約14.5時間とされています。しかし公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこでRyzen 7モデルを使って最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から8時間1分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短い結果でしたが、消費電力が大きい状態でのテストであることを考えればやむを得ないでしょう。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Ryzen 7モデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約14.5時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 8時間1分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 54分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間29分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ややお高めのエレガントな普段使いPC
ベンチマーク結果をご覧いただくとおわかりのように、基本性能が非常に高くて優秀です。ただし、レノボ製品はわりとベンチマークスコアが高めに出ることが頻繁にあります。もしかすると、チューニングに優れているのかもしれません。今回試用したのは11万4972円のモデルですが、ベンチマークスコア的にはそれ以上の価値があります。ただ個体差の可能性もあるため、すべての機体で優秀な結果が出るとは限りません。たまたま試用機が良かった可能性もあります。
ベンチマークスコア的には優秀でしたが、11.5万円のPCと考えると筐体がチープです。特にボディの質感と、ペコペコとしたタイプ感のキーボードが気になります。約8万円のRyzen 5モデルなら納得できるものの、上位モデルだと「もうちょっとなんとかしてほしい」というのが正直な感想。使い勝手にこだわらないならアリです。
*
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