ASUSのExpertBook B5 Flip OLED (B5302FEA)は、13.3インチのフルHDディスプレイを搭載するビジネス向けの2-in-1モバイルノートPCです。最大の特徴は有機ELパネルを搭載している点ですが、これは映像品質の向上ではなくバッテリー消費を抑えるためでしょう。MIL-STD-810H準拠の頑丈な作りで、高い実用性を備える堅実な機種に仕上がっています。

ASUS ExpertBook B5 Flip OLED (B5302FEA)
ポイント
- 😄 頑丈で壊れにくい
- 😄 有機ELパネル
- 😄 高いパフォーマンス
- 🙄 見た目が地味
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
ディスプレイ | 13.3インチ 1920×1080 OLED 非光沢 タッチ対応 |
CPU | Core i3-1115G4 / Core i5-1135G7 / Core i7-1185G7 |
メモリー | 8 / 16GB ※DDR4-3200 |
ストレージ | 256 / 512GB |
グラフィックス | Iris Xe(CPU内蔵) |
通信 | 11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1、有線LAN |
インターフェース | Thunderbolt 4×2、USB3.2×1、ヘッドフォン出力 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅309×奥行き210.6×高さ16.9mm / 約1.3kg |
バッテリー | 約11時間 |
本体デザイン

ASUS ExpertBook B5 Flipの外観。本体カラーはスターブラック。実際の色合いは、やや青みがかったメタリックな黒

表面はツヤ消しでサラサラとした手触り。指紋の跡が少し残ります

画面が360度回転する2-in-1。さまざまなスタイルで利用できます

ボディはアルミ製。MIL-STD-810H準拠の頑丈で壊れにくい作りです。見た目に華やかさはないものの、落ち着いた印象を受けます

キーボード面

ディスプレイは鮮やかな色合いが特徴の有機ELパネル。ベゼル(枠)の太さは標準的です

インターフェース構成。電源ボタンは指紋センサー内蔵

付属のアダプターを使えば、有線LANを利用できます

付属の電源アダプターはType-Cタイプ。重さは308g

スピーカーは底面に配置。低音域に意外と厚みを感じますが、中~高音域はややこもって聞こえました

底面部

小さいながらも頑丈さを重視してしっかりと作り込まれた印象を受けます
サイズと重量

大きさは幅309×奥行き210.6mm

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。A4用紙よりも長辺が1cm強大きいイメージです

厚さは実測で16.8mm、ゴム足を含めた設置時の高さは18.2mm

一般的なノートPCと比べると薄いほうですが、最近のモバイルノートPCとしては特別薄いわけではありません

重さは実測で1.263kg

モバイルノートPCとしては十分な軽さ。頑丈な2-in-1として考えるならけっこう軽量です
ディスプレイについて

画面サイズは13.3インチで解像度は1920×1080ドット。ビジネス向けモバイルとしては、スタンダードなスペックです

ディスプレイには有機ELパネルが使われています。ただしスマホやタブレット、クリエイター向けノートPCほど鮮やかというわけではありません

海外の公式サイトによると、色域はsRGB 100%とのこと。ただ一般的なIPS相当のパネルよりも、赤の要素が強く出ておりより自然な色合いです

明るさは海外の公式ページで300nitとのこと。作業には十分な明るさです

有機ELディスプレイの映像は鮮やかですが、ビジネス向けモバイルでここまで必要かとも感じます
キーボードについて

キーボードはテンキーなしの日本語配列で、バックライトには非対応

Enterキー横のキーがかなり小さく作られています。キーはやや横長で、入力時には縦方向に窮屈さを感じました

キーストロークは実測で1.36mm。クリック感は軽い者の、手応えはハッキリと感じられます。スイッチのグラつきもなく、タイプ感は比較的良好

タイプ音は軽い力でもカタカタと聞こえますが、うるさくはありません。ただし強く叩くと響くので注意
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-1165G7 |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | Iris Xe(CPU内蔵) |
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしてはインテル第11世代のCoreプロセッサが使われています。Core i7-1165G7搭載の試用機では、ベンチマークテストで同CPUの平均値を上回る優秀な結果が出ました。モバイルノートPCとしては、十分なパフォーマンスです。中位のCore i5-1135G7でも十分な性能ですが、下位のCore i3-1115G4は軽めの作業に向いています。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark 10 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 5800U |
19202
|
Ryzen 7 5700U |
18089
|
Core i7-1185G7 |
13135
|
ExpertBook B5(Core i7-1165G7) |
12623
|
Ryzen 5 5500U |
12362
|
Core i7-1165G7 |
11723
|
Core i5-1135G7 |
11249
|
Ryzen 3 5300U |
9527
|
Core i3-1115G4 |
6750
|
Ryzen 3 3250U |
4441
|
Athlon Silver 3050U |
3351
|
Celeron 6305 |
2302
|
Celeron N4500 |
2284
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵グラフィックスのIris Xe Graphicsが使われます。Core i7搭載の試用機では3Dベンチマークテストで、内蔵タイプとしては優秀な結果が出ました。GTXシリーズまどのゲーム向けGPUほどではないものの、ゲームやグラフィックス系ソフトでの効果を期待できます。ただしCore i5モデルやCore i3モデルでは、そこまでのパフォーマンスは期待できないかもしれません。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
MX450 |
1996
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
ExpertBook B5(Core i7+DDR4) |
1370
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
1302
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
Iris Plus |
812
|
UHD |
407
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能差(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
MX450 |
4900
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
4734
|
ExpertBook B5(Core i7+DDR4) |
4109
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
4059
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
3420
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
Iris Plus |
2880
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
2474
|
UHD |
1335
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。
Core i7搭載の試用機では快適に使える目安の目標値は大きく上回っていますが、第11世代Core i7搭載機としては標準的です。ただコンテンツ制作のテスト結果が、内蔵GPUタイプとしてはけっこう高め。本格的な創作活動にはやや厳しい感はありますが、比較的軽めの画像処理 / 動画編集ならある程度は行なえるでしょう。Core i5モデルやCore i3モデルでは、各スコアが大きく下がる可能性があります。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
9667
9784
9925
9667
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
6849
6630
9276
8530
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5363
4840
6814
8109
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶THIRDWAVE DX-T7 | Core i7-1165G7 / 16GB |
---|---|
▶IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H / 16GB / GTX 1650 |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
堅実な作りのビジネス向け2-in-1
前述のとおり外観的には華やかさがないものの、頑丈かつしっかりとした作りで実用面では好感のある仕上がりです。キーボードで一部のキー配列にクセがあるものの、日本語主体の文書であればそれほど問題はないでしょう。
有機ELパネルは発色に優れていると言われますが、ビジネス向けPCであればそれほどのクオリティーは必要ないはずです。ただしバッテリー消費量の点では、IPSパネルよりも有機ELのほうが有利。おそらく映像品質よりも、バッテリー駆動時間を延ばすために使われているものと思われます。その点も含めて、全体的には非常に堅実なビジネス向けモバイルノートPCです。

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