『HP 15s-fq5000』は15.6インチのフルHDディスプレイを搭載する、スタンダードタイプのノートPCです。CPUは第12世代Coreプロセッサ。記事執筆時点ではひと世代前のCPUが使われていますが、普段使いやビジネス作業には十分活用できます。
公式サイトの価格は、Core i5-1235U / 8GBメモリー / 256GB SSDの構成で約10万円から。筐体はエントリー向けのややチープな作りで、一般的な相場から考えるとかなりお高めです。しかしこのモデルは、量販店や通販サイトでの販売が主体。セールのタイミングを狙えば、割引やポイント還元でお得に入手できることがあります。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Core i5-1235U / 8GB / 256GB | 9万7000円 |
Core i7-1255U / 16GB / 512GB | 13万円 |
※2023年11月15日時点
前述のとおり多少チープな部分はありますが、セールやポイント還元で安く買えるならアリです。パソコンを安く入手したい人に向いています。
ポイント
- ✅メモリー増設対応
- ✅筐体はチープ
- ✅ディスプレイもチープ
- ✅キーボードもチープ
この記事では筆者が購入した実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
おことわり
このレビュー記事では、メーカー貸し出し機材を1週間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。
スペック
発売日 | 2022年9月 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
ディスプレイ | 15.6インチ、1920×1080、IPS、非光沢 |
CPU | Core i3-1215U / Core i5-1235U / Core i7-1255U |
メモリー | 8GB(4GB×2) / 16GB(8GB×2) DDR4-3200 ※スロット×2 |
ストレージ | 256 / 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | UHD / Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
インターフェース | USB Type-C(データ通信のみ)×1、USB Type-A×2、HDMI、SDカードスロット、ヘッドホン端子 |
生体認証 | なし |
サイズ / 重量 | 幅358×奥行き242×高さ17.9~21.5mm / 約1.6kg |
バッテリー | 最大 7時間30分 |
本体デザイン
ディスプレイについて
キーボードについて
メモリー増設について
ベンチマーク結果
検証機のスペック
CPU | Core i7-1255U |
---|---|
メモリー | 8GB(4GB×2) DDR4-3200 |
ストレージ | 256GB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「バランス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第12世代のCore i3-1215U / Core i5-1235U / Core i7-1255Uが使われています。
Core i7-1255U搭載モデルでCPUベンチマークテストを行なったところ、現行世代のCPUと比較して中位クラスの結果が出ました。Core i7なのにやや低めの印象ですが、実際のところ普段使いやビジネス作業には十分なパフォーマンスです。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Core i7-1355U |
15636
|
検証機(Core i7-1255U) |
13871
|
Core i3-1315U |
13033
|
Ryzen 3 7330U |
10909
|
Core i3-N305 |
10265
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Ryzen 3 7320U |
9249
|
Intel N100 |
5620
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
軽めの作業に強く影響するシングルスレッドのスコアでは、現行世代のCPUを上回る結果が出ています。大作ゲームや高度な動画編集などの重い作業には向きませんが、事務作業やネットの調べ物などには快適に利用できるでしょう。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
検証機(Core i7-1255U) |
3709
|
Core i7-1360P |
3670
|
Core i5-1335U |
3665
|
Core i7-1355U |
3606
|
Core i3-1315U |
3573
|
Ryzen 7 7735U |
3289
|
Ryzen 7 7730U |
3228
|
Ryzen 5 7530U |
3136
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3089
|
Ryzen 5 7520U |
2573
|
Ryzen 3 7320U |
2485
|
Core i3-N305 |
2279
|
Intel N100 |
1971
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphics(Core i5 / i7モデル)またはUHD Graphics(Core i3モデル)が使われます。検証機で3Dベンチマークを行なったところ、同構成機としてはやや上ではあるものの、最近のノートPCとしては標準的な結果が出ました。ゲームやグラフィックスソフトで多少の効果が見込めますが、大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。
内蔵グラフィックスの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3445
|
Radeon(RDNA 3) |
2862
|
Radeon 680M(RDNA 2) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR) |
1528
|
検証機(Core i7+DDR) |
1483
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR) |
1302
|
Radeon (Vega) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR) |
1149
|
Iris Xe(Core i5+DDR) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
すべてのテストで目標値を大きく超えており、全体としてはなかなか優秀です。しかし最新の機種と比べると、やや見劣りします。とは言え普段使いやビジネス作業には十分ですし、あとは値段しだいと言ったところでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
8958
10616
9882
10917
10258
10501 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
6757
10003
6966
9572
7417
7622 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5199
6018
5500
6536
6026
6624 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶Vostro 15 3550 | Core i5-1335U / 16GB / Iris Xe |
▶IdeaPad Flex 5 Gen 8 | Ryzen 7 7730U / 16GB / Radeon |
▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は、公称値で最大 7時間30分とされています。しかし公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこで実機を使ってビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から7時間17分で休止状態へ移行しました。公称値よりもわずかに短い結果ですが、日常的なビジネス利用でこれだけもてば十分でしょう。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。なおバッテリー駆動時は、電源接続時に比べてパフォーマンスが2~3割低下することがあるので注意してください。
バッテリー駆動時間の計測結果
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約7時間30分 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 7時間17分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 43分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間01分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
熱と騒音について
※計測時の室温は20度。室温が変わると、結果が異なる場合があります
本体の熱について
高負荷なベンチマーク中でも、本体が熱く感じることはありませんでした。暑い季節には、排気口のあたりが温かく感じるかもしれません。
CPUの熱について
高負荷時のCPU温度を計測したところ、最大温度は76度で平均温度は69.9度でした。温度的にはまったく問題のない範囲です。消費電力はテスト開始直後の高出力状態時で24~26W、その後は16~19Wを推移していました。
駆動音について
駆動音(ファンの回転音や排気口からの風切り音)は、高負荷時に多少大きく聞こえます。うるさすぎるほどではありませんが、静な場所で利用するなら周囲に配慮したほうがいいでしょう。
駆動音の計測結果
電源オフ | 36.5dB | - |
---|---|---|
待機中 | 36.8dB前後 | ほぼ無音 |
軽作業中 | 37.3~38.5dB前後 | 甲高いファンの回転音がハッキリと聞こえる。音自体はそう大きくないものの、長時間聞き続けるとストレスが溜まるかも |
高負荷時 | 39.3dB前後 | 甲高い回転音と大きめの排気音が聞こえる。ガマンできないほどではないが、静かな場所では気になるほどの大きさ |
(参考)エアコンの最大出力時 | 48~58dBA前後 | - |
セールが狙い目
全体的にチープさはあるものの、使用感にこだわらなければ普通に使えます。使い心地よりも、性能と価格のバランスを重視したい人向け。突発的にセールで安くなることがあるので、うまくタイミングを合わせられるなら非常に高コスパです。
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