日本HPのHP 34f カーブドディスプレイは、画面サイズ34インチの大型湾曲ディスプレイです。解像度はUWQHD (3440×1440ドット)で、フルHD (1920×1080ドット)のおよそ2.9倍。非常に広いデスクトップで快適に作業できる上に、映画やゲームの臨場感がグンとアップします。

HP 34f カーブドディスプレイと14インチのThinkPad X1 Carbon
そしてなにより魅力なのは、価格が安い点。現在 (2019年9月時点)は液晶ディスプレイのセールが実施されており、税込価格は5万3784円と同クラス製品のなかでは最安クラスです。

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34インチのUWQHDディスプレイとしてはあまりにも安いので、筆者は思わず購入してしまいました。

デスクにHP 34f カーブドディスプレイを設置した様子。左側は31.5インチの4Kディスプレイ「EW3270U」
使い始めてから半月以上たったのですが、非常に快適にではあるものの、いくつか気になる点もありました。ザックリ言うと、以下のような感じです。
実際に使って感じたメリット & デメリット
- 2つのウィンドウを同時に大きく表示できる
- 映画をシネスコサイズで視聴できる
- ゲームでは視野が広がり臨場感がアップ!
- 映像の見た目が歪む
- 一部のソフトでウィンドウが大きい
今回はHP 34f カーブドディスプレイの外観や映像品質、実際に使った感想などについてレビューします。大型湾曲ディスプレイの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶外観
- ▶映像品質
- ▶メリットとデメリット
- ▶まとめ

※2019年9月24日時点。価格や構成は変更される場合があります
HP 34f カーブドディスプレイのスペック
液晶サイズ | 34インチ |
---|---|
解像度 | 3440×1440ドット |
アスペクト比 | 21:9 |
リフレッシュレート | 60Hz |
最大表示色 | 10.7億色 |
コントラスト比 | 1000:1 |
色域 | sRGBカバー率 99% |
応答速度 | 14ms |
輝度 | 300nit |
映像入力 | HDMI 2.0 ×2 DisplayPort 1.2 ×1 |
G-SYNC | - |
FreeSync | 対応 |
スピーカー | - |
ピボット機能 | - |
スイーベル機能 | - |
高さ調節機能 | - |
VESAマウント | - |
サイズ | 幅814.2mm 奥行き187mm 高さ451.6mm |
重量 | 7.1kg |
インターフェース | USB3.0 ダウンストリーム×3 USB3.0アップストリーム×1 |
付属品 | 電源ケーブル ACアダプター USBケーブル HDMIケーブル DisplayPortケーブル |
※2019年9月24日時点。構成は変更される場合があります
HP 34f カーブドディスプレイの外観
HP 34f カーブドディスプレイは34インチの大画面だけあって、本体サイズがかなり巨大です。スタンド部分の面積は小さいものの、横幅は約81cm程度。設置にはそれなりに大きなスペースが必要です。VESA マウントには非対応なので、モニターアームなどは使えない点に注意してください ちなみに梱包時の箱も巨大ですが、なんとかひとりでも持ち運べる大きさでした。

箱は巨大でしたが、ひとりでも持ち運べる大きさです

スタンドの取り付けにはドライバーは不要。簡単に設置できます

横幅は約814.2mm。14インチのThinkPad X1 carbonと比較すると、その大きさがわかります

背面。VESAマウントには非対応です

スタンドはスッキリとしたシンプルなデザインですが、とても頑丈に作られています。設置に必要な奥行きは20cm程度

チルト角度はこのくらい。上下の高さ調節と、左右のスイーベルには非対応です

液晶ディスプレイのベゼル (枠)幅は左右10.5mmで上部10.3mm。非常に細く、画面周りがスッキリとしています

HP 34f カーブドディスプレイ を実際に設置した様子。机の幅は160cmです
映像入力としてはHDMIとDisplayPortに対応しています。USB3.0アップストリームとPCを接続すると、HP 34f カーブドディスプレイのUSB端子にUSB機器を接続して利用可能です。

背面のインターフェース類。左からHDMI×2、DisplayPort、電源コネクター、USB3.0アップストリーム、USB3.0×3

電源ケーブルとHDMI / DisplayPortケーブル、USB3.0 (Type-AtoB)が不測
HP 34f カーブドディスプレイの映像品質
液晶ディスプレイのサイズは34インチで、解像度は3440×1440ドット。アスペクト比 (画面の縦横比率)は21:9で、一般的な16:9に比べるとかなり横長です。画面はユーザーを包み込むようにゆるやかに湾曲しており、画面が横長でも視線はそれほど遠くはありません。

画面の大きさは34インチで、解像度は3440×1440ドット

画面はフラットではなく、微妙に湾曲しています
液晶ディスプレイには、発色に優れるIPSパネルが使われています。実際に写真や映画を表示したところ、自然な色合いで映し出されました。コントラストはそれほど高くはないものの、色鮮やかです。

IPSパネルによる映像は色鮮やかで自然な色合い

解像度が高いので、写真の細かなディティールまでハッキリと映し出されます
色域は公称値でsRGBカバー率99%。実測では99.7%でした。AdobeRGBカバー率は78.6%でプロ向けの印刷物には向いていませんが、スマホやPCのディスプレイで見ることを前提とした写真やイラストの制作には十分な品質です。アマチュアレベルであれば、クリエイティブ用途での利用にも向いています。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 99.7% |
---|---|
sRGB比 | 111.1% |
Adobe RGBカバー率 | 78.6% |
Adobe RGB比 | 8.4% |
画面右下には、OSD操作用のボタンが配置されています。輝度やコントラスト、映像の入力系統を変更できるほか、プリセットの表示モードを選択することで映像の色合いを手軽に変えられます。

画面右下のOSD操作ボタン

OSDメニュー

FreeSyncや応答時間なども調整可能

あらかじめ用意されている表示モードのプリセット

標準的な色合いの「カスタム」

青みを減らすことで眼への刺激を軽減する「低ブルーライト」

黒を抑えることで暗いシーンでの視認性を高め、高コントラストでターゲットを見分けやすくした「ゲーム」

黒を強調することで印象的な影を作り出す「動画」
使ってわかったメリットとデメリット
デスクトップが超広い
HP 34f カーブドディスプレイのいちばんメリットは、なんと言ってもデスクトップが巨大である点です。解像度はフルHDの約2.9倍で、およそ3枚ぶんの情報を一度に表示できます。また縦が1440ドットもあるため、縦に長い文書やWebページを見る際にスクロール頻度を減らせるのです。

3440×1440ドットと1920×1080ドットの違い

ブラウザーで2ページを同時に開いても余裕があります
スケーリング (デスクトップの拡大率)設定は標準で100%です。デスクトップの文字の大きさは2~2.5mm程度で、普通に読めるサイズでした。4Kディスプレイだと27~32インチでも150%にしないと文字が小さく感じるので、単純に文字数の多さでは4Kディスプレイより上かもしれません。

Lightroomを使っているところ。サムネイルが超たくさん表示されます

動画編集はタイムラインが広がるので、確実に使いやすくなります
ただ、作業効率が飛躍的に向上するかというと、実際にはそうでもないような気がします。作業時は画面の中央に集中すると思うのですが、ウィンドウを中央に配置すると両脇のスペースはわずかです。ふたつのウィンドウを左右に表示することはできるのですが、視線が左右にブレるので集中しにくい気がします。

ウィンドウの整列表示は効率的に見えて、実は画面に集中しづらいかも
もっとも人によって異なるとは思いますが、少なくとも筆者の場合は集中しにくく感じました。とは言え縦のドット数がフルHDよりも多く細かなウィンドウもジャマに感じないので、作業効率は確かにアップしています。ただ思っていたほどではなかったなというのが正直な感想です。
映画やゲームの迫力がスゴイ
21:9の横長ディスプレイは、動画や映画の視聴にピッタリです。特に映画では21:9のシネスコサイズで表示されるので余計な黒帯がなく、画面への没入感が高まります。
※配信サービスによってはシネスコサイズで再生されない場合があります

アマゾンプライムビデオで映画を再生している様子。21:9の画面ピッタリに映し出されるので迫力がスゴイ!

16:9のディスプレイでシネスコサイズの映画を観ると、画面の上下にサイズ調整のための黒い帯が表示されます
またゲームも対応していれば視野がグンと広がります。ただし解像度がほぼ3Kになるため、GPUへの負荷もグンと跳ね上がる点に注意してください。
実際に「アサシンクリード オデッセイ」をプレーしたところ、これまではフルHDの最高画質でも問題なかったのですが、UWQHDでは中画質程度にまで落すことになりました。筆者はそのためにグラボをGTX 1070からRTX 2070 SUPERに買い替えています。

21:9のゲーム画面は臨場感がメチャメチャアップしますが、そのぶんGPUの負担も激増します
ちなみに視野が広がるとそのぶんターゲットを見つけやすいのでゲームには有利になる場合もあるのですが、もともとの視野が狭い人だとかえって画面を見渡すのに時間がかかります。素早い判断が求められる対戦ゲームでは、24インチのフルHDディスプレイのほうがいいかもしれません。オープンワールドのゲームをのんびりプレーするにはピッタリです。
あと、映画を観たりゲームをプレーしたりすると、スピーカーが欲しくなりますね。サウンドバーを購入しようか迷ったのですが、長いタイプだとスタンドの上に乗せることになり振動が心配なのでまだ入手していません。スペース的には75mmあるので、50~65mmくらいの薄型タイプであれば大丈夫だと思います。

画面したのスペースはスタンドのない部分で89mm、スタンドがある部分で75mmです

とりあえずいまのところはAnker製のモバイルスピーカーを利用しています
[wpap type=”detail” id=”B016XKHLCK” title=”Anker Soundcore ポータブル Bluetooth4.2 スピーカー 24時間連続再生可能【デュアルドライバー/ワイヤレス…”]
ちなみにHP 34f カーブドディスプレイにはヘッドホン用のAUX端子がないので、スピーカーはPC本体と接続する必要があります。必要に応じてケーブルも用意してください。
ウィンドウがいちいちデカイ
ここからは、使っていて感じたデメリットを取り上げます。
まずはウィンドウのサイズについて。ソフトによっては、新規に開いたウィンドウが横長で表示される場合があります。エクスプローラーやブラウザーなどではなかったのですが、テキストエディターやEvernoteなどでそんな症状が見られました。いちいちウィンドウサイズを調整するのが面倒なのですが、もしかすると回避する設定があるのかもしれません。

秀丸 (テキストエディター)で新規文書を開くと、ウィンドウが横長で表示されてしまいます
画面が少し歪んで見える
湾曲ディスプレイであるため仕方がないことなのですが、画面が微妙に歪んで見えます。文章などでは問題ありませんが、CADやイラスト、パースにこだわる写真などでは仕上がりに差が出るかもしれません。本格的な創作では、フラットなディスプレイを使ったほうがいいでしょう。

画面を正面から見ると、映像が少し歪んで見えます
大画面は正義!
ということで、今回はHP 34f カーブドディスプレイのレビューをお届けしました。
以前からUWQHDの大画面ディスプレイが欲しかったので思わず買ってしまったのですが、実際に使ったところ、思っていたほど作業効率が上がるわけでもありませんでした。体感的には2~3割増しくらい、といったところでしょうか。
ただしこれはまだ、21:9のディスプレイに慣れていないからかもしれません。もう少し使い込めば、もしかすると効率的な使い方を見いだせるのではないかとも思っています。
とは言え映像の迫力は大きくアップしますし、作業効率も2~3割ながらアップしているので、買った事自体には満足しています。やはり大画面は正義といったところでしょうか。値段もお手頃ですので、この機会に大型湾曲ディスプレイを試してみることをおすすめします。

「大満足!」とはまではいかなかったものの、概ね満足できるレベルでした

※2019年9月24日時点。価格や構成は変更される場合があります
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