デルのInspiron 15 Plus(7510)(以下、”Inspiron 15 Plus”)は、15.6インチディスプレイを搭載するスタンダードタイプのノートPCです。第11世代Coreプロセッサ(H45)とGeForce RTX 30シリーズを搭載しながらも、スリムでスタイリッシュな外観が特徴。特に画像加工や軽めの動画編集などに向いています。
ポイント
- 😄 RTX 3050/3050 Ti搭載
- 😄 スリムで高級感のあるデザイン
- 😄 十分なクリエイティブ性能
- 🙄 重いゲームには不向き
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
※2021年11月11日時点
Inspiron 15 Plus(7510)のスペック
OS | ・Windows 11 Home ・Windows 11 Pro ・Windows 10 Pro |
---|---|
ディスプレイ | 15.6インチ 1920×1080 非光沢 |
CPU | ・Core i5-11400H ・Core i7-11800H |
メモリー | ・8GB ・16GB ※DDR4-3200、スロット×2 |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | ・RTX 3050 ・RTX 3050 Ti |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
インターフェース | USB3.2 Gen1×2、Thunderbolt 4×1、HDMI2.0、SDカードスロット、マイク入力/ヘッドフォン出力共用端子 |
サイズ / 重量 | 幅356.06×奥行き228.9×高さ16.72~18.99mm / 約1.895kg |
バッテリー | 3セル 56WHr ※駆動時間は非公開 |
※2021年11月11日時点。構成は変更される場合があります
本体デザイン
サイズと重量
ディスプレイについて
測定結果
sRGBカバー率 | 99.7% |
---|---|
Adobe RGBカバー率 | 78.5% |
DCI-P3カバー率 | 79.7% |
輝度 | 353nit(公称値300nit) |
リフレッシュレート | 60Hz |
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-11800H |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | RTX 3050 Ti(4GB) ※最大65W |
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第11世代のCore i5-11400HまたはCore i7-11800Hが使われています。標準TDPが45Wでゲーミング/クリエイター向けノートPC用の、いわゆる「Tiger Lake- H45」シリーズです。
CPU性能を計測するベンチマークテストを試したところ、同じCore i7-11800Hの平均ちをやや下回る結果でした。もしかするとCPUの熱が上がりすぎるのを防ぐために、あえて性能を落としているのかもしれません。Core i5-11400H搭載モデルでも、平均値を下回る可能性があります。
とは言え、性能的には十分です。特に上位のCore i7モデルであれば、動画のエンコードや高度なデータ処理などでも活用できるでしょう。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 9 5900HX |
5262
|
Core i7-11800H |
4992
|
Ryzen 7 5800H |
4681
|
Inspiron 15 Plus(Core i7-11800H) |
4417
|
Ryzen 7 5800U |
3829
|
Ryzen 7 5700U |
3512
|
Core i5-11400H |
2992
|
Ryzen 5 5500U |
2817
|
Core i5-1135G7 |
2063
|
Ryzen 3 5300U |
2010
|
Core i7-1165G7 |
1963
|
Core i3-1115G4 |
1314
|
Ryzen 3 3250U |
818
|
Athlon Silver 3050U |
624
|
Celeron N4500 |
426
|
Celeron 6305 |
416
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、外付けGPUのGeForce RTX 3050またはRTX 3050 Tiが使われます。どちらもエントリー(入門)クラスのGPUのため、ミドルレンジ以上のGPUと比べると性能はそこそこと言った程度。しかし試用機では同じGPUの平均値を上回り、前世代のミドルレンジに迫るスコアが出ています。エントリークラスとしては非常に優秀です。RTX 3050でも、前世代のエントリーを上回るパフォーマンスを期待できるでしょう。
GPUの性能 (DirectX 12、WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
11914
|
RTX 2080 |
9599
|
RTX 3070 |
8831
|
RTX 3060 |
8331
|
RTX 2070 |
7660
|
RTX 2060 |
5860
|
GTX 1660 Ti |
5626
|
Inspiron 15 Plus(RTX 3050 Ti) |
5303
|
RTX 3050 Ti |
5166
|
RTX 3050 |
4120
|
GTX 1650 Ti |
3686
|
GTX 1650 |
3178
|
Iris Xe (Core i7) |
1250
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能 (DirectX 11、フルHD)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
28566
|
RTX 2080 |
25078
|
RTX 3070 |
24153
|
RTX 3060 |
21725
|
RTX 2070 |
20037
|
RTX 2060 |
15685
|
GTX 1660 Ti |
14451
|
Inspiron 15 Plus(RTX 3050 Ti) |
13815
|
RTX 3050 Ti |
13385
|
GTX 1650 Ti |
10123
|
RTX 3050 |
10056
|
GTX 1650 |
8758
|
Iris Xe (Core i7) |
4486
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。テスト結果の比較用にGPU非搭載の▶THIRDWAVE DX-T7(Core i7-1165G7+16GBメモリー)と、ミドルレンジクリエイター向けノートPCの▶raytrek R5-CA(Core i7-10875H+16GBメモリー+RTX 3060)の結果もまとめました。
結果は非常に優秀です。快適に使える目安の目標値を大きく上回り、一般的な作業であれば問題なく行なえます。またすべてのテストでRTX 3060搭載機を上回ったのには驚きました。Core i7-11800Hの高い性能が影響しているのかもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10276
9784
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
9426
6630
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
8707
4840
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。テスト結果の比較用にエントリークラスのクリエイター向けノートPCの▶IdeaPad Slim 560 Pro(16)(Ryzen 7 5800H+16GBメモリー+GTX 1650)と、ミドルレンジゲーミングノートPCの▶GALLERIA XL7C-R36(Core i7-11800H + 16GBメモリー + RTX 3060)、ハイエンドゲーミングノートPCの▶ROG Strix SCAR 15 G533QS(Ryzen 9 5900HX+ 32GBメモリー+RTX 3080 )の結果もまとめました。
Procyonベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Photo Editing |
※エラー
4695
7406
6811 |
Image Retouching |
7217
4907
6708
6896 |
Batch Processing |
※エラー
4494
8178
6728 |
Video Editing |
4680
3268
5351
5901 |
一部のテストでエラーが出てしまったものの、画像処理系テストの結果は悪くありません。動画編集では上位GPU搭載機には劣るものの、フルHDクラスの動画編集であれば問題なく快適に行なえるはずです。
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均19.2秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、起動はやや遅めす。とは言え、待たされている感はあまりありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 18.9秒 |
---|---|
2回目 | 19.3秒 |
3回目 | 19.2秒 |
4回目 | 19.3秒 |
5回目 | 19.3秒 |
平均 | 19.2秒 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公開されていません。そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、3時間59分で休止状態へ移行しました。
かなり短い結果ですが、電力消費の大きいCPUとしてはとGPUが最大パフォーマンスで動作していることを考えればしかたがありません。外出先では電源アダプターを利用するほうがいいでしょう。CPU内蔵グラフィックスを優先したりパフォーマンス設定を低めに変更すれば、駆動時間が多少は伸びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 3時間49分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 1時間 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間51分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム性能
RTX 3050 Tiは本来なら、重いゲームでも画質を下げることで普通にプレー(平均60 FPSオーバー)可能です。しかしInspiron 15 Plusではクリエイティブワーク用のRTX Studioドライバーがインストールされているため、ゲーム系ベンチマークでは低いスコアが出ました。ドライバーをゲーム用に変えればスコアは上昇するはずですが、そのままでも中量級タイトルなら普通に楽しめるはずです。
なおCore i5 / RTX 3050搭載モデルでは、スコアがさらに下がる可能性があります。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 4855 / やや快適 |
標準品質 | 5340 / やや快適 |
軽量品質 | 5463 / やや快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 13182 / 92 FPS |
高品質 | 16000 / 114.7 FPS |
標準品質 | 19126 / 141.7 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 24131 / すごく快適 |
標準品質 | 24262 / すごく快適 |
低品質 | 24576 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
画像処理や小規模な動画編集向き
第11世代CoreプロセッサとGeForce RTX 30 シリーズの高いパフォーマンスと、スリムでコンパクトな本体デザインが魅力です。クリエイター向けノートPCはデカくてゴツいタイプが多いのですが、Inspiron 15 Plusならスッキリとしたフォルムで高い満足感を得られるでしょう。
そのぶんパフォーマンスはゴツいPCよりもやや抑えめですが、写真の現像や画像の加工、フルHDクラスの小規模な動画作りであれば快適に使えるはずです。スリムなのにパワフルなノートPCとしておすすめします。
※2021年11月11日時点
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