レノボのLegion T570iは、第12世代CoreプロセッサとGeForce GTX / RTXシリーズを搭載するゲーミングPCです。グレードとしては、エントリー(入門)からミドルレンジ(中級)クラス。ミニタワー型ながら拡張性とエアフローが優秀で、自分でパーツを追加 / 交換して使うのにも向いています。
今回はGTX 1660 SUPER搭載モデルを検証したのですが、旧世代のGPUだけあって性能的にはイマイチです。いま購入するなら、RTX 3060以上を選んでください。ただし電源容量が500Wで固定のため、上位CPU / GPUを使うには少々不安があります。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
Legion T570i
※製品ページが開かない場合は、上記リンクを再度開き直してください
スペック
OS | Windows 11 Home / Pro |
---|---|
CPU | Core i5-12400 / Core i5-12400F / Core i7-12700 / Core i7-12700F / Core i9-12900 / Core i9-12900F |
チップセット | B660 |
グラフィックス | GTX1650 / GTX1660 SUPER / RTX 3050 / RTX 3060 / RTX 3060 Ti / 3070 |
メモリー | 8~32GB ※DDR5-4800、最大128GB、スロット×4 |
ストレージ | SSD + HDD |
拡張スロット | PCI Express 4.0 x16×1、PCI Express 3.0 x4×1、M.2×2(Wi-Fi用×1、ストレージ用×1) |
ドライブベイ | 3.5インチ×2、2.5インチ×1 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.1、有線LAN(1Gbps) |
サイズ / 重量 | 幅205×奥行き420×高さ395mm / 約14kg |
電源 | 500W |
本体デザイン
本体の外観
LEDイルミネーション
インターフェースについて
分解方法とパーツ交換について
右側面(裏配線)
左側面
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-12400F |
---|---|
メモリー | 16GB(8GB×2) |
ストレージ | 512GB SSD + 1TB HDD |
グラフィックス | GTX 1660 SUPER(6GB) |
※各種ベンチマークテストは、Windows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「Lenovo Vantage」の「サーマル・モード」を「パフォーマンス・モード」に設定して実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしてはインテル第12世代のCore i5 / i7 / i9が使われています。試用機で使われていたCore i5-12400Fは、ゲーミングPC向けCPUとしては中位クラス。高度な動画編集などには向きませんが、エントリ~ミドルレンジクラスのゲーマー向けとしては十分です。
より重い処理をこなしたい、あるいは高性能なCPUとGPUでeスポーツレベルのプレーに使いたいのであれば、Core i7やCore i9などの上位CPUを選ぶといいでしょう。ただし電源容量が500Wまでなので、パーツの組み合わせによっては不安があります。CPUならCore i7まで、GPUはミドルレンジまであたりに留めておいたほうが無難です。
CPUの性能(マルチコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Core i9-12900K |
25869
|
Core i7-12700K |
20823
|
Core i7-12700KF |
20276
|
Core i7-12700 |
15938
|
Ryzen 7 5700G |
14319
|
Core i7-11700K |
13568
|
Core i5-12400F |
12381
|
Legion T570i(Core i5-12400F) |
12380
|
Core i5-12400 |
11524
|
Ryzen 5 5600G |
10414
|
Core i5-11400 |
7831
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能(シングルコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Core i7-12700 |
1893
|
Core i7-12700K |
1836
|
Core i9-12900K |
1850
|
Core i7-12700KF |
1786
|
Core i5-12400 |
1712
|
Legion T570i(Core i5-12400F) |
1710
|
Core i5-12400F |
1710
|
Core i7-11700K |
1572
|
Ryzen 7 5700G |
1497
|
Ryzen 5 5600G |
1431
|
Core i5-11400 |
1404
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としてはGeForce GTX / RTXのエントリー~ミドルレンジクラスが使われています。試用機で使われていたGTX 1660 SUPERは価格が安いメリットはあるものの、現在のゲーミングPCのなかでは性能がかなり低めです。ゲームを本格的に楽しみたいのであれば、RTX 3060以上のモデルを選んでください。
ただし前述のとおりLegion T570iは電源容量が500Wで、RTX 3070などの上位GPUを使うにはかなり不安があります。自分で電源ユニットを交換することもできますが、どうしてもLegion T570iを選びたいのであれば、RTX 3060あたりに留めておいたほうがいいでしょう。
GPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
35400
|
RTX 3090 Ti |
21686
|
RTX 3090 |
20531
|
RTX 3080 Ti |
19908
|
RTX 3080 |
17658
|
RTX 3070 Ti |
14821
|
RTX 3070 |
13680
|
RTX 3060 Ti |
11769
|
RTX 3060 |
8744
|
RTX 3050 |
6202
|
GTX 1660 SUPER |
6087
|
Legion T570i(GTX1660S) |
5889
|
GTX 1650 |
3548
|
※スコアはUL Solutionsによる平均値
GPU性能(DirectX 11,FHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
77228
|
RTX 3090 Ti |
52350
|
RTX 3080 Ti |
47769
|
RTX 3090 |
47321
|
RTX 3080 |
42185
|
RTX 3070 Ti |
37126
|
RTX 3070 |
33829
|
RTX 3060 Ti |
29415
|
RTX 3060 |
22257
|
Legion T570i(GTX1660S) |
16303
|
GTX 1660 SUPER |
16154
|
RTX 3050 |
15973
|
GTX 1650 |
9543
|
※スコアはUL Solutionsによる平均値
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は、全体的に非常に優秀です。しかしコンテンツ制作のテストでスコアが低めに出ているのが気になります。軽めのゲーム用には十分ですが、そのほかの用途で使うなら上位CPU / GPU搭載モデルを選んでください。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10683
10256
11430
11660
10840
11134
11414 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
10409
9930
7865
10561
10397
10762
10614 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
9624
5707
6313
10484
13307
15076
15410 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶ThinkCentre M75q Gen2 | Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon |
---|---|
▶ThinkCentre Neo 50t | Core i7-12700 / 16GB / UHD 770 |
▶XPS 8950 | Core i7-12700 / 16GB / GTX 1650S |
▶Alienware Aurora R13 | Core i7-12700KF / 16GB / RTX 3070 |
▶Legion T770i | Core i7-12700K / 32GB / RTX 3080 |
▶OMEN 45L | Core i9-12900K / 32GB / RTX 3090 |
ゲーム性能
試用機で使われているGTX 1660 SUPERは旧世代のミドルレンジGPUですが、現行世代ではエントリークラスの性能です。処理がやや重い程度の中量級タイトルなら普通に楽しめるものの、非常に重いタイトルだと画質を落とさないとプレーは厳しいでしょう。中量級FPSならフルHDの最低画質で144Hzターゲット、競技系FPSで240Hzターゲットあたりと考えてください。
エントリークラスとしては妥当なところですが、現在のPCゲーミング事情を考えるとやや物足りなさがあります。GTX 1660 SUPERだとコスパもよくないので、RTX 3060以上のモデルを選んでください。
GTX 1660 SUPER検証結果まとめ
- ・激重タイトルは厳しい
- ・レイトレ非対応
- ・中量級FPSは最低画質で144Hz向け
- ・競技系FPSは300Hzあたり
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
解像度 | スコア / 平均FPS |
フルHD | 15950 / 109.6 |
※画質は「最高品質」
ファークライ6(そこそこ重い / DX12)
レイトレ無効
解像度 | 平均FPS / 最小FPS |
フルHD | 72 / 64 |
※画質は「最高」
アサシン クリード ヴァルハラ (激重)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 49 / 38 |
※画質は「最高」
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 65.2 / 49.9 |
最低画質 | 196.8 / 128.9 |
※解像度はフルHD。実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
レインボーシックス シージ(軽い) ※DirectX
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 278 / 217 |
※画質は最高設定。ゲーム内ベンチマークの結果
CS:GO FPS Benchmark(軽い)
解像度 | 平均FPS |
フルHD | 346.07 |
※ワークショップ内のマップ「FPS Benchmark」を使用、画質は最高設定
ヴァロラント 屋外射撃場(軽い)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 362.8 / 211.1 |
※画質は最高設定、屋外射撃場で武器を使用しながら走り回った結果。実際のプレーではこの結果よりもFPSが10%程度低下します
Core i5 + RTX 3060モデルが狙い目
2022年11月上旬時点でいくつかのモデルが販売されていますが、狙い目はCore i5 + RTX 3060モデルです。相場的にはそこそこ安く、スペックも十分。今回試用したGTX 1660 SUPERモデルはコスパが相当悪く、上位GPU搭載モデルには電源容量(500W)的な不安があります。
おすすめモデル(公式サイト)
スペック | 価格 |
---|---|
Core i5-12400F / 16GB / GTX 1660S | 15万6418円 |
Core i5-12400F / 16GB / RTX 3060 | 15万6530円 |
Core i7-12700F / 16GB / RTX 3060 | 17万6220円 |
Core i7-12700F / 16GB / RTX 3060 Ti | 19万5910円 |
Core i7-12700F / 32GB / RTX 3070 | 23万4960円 |
※2022年11月13日時点
よりパワフルなゲーミングPCを希望するなら、同じレノボのほかの機種をおすすめします。
https://komameblog.jp/review/legion-t770i/
https://komameblog.jp/review/t550/
CPUがCore i5であるなら、熱に対しての不安はあまりないでしょう。気になるなら、トップやフロントに、空冷ファンを取り付けてください。エアフローや拡張性もなかなかいいので、パーツを追加 / 交換しながら長く使うのもアリです。
Legion T570i
※製品ページが開かない場合は、上記リンクを再度開き直してください
*
当サイトでは2~3万円台の格安ノートPCから高性能ノートPCまで、さまざまな最新モデルを検証・解説しています。記事の更新情報やお買い得情報を当サイトのTwitterアカウントでお知らせしているので、ぜひフォローをお願いします。
ツイッターでこまめブログをフォローする
関連記事