レノボのLegion T770iは、第12世代CoreプロセッサとGeForce RTX 30シリーズを搭載するゲーミングPCです。2022年11月上旬時点ではCore i9-12900K / 32GBメモリー / RTX 3080の構成で32万円台で販売されており、同構成のPCのなかでは最安クラス。コスパの高いハイエンドモデルとしておすすめします。
ただし高負荷時にはCPUやGPUが、そこそこ高めの温度に達しました。パーツ的なポテンシャルは高いものの、最大パフォーマンスで使うのではなく、標準設定でパワーをやや抑えながら長く大切に使う機種のようです。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
Legion T770i
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スペック
OS | Windows 11 Home / Pro |
---|---|
CPU | Core i7-12700KF / Core i7-12700K / Core i9-12900KF / Core i9-12900K |
チップセット | Z690 |
グラフィックス | RTX 3060 Ti / 3070 / 3070 Ti / 3080 / 3080 Ti |
メモリー | 16~64GB ※DDR5-4800、最大128GB、スロット×4 |
ストレージ | SSD + HDD |
拡張スロット | PCI Express 5.0 x16×1、PCI Express 4.0 x16×1(4レーン)、PCI Express x1×2、M.2×4(Wi-Fi用×1、ストレージ用×3) |
ドライブベイ | 3.5インチ×2(空き1) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.0、有線LAN(2.5Gbps) |
サイズ / 重量 | 幅211×奥行き483×高さ450mm / 約15kg |
電源 | 850W |
本体デザイン
本体の外観
LEDイルミネーション
インターフェースについて
分解方法とパーツ交換について
右側面(裏配線)
左側面
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-12700K |
---|---|
メモリー | 32GB(16GB×2) |
ストレージ | 512GB SSD + 2TB HDD |
グラフィックス | RTX 3080(10GB) |
※各種ベンチマークテストは、Windows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「Lenovo Vantage」の「サーマル・モード」を「パフォーマンス・モード」に設定して実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしてはインテル第12世代のCore i7またはCore i9が使われています。Core i7-12700K搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、組み立て済みモデルのなかではかなり優秀な結果が出ました。組み立て済みモデルはBTO PCや自作PCに比べてスコアがやや劣る場合が多いのですが、Legion T770iは同等クラスの結果です。おそらく高い冷却性能によって、CPU性能が十分に発揮されているのでしょう。
CPUの性能(マルチコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Core i9-12900K |
25869
|
Legion T770i(Core i7-12700K) |
22267
|
Core i7-12700K |
20823
|
Core i7-12700KF |
20276
|
Core i7-12700 |
15938
|
Ryzen 7 5700G |
14319
|
Core i7-11700K |
13568
|
Core i5-12400F |
12381
|
Core i5-12400 |
11524
|
Ryzen 5 5600G |
10414
|
Core i5-11400 |
7831
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能(シングルコア)
CPU | CINEBENCH R23スコア |
---|---|
Legion T770i(Core i7-12700K) |
1925
|
Core i7-12700 |
1893
|
Core i7-12700K |
1836
|
Core i9-12900K |
1850
|
Core i7-12700KF |
1786
|
Core i5-12400 |
1712
|
Core i5-12400F |
1710
|
Core i7-11700K |
1572
|
Ryzen 7 5700G |
1497
|
Ryzen 5 5600G |
1431
|
Core i5-11400 |
1404
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としてはGeForce RTX 30シリーズのうち、ミドル~ミドルハイクラスのRTX 3060 Ti / RTX 3070 / RTX 3070 TiまたはハイエンドクラスのRTX 3080 / 3080 Tiが用意されています。
すでにRTX 40シリーズがリリースされており、30シリーズはひと世代前のGPUとなってしまいました。しかし2022年11月時点ではまだメインで稼働しているシリーズであり、十分現役レベルの性能です。
RTX 3080搭載の試用機ではDirect X12のテストでやや低め、Direct X11のテストではかなり高めのスコアが出ました。組み立て済みモデルでは3DMarkの平均値を大きく下回ることが多いので、非常に優秀な結果です。ほかのGPUでも、相応の結果が出ると思われます。
GPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
35400
|
RTX 3090 Ti |
21686
|
RTX 3090 |
20531
|
RTX 3080 Ti |
19908
|
RTX 3080 |
17658
|
Legion T770i(RTX3080) |
17170
|
RTX 3070 Ti |
14821
|
RTX 3070 |
13680
|
RTX 3060 Ti |
11769
|
RTX 3060 |
8744
|
RTX 3050 |
6202
|
GTX 1650 |
3548
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
GPU性能(DirectX 11,FHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
77228
|
RTX 3090 Ti |
52350
|
RTX 3080 Ti |
47769
|
RTX 3090 |
47321
|
Legion T770i(RTX3080) |
44099
|
RTX 3080 |
42185
|
RTX 3070 Ti |
37126
|
RTX 3070 |
33829
|
RTX 3060 Ti |
29415
|
RTX 3060 |
22257
|
RTX 3050 |
15973
|
GTX 1650 |
9543
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
レイトレーシング性能についても、十分なテスト結果です。WQHD時のレイトレでスコア1万オーバーなら、フルHD~WQHDでは問題なくプレーできるでしょう。ただし4Kではちょっと厳しいかもしれません。
GPU性能(レイトレーシング性能)
GPU | 3DMark Port Royalスコア |
---|---|
RTX 3090 |
12485
|
Legion T770i(RTX3080) |
11176
|
RTX 3080 |
10813
|
RTX 3070 |
8109
|
RTX 3060 |
5265
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は、全体的に非常に優秀です。ただし一般用途やビジネス作業での体感速度は、dGPUなしのPCと変わりません。コンテンツ制作に関しては十分すぎるほどの結果が出ています。ゲーム以外の用途でも、十分活用可能です。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
11134
10256
11430
11660
10840
11107
11414 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
10762
9930
7865
10561
10397
10242
10614 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
15076
5707
6313
10484
13307
13811
15410 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶ThinkCentre M75q Gen2 | Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon |
---|---|
▶ThinkCentre Neo 50t | Core i7-12700 / 16GB / UHD 770 |
▶XPS 8950 | Core i7-12700 / 16GB / GTX 1650S |
▶Alienware Aurora R13 | Core i7-12700KF / 16GB / RTX 3070 |
▶OMEN 40L | Core i7-12700K / 16GB / RTX 3070 Ti |
▶OMEN 45L | Core i9-12900K / 32GB / RTX 3090 |
ゲーム性能
試用機で使われているRTX 3080は、4KターゲットのハイエンドGPUです。中量級あたりまでのタイトルなら、4Kでも120~144Hzでプレーできるでしょう。重いタイトルだと、4Kで平均60FPSあたりです。
FPS系なら中量級でフルHDの240Hzあたり、競技系でフルHDの500Hzまでは出るはずです。ハイエンド向けのゲーミングディスプレイを使えば、e-sportsレベルの遅延のないプレーを楽しめます。
なおそのほかのGPUについては、RTX 3070シリーズでWQHD(2560×1440ドット)ターゲット、RTX 3060シリーズでフルHD(1920×1080ドット)ターゲットと考えてください。
RTX 3080検証結果まとめ
- ・激重タイトルでも4KはギリOK
- ・レイトレはFHD向け
- ・中量級FPSは200~240Hz向け
- ・競技系FPSは450~500Hz
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
解像度 | スコア / 平均FPS |
フルHD | 28058 / 202.5 |
4K | 14499 / 97.4 |
※画質は「最高品質」
ファークライ6(そこそこ重い / DX12)
レイトレ無効
解像度 | 平均FPS / 最小FPS |
フルHD | 142 / 67 |
4K | 74 / 67 |
※画質は「最高」
レイトレ有効
解像度 | 平均FPS / 最小FPS |
フルHD | 111 / 96 |
4K | 63 / 57 |
※画質は「最高」
アサシン クリード ヴァルハラ (激重)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 110 / 78 |
4K | 59 / 45 |
※画質は「最高」
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 276.7 / 164.9 |
4K | 135.2 / 97.8 |
※画質は最高設定。実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
レインボーシックス シージ(軽い) ※DirectX
解像度 | 平均FPS / 最低FPS |
フルHD | 518 / 335 |
4K | 255 / 218 |
※画質は最高設定。ゲーム内ベンチマークの結果
CS:GO FPS Benchmark(軽い)
解像度 | 平均FPS |
フルHD | 644.45 |
4K | 351.96 |
※ワークショップ内のマップ「FPS Benchmark」を使用、画質は最高設定
ヴァロラント 屋外射撃場(軽い)
解像度 | 平均FPS / 低位1% |
フルHD | 479.4 / 226.3 |
4K | 434.8 / 224.6 |
※画質は最高設定、屋外射撃場で武器を使用しながら走り回った結果。実際のプレーではこの結果よりもFPSが10%程度低下します
発熱について
CPU温度
ベンチマーク時におけるCPUの温度は概ね93度前後です。CPUベンチマークテストでは優れた結果が出ていましたが、熱もそれなりに生じているようです。高いパフォーマンスが出るのはありがたいことですが、パーツの劣化が進む可能性もあるのでパフォーマンス設定を下げたほうが長期的には好ましいでしょう。
GPU温度
GPUに高い負荷がかかるストレステストを行なったところ、GPU全体の温度を表わす”GPU温度”は最終的に73度あたりを推移していました。この数値だけを見ると問題ないようですが、部分的な最大温度である”GPUホットスポット温度”は83度前後を推移しており、さらにグラボのメモリー(VRAM)温度を表わす”GPUメモリジャンクション温度”は90度にまで達しています。
この程度なら問題ないと判断するケースもあるかもしれません。しかし可能ならもう少し、温度を低く抑えたいものです。標準収録ユーティリティで「サーマル・モード設定」を「バランス・モード」に変更したり、「MSI Afterburner」などのソフトでGPUのクロックやファン速度を調整するといいでしょう。
第12世代Core i9 + RTX3080では最安
2022年11月上旬時点ではいくつかのモデルが販売されていますが、もっとも安いのはCore i9 + RTX 3080です。そのほかのモデルはランクの低いパーツが使われているのに、Core i9 + RTX 3080モデルよりも高い値段が設定されています。実質的に、選ぶべきなのはこのモデルのみ。同構成の他社製品なら相場は安くても36万円前後なので、32万円台はけっこうお買い得です。
おすすめモデル(公式サイト)
スペック | 価格 |
---|---|
Core i9-12900K / 32GB / RTX 3080 | 32万8574円 |
※2022年11月11日時点
ただし前述のように、CPUとGPUの熱が若干気になります。おそらく最大パフォーマンスでぶん回す機種ではなく、標準設定でパフォーマンスを抑えて使うのが最適解なのでしょう。それでもミドルレンジ機より高い性能を発揮できるので、普通に使うには十分です。電源容量が850Wというのもわりとギリギリな印象ですが、標準設定で利用する限りなら問題ないのかもしれません。
最新&最強にこだわらないなら、非常にお買い得です。コスパの高いゲーミングPCとしておすすめします。
Legion T770i
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