HUAWEI(ファーウェイ)のMateBook 14 2020は、14インチの3:2ディスプレイを搭載するノートPCです。ゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCで使われるRyzenモバイルHシリーズを搭載しながらも、本体がスリムでコンパクトである点が魅力。価格もお手ごろで高コスパなノートPCです。
ラインナップ
Ryzen 5モデル | |
---|---|
10万9780円 | |
Ryzen 7モデル | |
12万0780円 |
※2021年7月29時点
HUAWEI MateBook 14 2020のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
画面サイズ | 14インチ |
解像度 | 2160×1440 ※アスペクト比 3:2 |
CPU | ・Ryzen 5 4600H ・Ryzen 7 4800H |
メモリー | 16GB ※DDR4 3200 |
SSD | 512GB |
HDD | なし |
グラフィックス | Radeon |
リフレッシュレート | 60Hz |
モバイル通信 | - |
堅牢性テスト | - |
色域 / 輝度 | sRGB 100% / 300nit |
幅×奥行き | 約308×約224mm |
厚さ | 約15.9mm |
重量 | 約1.4kg |
バッテリー | ・約12.9時間(Ryzen 5) ・約11.2時間(Ryzen 7) |
※2021年7月29日時点。構成は変更される場合があります
本体カラー | スペースグレー |
---|---|
画面の表面 | 光沢 |
パネルの種類 | IPS |
タッチ / ペン | タッチ対応(Ryzen 7モデルのみ) |
光学ドライブ | - |
テンキー | - |
有線LAN | - |
無線LAN | Wi-Fi 5 |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.2 | 2(Gen1) |
USB3.0 | - |
USB2.0 | - |
USB Type-C | 1(PD/DP対応) |
Thunderbolt | - |
メモリーカード | - |
HDMI | 1(1.4b) |
VGA (D-sub15) | - |
DisplayPort | - |
Webカメラ | 720p(92万画素) |
顔認証カメラ | - |
指紋センサー | 搭載 |
付属品 | ACアダプターなど |
オフィス | なし |
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶デザインと使いやすさ
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
HUAWEI MateBook 14 2020
10万9780円~
※2021年7月29日時点
デザインと使いやすさ
外観について
HUAWEI MateBook 14 2020は、ゲーミングノートPC向けのAPUを搭載するハイパフォーマンスなノートPCです。しかし外観はゲーミングノートPCのようにゴツくはなく、スタンダードノートPCやモバイルノートPCと変わりません。スリムかつコンパクトで、高級感があります。
ディスプレイについて
ディスプレイのサイズは14インチ。モバイルノートPCで主流の13.3インチよりも、わずかに大きめです。解像度は2160×1440ドットで、ディスプレイの表面は光沢のあるグレアタイプ。Ryzen 7モデルのみ、タッチ操作に対応しています。
画面比率は3:2で、ノートPCでは標準的な16:9よりも縦長です。そのぶん画面あたりの情報量が増えるので、作業効率がアップするでしょう。
映像は比較的自然な色合いですがやや暗く、緑が強い印象です。公式スペックによると色域は100% sRGBとのこと。実際に色域を計測したところ、sRGBカバー率は100%でした。標準時の色味に違和感がある場合は、キャリブレーターを使ってキャリブレーション(色味の調整)を行なうといいでしょう。
色域測定結果
sRGBカバー率 | 100% |
---|---|
Adobe RGBカバー率 | 76.1% |
DCI-P3カバー率 | 76.1% |
キーボードについて
キーボードはテンキーなしで、バックライト対応。キーピッチは実測で19mmと標準的な広さです。ただし数字の「0」キーより右の3つがやや小さく作られていますが、実際に入力してみても特に違和感はありませんでした。
ストロークは非常に浅く、実測で0.97mmでした。個人的には、MacBookのようなタイプ感に感じます。押した瞬間のクリック感は軽めで、指を大きく上げ下げすることなく軽い力で入力可能。ただスイッチ部分に若干のグラつきがあるので、人によっては指のブレを感じるかもしれません。キートップはやや大きめで、打ち損じも少なめ。筆者としてはストロークが深いキーボードのほうが好みなのですが、ストロークの浅いキーボードとしてはストレスなく普通に使えました。
タイプ音はかなり控えめです。ごく軽い力でもタクタクと聞こえますが、うるさくありません。スペースキーの音はややチャキッと響くものの、Enterキーのタイプ音は静かです。ただし指を打ち下ろすようにして入力すると、タンタンと響くので注意してください。
インターフェース/機能について
インターフェースは、数も種類も多くはありません。USB端子は合計3ポートで、うち1ポートがType-Cです。あとは映像出力用のHDMIとヘッドホン端子のみ。有線LANやメモリーカードスロットには対応していない点に注意してください。
モバイル向けとしてなら十分ですが、作業をガッツリ行なうのであれば端子が足りない可能性があります。Type-Cドックを積極的に活用するといいでしょう。
Type-C端子の機能
USB PD 18W充電 | △ ※低速充電 |
---|---|
USB PD 30W充電 | ○ |
USB PD 45W充電 | ○ |
USB PD 65W充電 | ○ |
USB PD 100W充電 | ○ |
映像出力 | ○ |
カメラはF6キーとF7キーのあいだに配置されています。顔を下から見上げるような角度なので、ビデオ会議時には注意したほうがいいかもしれません。画面に顔を近づけるのではなく、ある程度離して利用するといいでしょう。
スピーカーは底面配置。音が出る部分が接地面でふさがれているので、音はややこもり気味です。しかし音質はそれほど悪くありません。解像感は高く、音の厚みもスリム型ノートPCとしては十分です。ただ音質改善ソフトの影響が強く出ているように感じます。高音域はかなり抑え気味で、低音域は逆にブースト気味。好みはわかれるかもしれませんが、筆者はなんとなく不自然な音に聞こえました。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 7 4800H |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※各ベンチマークテストはWindows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト「Huawei PC Manager」の「パフォーマンス調整」を「パフォーマンス」に変更して実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
※グラフィックス機能内蔵のAMD製プロセッサーは本来「APU」と呼ばれますが、ここではわかりやすさ優先で「CPU」と表記します
CPU性能
CPUとしては、旧世代のRyzen 5 4600H(6コア/12スレッド)またはRyzen 7 4800H(8コア/16スレッド)が使われています。ゲーミングノートPCやクリエイター向けノートPCで使われているCPUで、非常に高性能です。
Ryzen 7 4800H搭載の試用機でCPU性能を計測するベンチマークテストを試したところ、同じCPUの平均値を下回る結果が出ました。CPUの熱が上がりすぎるのを防ぐため、あえてパフォーマンスを落としているのでしょう。HUAWEI MateBook 14 2020のスリムかつコンパクトな筐体でフルパワーを出すのは厳しいのかもしれません。
しかしそれでも、スタンダードノートPCとしては非常に優秀な結果です。現時点で最高クラスCPUのひとつであるRyzen 7 5700Uと同等レベルと言っていいかもしれません。コンパクトなノートPCとしては、驚くべき性能です。
CPUの性能差(総合性能)
CPU | PassMark 9.0 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 4800H |
19999
|
Ryzen 7 5700U |
18449
|
MateBook 14 (Ryzen 7 4800H) |
17135
|
Ryzen 5 5500U |
14737
|
Core i7-1165G7 |
12643
|
Core i5-1135G7 |
11434
|
Ryzen 3 5300U |
9550
|
Core i3-1115G4 |
7398
|
Ryzen 3 3250U |
5202
|
Athlon Silver 3050U |
3851
|
Celeron N4120 |
2771
|
Celeron N4500 |
2010
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差(マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 4800H |
4307
|
MateBook 14 (Ryzen 7 4800H) |
3799
|
Ryzen 7 5700U |
3512
|
Ryzen 5 4600H |
3293
|
Ryzen 5 5500U |
2817
|
Core i5-1135G7 |
2063
|
Core i7-1165G7 |
1963
|
Core i3-1115G4 |
1314
|
Ryzen 3 3250U |
818
|
Athlon Silver 3050U |
624
|
Celeron N4120 |
435
|
Celeron N4500 |
426
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
3D性能を計測するベンチマークテストでは、Ryzen 7の平均値よりもやや低いスコアが出ました。あえてパフォーマンスを落としている影響が出ているものと思われます。とは言え、内蔵グラフィックスとしては悪くありません。1~2世代前のノートPCよりも性能が高く、ゲームやグラフィックス系ソフトなどで効果が多少あるはずです。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
MX450 |
1996
|
MX350 |
1382
|
Iris Xe (Core i7) |
1250
|
Iris Xe (Core i5) |
1066
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
MateBook 14 (Ryzen 7) |
948
|
Iris Plus |
812
|
Radeon (Ryzen 5) |
784
|
Radeon (Ryzen 3) |
619
|
UHD |
407
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能差(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
MX450 |
4900
|
Iris Xe (Core i7) |
4561
|
MX350 |
3931
|
Iris Xe (Core i5) |
3478
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
MateBook 14 (Ryzen 7) |
2995
|
Iris Plus |
2880
|
Radeon (Ryzen 5) |
2652
|
Radeon (Ryzen 3) |
2324
|
UHD |
1335
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。テスト結果の比較用に14インチモバイルノートPCのThinkPad X1 Carbon Gen9(Core i7-1165G7+16GBメモリー)と、クリエイター向けノートPCのraytrek R5-CA(Core i7-10875H+16GBメモリー+RTX 3060)の結果もまとめました。
ベンチマーク結果では、非常に優秀な結果が出ています。快適に使える目安の目標値を大きく上回り、さらに20万円クラスのThinkPad X1 Carbon Gen9と同等レベルのスコアです。GPU性能が影響するコンテンツ制作のテストではさすがにRTX 3060搭載機種には及びませんが、内蔵グラフィックスタイプとしてはなかなか優秀と言っていいでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
9174
10193
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7711
7072
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5703
5203
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
ストレージのアクセス速度
ストレージは512GB SSDです。試用機ではPCIe 3.0 x4接続の超高速タイプが使われており、アクセス速度も十分高速でした。ただし負荷の高いテストを連続して行なうとシーケンシャルライトの速度が若干低下するので、サーマルスロットリングの影響があるかもしれません。
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公称値で、約11.2時間とされています。しかし公称値は実際の利用を想定した結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこで最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、7時間3分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短いものの、消費電力の大きい高性能CPU搭載機としては長持ちと言っていいでしょう。ただしバッテリー駆動時は、電源接続時よりもパフォーマンスが低下する可能性があるので注意してください。
バッテリー駆動時間の計測結果(Ryzen 7モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約11.2時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 7時間3分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 59分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 2時間17分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム系ベンチマーク結果
Ryzen 7モデルでゲーム系ベンチマークテストを試したところ、ごく軽いドラクエ10ベンチではフルHDの最高画質でも快適に楽しめるとの評価でした。軽めのゲームであれば、解像度や画質の調整で問題なくプレーできるはずです。ただし少し重めのゲームでは厳しいかもしれません。基本的にはごく軽いゲームを息抜き程度でと考えたほうが無難です。
※テストはすべてフルHDで実施
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 719 / 動作困難 |
標準品質 | 1499 / 動作困難 |
軽量品質 | 1888 / 動作困難 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 2485 / 16.8 FPS |
高品質 | 3331 / 22.8 FPS |
標準品質 | 4198 / 29.1 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 7692 / とても快適 |
標準品質 | 10201 / すごく快適 |
低品質 | 11104 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
旧世代APUでも十分アリ
よかった点
RyzenモバイルHシリーズによる、高いパフォーマンスが魅力です。すでに現在ではRyzenモバイル5000Uシリーズ搭載機種が出回っていますが、今回試用したRyzen 7モデルは性能面で負けていません。また旧APUが使われているぶん価格もお手ごろ。性能的には15~20万円クラスでもおかしくありませんが、上位のRyzen 7モデルでもほぼ12万円です。
さらに、作業がはかどるアスペクト比3:2の160×1440ドットディスプレイも魅力。色域はsRGB 100%なので、キャリブレーターがあればクリエイティブな用途にも利用できます。価格が安く高性能、しかも映像品質がいいと3拍子そろった、コスパの高い機種としておすすめします。
気になる点
個人的にはキーボードのストロークの浅さが気になりました。またメモリーカードスロットが付いていない点が残念です。
HUAWEI MateBook 14 2020
10万9780円~
※2021年7月29日時点
*
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