GMKtecの「NucBox G3 Plus」は、最新の(というか未発表の)CPU「インテルプロセッサーN150(以下、”N150″)」を搭載したミニPCです。記事執筆時点の価格は1万8000円台で、非常に安い点が特徴。人気のN100搭載機の後継モデルとして注目を集めています。
主な特徴
発売 | 2024年12月 | 価格 | 1.8~2万円前後 |
---|---|---|---|
OS | Windows 11 Pro | ライセンス | OEM版(問題なし) |
CPU | インテルプロセッサーN150 | メモリースロット | 1 |
グラフィックス | UHD Graphics | SSD増設 | 可能 (M.2 SATA Type-2242) |
メモリー | DDR4-3200 8 / 16GB | Type-C | なし |
ストレージ | 256 / 512GB M.2 PCIe 3.0 SSD | 電力制限(標準時) | PL1:10W / PL2:15W |
有線LAN | 2.5Gb×1 | 騒音 | ほぼ無音 |
実際にいろいろと触ってみましたが、N100搭載の旧モデルと性能面ではほぼ変わりませんでした。テストによって多少の差は出るものの、性能の違いを体感的できるほどではありません。
ただ静音性については非常に優秀です。低性能タイプのCPUを搭載するミニPCでも多少の駆動音は聞こえるものですが、NucBox G3 Plusでは騒音をほとんど感じられませんでした。静かな環境で使いたい人に向いています。
この記事ではメーカーから提供された実機を使って、外観や性能、実際の使い心地などをレビューします。
おことわり
このレビュー記事では、実機を10日間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。
スペック
発売日 | 2024年12月 |
---|---|
OS | Windows 11 Pro |
CPU | Intel N150(4コア4スレッド) |
NPU | なし |
メモリー | DDR4-3200 8GB ※8GB×1 |
SSD | 256 / 512GB PCIe3.0 x4 NVMe SSD |
グラフィックス | UHD Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN(2.5Gb)×1 |
インターフェース | USB3.2 Gen1×4、HDMI(4K@60Hz)×2、3.5mmステレオジャック、有線LAN(2.5Gb) |
ドライブベイ | なし |
スロット | M.2スロット×3(ストレージ用×2、Wi-Fi用×1) |
付属品 | VESAマウンタ、HDMIケーブル、電源アダプターなど |
サイズ / 重量 | 幅106×奥行き114×高さ42.5mm / 361g |
Windowsのラインセンス
OSには、Windows 11 Proが使われています。ライセンスは通常のOEMライセンスです。ミニPCでは個人利用不可のボリュームライセンス(VL)が使われていることがありますが、NucBox G3 Plusのライセンスは問題ありません。
技適マークについて
無線通信機器に必要な技適マークは、本体底面部にシールとして貼られています。
上記番号は「総務省電波利用ホームページ」の検索結果で「G3」(他モデルと共通)のものとして登録されているのを確認しました。
関連リンク
PSEマークについて
電源アダプターには「電気用品安全法」の基準に適合していることを表わすPSEマークがプリントされていました。届出事業者名は「株式会社味福」で、国内での届け出を別の業者が担当したものと思われます。
システムのフルスキャン結果
検証時にWindows Defenderのフルスキャンを実施し、検知可能な脅威が存在しないことを確認しています。
価格
NucBox G3 Plusは、アマゾンや楽天で1万8000円台で販売されています。そのときのセールやクーポンによって大きく変わることがあるので、購入のタイミングには注意してください。
最安モデルの価格
販売ショップ | 価格 |
---|---|
アマゾン | 1万8741円 |
楽天 公式ショップ | 1万8970円 ※クーポン使用時 |
※2025年1月6日時点
パッケージ
VESAディスプレイへの取り付け方法
外観
インターフェース構成
分解・パーツ交換について
本体の分解方法
メモリーの増設について
SSDの増設・換装について
Wi-Fiまわりなど
メンテナンス性
UEFI(BIOS)設定画面
CPUの電力設定
「Main」→「Power Mode Select」から、CPUの消費電力モードを選択できます。標準は「Balance」で、「Peformance」を選べばCPU性能を底上げすることが可能です。「Quiet」を選ぶと、駆動音を抑えられます。
電力設定
項目名 | 概要 | PL1 / PL2 |
---|---|---|
Quiet | 性能を抑えることで駆動音を低減する | 8W / 10W |
Balance ※標準 | 標準のモード | 10W / 15W |
High Performance | もっとも高性能だが騒音も大きい | 15W / 15W |
ベンチマーク結果
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
パフォーマンス設定について
ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「バランス」に設定した上で、UEFI(BIOS)設定から電力モードを「Balance」と「Performance」、「Quiet」に切り替えて実施しています。付属の電源アダプターは接続した状態です。
N150とN100の違いについて
N150こと「インテルプロセッサーN150」は、記事執筆時点(2025年1月上旬)ではまだインテルから正式に発表されていません。従って、仕様の細かな部分は不明です。しかし各社N150搭載ミニPCの製品情報から、以下の点に関しては明らかになっています。
N150とN100の違い
N150 | N100 |
---|---|
4コア4スレッド | |
最大3.6GHz | 最大3.4GHz |
L3キャッシュ 6M | |
TDP 6W | |
UHD Graphics ※CPU内蔵 | |
グラフィックス最大1GHz | グラフィックス最大750MHz |
基本的には「動作クロックがわずかに向上したリフレッシュ版」と考えていいでしょう。性能面ではほとんど変わらないはずですが、もしかすると機能面(命令セットなど)での違いがあるかもしれません。
CPU性能
CPU性能を計測する「CINEBENCH R23」の結果は、以下のとおり。ミニPCのなかでは性能が低いのですが、2万円切りの安さを考えれば仕方がないでしょう。
ミニPCの性能比較
CPU | CINEBENCH R23 Score |
---|---|
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) |
1788
16176 |
ThinkCentre M75q Gen5(Ryzen 7 PRO 8700GE) |
1810
14957 |
GEEKOM AE7(Ryzen 9 7940HS) |
1781
14483 |
MINISFORUM MS-01(Core i9-12900H) |
1720
14156 |
GMKtec NucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H) |
1558
13374 |
MINISFORUM UM773 Lite(Ryzen 7 7735HS) |
1571
12478 |
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H) |
1723
11651 |
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H) |
1504
10281 |
GMKtec NucBox M5 Plus(Ryzen 7 5825U) |
1364
6514 |
GMKtec NucBox M5 (Ryzen 7 5700U) |
1228
6397 |
GMKtec NucBox G6(Ryzen 3 5425U) |
1334
4705 |
NucBox G3 Plus(N150) ※High Performance |
790
2961
|
NucBox G3 Plus(N150) ※Balance |
793
2723 |
NucBox G3 Plus(N150) ※Quiet |
772
2210
|
※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果
1~2万円台の格安ミニPCのなかで比べると、まあまあの性能です。電力設定を変えれば、ベンチマークスコアはかなり改善します。
Alder Lake-N搭載ミニPCの性能比較
CPU | CINEBENCH R23 |
---|---|
CHUWI LarkBox X 2023(N100) |
933
2996 |
NucBox G3 Plus(N150) ※High Performance |
790
2961 |
Acemagic T8 Plus(N100) |
911
2883 |
NucBox G5(N97) |
791
2877 |
NucBox G3(N100) |
796
2865 |
TRIGKEY GREEN G4(N95) |
936
2797 |
CHUWI HeroBox 2023(N100) |
926
2753 |
NucBox G3 Plus(N150) ※Balance |
793
2723 |
NiPoGi AK1PLUS(N97) |
969
2656 |
SkyBarium MN22(N100) |
944
2643 |
NucBox G3 Plus(N150) ※Quiet |
772
2210 |
※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のUHD Graphicsが使われます。位置付け的にはかなりの下のほうで、3Dベンチマークテストでも低めの結果が出ました。ゲームやクリエイティブワーク向けソフトでの効果は期待しないほうが無難です。
ただN100よりも、グラフィックス性能は少し上がっています。グラフィックスの動作クロックが向上している影響でしょう。クロックが高い順の「N97(1.2GHz)」、「N150(1.0GHz)」、「N100(0.75GHz)」と順当な並びです。
ミニPCのグラフィックス性能
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
Arc Graphics(LunarLake)平均値 |
3767
|
GMKtec NucBox K8 Plus(Radeon 780M) |
3047
|
GEEKOM NUC AE7(Radeon 780M) |
2940
|
ThinkCentre M75q Tiny Gen 5(Radeon 780M) |
2456
|
MINISFORUM UM773 Lite(Radeon 680M) |
2363
|
NucBox M7(Radeon 680M) |
2358
|
Minisforum MS-01(Iris Xe) |
1779
|
GEEKOM GT13 Pro(Iris Xe) |
1722
|
NucBox M6(Radeon 660M) |
1559
|
NucBox M5 Plus(Radeon Vega) |
1104
|
NucBox G6(Radeon Vega) |
942
|
NucBox G5(N97, UHD) |
433
|
NucBox G3 Plus(N150,UHD) ※Balance |
421
|
NucBox G3(N100, UHD) |
323
|
NucBox G1(N95, UHD) |
321
|
※スコアは当サイト計測値、平均値はUL Solutionsのデータを参考にしました
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。
テスト結果の見方
テスト名 | 概要 |
---|---|
Essentials (一般利用) |
ソフトの起動やWeb閲覧、ビデオ会議など一般的な作業を想定。CPUのシングルコア性能が強く影響する |
Productivity (ビジネス利用) |
表計算とワープロにおいて、中規模クラスのデータを扱うテスト。CPUのマルチコア性能が影響しやすい |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) |
写真加工と3D製作、動画編集を扱うテスト。CPU性能とグラフィックス性能が強く影響する |
電力モードを変えてテストを行なったところ、目標値を超えられたのは「一般利用」と「ビジネス利用」のテストで、「コンテンツ制作」のテストは目標値をクリアーできませんでした。軽めのビジネス作業であれば、問題なく利用できるでしょう。
ちなみにN100搭載機と比べると、「ビジネス利用」と「コンテンツ制作」のテストでスコアが上回っています。CPUとグラフィックスの動作クロックがアップした影響かもしれません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
7188
7019
7230
7119
9832
10783
10921
10849
10755 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
4820
4645
4848
4259
8842
9785
6840
7023
10805 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
2581
2751
2779
2406
4968
8695
7429
7978
8559 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(ミニPC)
▶NucBox G3 | Intel N100 / 8GB / UHD |
---|---|
▶NucBox M5 Plus | Ryzen 7 5825U / 16GB / Radeon |
▶UM773 Lite | Ryzen 7 7735HS / 16GB / Radeon 680M |
▶GEEKOM GT13 Pro | Core i9-13900H / 32GB / Iris Xe |
▶MS-01 | Core i9-12900H / 32GB / Iris Xe |
▶ThinkCentre M75q Gen5 | Ryzen 7 PRO 8700GE / 32GB / Radeon 780M |
ゲーム性能について
ゲームについては、動作の軽い作品で画質や解像度を大きく落とせばプレーできるレベルです。息抜き程度ならアリかもしれませんが、ガッツリ楽しむには性能不足と考えてください。
※テスト結果は電源モード「Balance」時のものです
ドラクエ3(軽い)
画質や解像度を大きく落とせば、なんとかプレー可能です。
フレームレート
最低画質 | 最高画質 |
---|---|
44~58 fps前後。シーンによっては一時的に20 fpsまで下がることがある。遊べないことはないが、画質はかなり貧相 | 常時11~15 fpsあたり。かなりガクガクした動きのため、プレーには厳しいレベル |
マインクラフト 統合版(軽い)
序盤はなんとかプレーできるものの、建物やモブの多いマップだと厳しいかもしれません。
フレームレート
標準画質 |
---|
プレー開始直後で、概ね21~33 fpsあたり。スムーズな動きではないが、気にしなければプレーできる。ただし村の建物を増やしたりすると、処理落ちする可能性大 |
熱と騒音について
※計測時の室温は14度前後。室温が変わると、結果が異なる場合があります
標準時(Balance)の熱と騒音
まず標準モードの「Balance」(PL1:10W / PL2:15W)で見ると、CPU温度は最大で70度、平均では67.6度と低く抑えられています。消費電力の平均値は、PL1とほぼ同値である「10W」前後を推移。動作クロックはやや低めで、N150の最大クロックである3.6GHzに対して、それよりも28%低い2.6GHz前後を推移していました。すでにこのモードで、消費電力を抑えて高い熱が生じないようにチューニングされていることがわかります。
各項目の平均値と最大値
コアクロック | 平均2617MHz | 最大2893MHz |
---|---|---|
CPU温度 | 平均67.6度 | 最大70度 |
CPU消費電力 | 平均9.9W | 最大13W |
騒音については、ビックリするほど静かでした。一般的にN100搭載のミニPCでも高負荷時には騒音が聞こえるのですが、NucBox G3 Plusはほぼ無音です。
駆動音の計測結果(Balance)
電源オフ時 | 36.6dB | - |
---|---|---|
待機中 | 36.7dB前後 | ほぼ無音 |
Windows Update時 | 36.7dB前後 | 同上 |
軽作業時(PCMark 10) | 36.8dB前後 | 同上 |
高負荷時(CINEBENCH) | 36.8dB前後 | 同上 |
(参考)エアコンの最大出力 | 48~58dB前後 | - |
高出力時(High Performance)の熱と騒音
高いパフォーマンスを発揮できる「High Performance」モード(PL1:15W / PL2:15W)では、CPU温度が最大で75度、平均では71.4度でした。CPU消費電力はPL2の15Wよりもやや低い12.4Wを推移しています。動作クロックは2.8GHz前後。温度的にはこれでも十分安全圏内でしょう。
各項目の平均値と最大値
コアクロック | 平均2888MHz | 最大2893MHz |
---|---|---|
CPU温度 | 平均71.4度 | 最大75度 |
CPU消費電力 | 平均12.4W | 最大13.4W |
高出力モードでは駆動音が大きく聞こえるものですが、NucBox G3 Plusではほとんど聞こえません。本体に耳を近づけるとわずかにモーターの振動が聞こえる程度で、通常の状態ではほぼ無音に感じます。
駆動音の計測結果(Performance)
電源オフ時 | 36.6dB | - |
---|---|---|
待機中 | 36.8dB前後 | ほぼ無音だが、耳を近づけるとモーターの音がわずかに聞こえる |
Windows Update時 | 36.7dB前後 | 同上 |
軽作業時(PCMark 10) | 36.8dB前後 | 同上 |
高負荷時(CINEBENCH) | 36.9dB前後 | 同上 |
(参考)エアコンの最大出力 | 48~58dBA前後 | - |
静音時(Quiet)の熱と騒音
「Quiet」モードでは、CPUの平均温度が64.3度と低く抑えられていましたす。ただ、標準の「Balance」モードと3.3度しか変わりません。発熱を抑えるという点では、それほどの効果はないと思います。
どちらかと言うと、電源を付けっぱなしで使うサーバー用途などで、消費電力を抑えたいときに使うモードでしょう。ただ2Wの差は24時間つけっぱなしで365日稼働したとしても、385円くらいの差額にしかならないようです。
各項目の平均値と最大値
コアクロック | 平均2355MHz | 最大2892MHz |
---|---|---|
CPU温度 | 平均64.3度 | 最大67度 |
CPU消費電力 | 平均7.9W | 最大10W |
このモードでも、動作音はほぼ無音でした。静かさは「Balance」モード時と変わりません。
駆動音の計測結果(Quiet)
電源オフ時 | 36.6dB | - |
---|---|---|
待機中 | 36.7dB前後 | ほぼ無音 |
Windows Update時 | 36.9dB前後 | 同上 |
軽作業時(PCMark 10) | 36.7dB前後 | 同上 |
高負荷時(CINEBENCH) | 36.8dB前後 | 同上 |
(参考)エアコンの最大出力 | 48~58dBA前後 | - |
他機種との騒音比較
騒音(ファンの回転音や通気口からの排気音など)については、ダントツで静かです。ストレスなく利用できるでしょう。
ミニPCの騒音比較
CPU | CINEBENCH R23 Score |
---|---|
GEEKOM GT13 Pro |
37.6
53 |
GEEKOM AE7 |
39.3
52 |
GMKtec NucBox M5 Plus |
48
50.5 |
ThinkCentre M75q Gen5 ※Ryzen 7 |
49.7
49.6 |
MINISFORUM MS-01 |
40.1
49 |
GMKtec NucBox M6 |
43
47.7 |
Acemagic T8 Plus N100 |
39.5
42 |
GMKtec NucBox K8 Plus |
41.3
41.9 |
MINISFORUM UM773 Lite |
41
41.9 |
GMKtec NucBox M7 |
40.3
41.3 |
NiPoGi AK1PLUS N97 |
37.2
40.5 |
GMKtec NucBox G6 |
39.4
38.7 |
NucBox G3 Plus |
36.6
36.9
|
※「軽」は軽作業時、「高」は高負荷時。そのほかの機種の値は標準設定時、並び順は高負荷時で音が大きい順
N100搭載NucBox G3との比較
NucBox G3 Plusの前モデルである「NucBox G3」とは、スペック的にはCPUが異なるのみです。外観もサイズも機能もまったく変わりません。
スペックに現われない部分ではUEFI(BIOS)画面が異なるのですが、あまり関係ありませんね。
性能については前述しましたが、CPUベンチマークテストでN100搭載のG3のほうが数パーセント程度上のスコアが出ています。スペック的にはN150のほうが上のはずです。おそらく個体差や計測時の誤差が原因でしょう。
CPUベンチマーク結果の比較
CPU | CINEBENCH R23 |
---|---|
NucBox G3(N100) ※標準 |
796
2865 |
NucBox G3 Plus(N150) ※Balance |
793
2723 |
※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果
グラフィックス性能に関しては、N150搭載のG3 Plusのほうがスコアで勝っています。数値自体は低いもののその差は30%もあるので、誤差ではないと考えていいでしょう。ただ、普段の作業に大きく影響するほどではありません。
3Dベンチマーク結果の比較
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
NucBox G3 Plus(N150,UHD) ※Balance |
421
|
NucBox G3(N100, UHD) |
323
|
※スコアは当サイト計測値
総合性能を計測するPCMark10では、シングルコア性能が強く影響する「一般利用」でG3(N100搭載)がG3 Plus(N150搭載)を上回ったものの、そのほかのテストではG3 Plusのほうが上でした。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
7019
7119 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
4645
4259 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
2751
2406 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
各テストで多少の差はあるものの体感的な違いはごくわずかで、総合的に考えればどちらも同程度の性能と言っていいと思います。
ただ静音性については、G3よりもG3 Plusのほうが優秀でした。この部分で選ぶのはアリだと思います。
ミニPCの騒音比較
CPU | CINEBENCH R23 Score |
---|---|
NucBox G3 |
36.9
40.3 |
NucBox G3 Plus |
36.6
36.9 |
※「軽」は軽作業時、「高」は高負荷時。そのほかの機種の値は標準設定時、並び順は高負荷時で音が大きい順
考察とまとめ
ベンチスコアは低くても運用では優秀なケースも
まず気になるのは、ベンチマークスコアがそれほど高くない点です。ほかの上位CPUはともかく、N100よりも下回る場合がチラホラと見かけられました。
しかしこれは、スコアに強く影響する「PL1」(電力制限のひとつ)が標準で10W、最大でも15Wと低く抑えられているためです。他社製品にはPL1が20~25Wあたりに設定されているものもあり、そういった機種のほうがベンチマークスコア的には優秀に見えるでしょう。
ただPL1を上げて性能を底上げしても、現われる結果は結局のところ「どんぐりの背比べ」レベルです。むしろ電力を抑えることで発熱によるパーツの劣化や電気代の上昇を防げるほうが、好ましいケースもあると思います。
また静音性が非常に高い点も、高評価です。格安なミニPCでも、意外にうるさい機種はありますからね。それらの点を考えると、運用面では優秀と言っていいかもしれません。
パーツを換装できる点がポイント
メモリーについては8 / 16GBですが、自分で16 / 32GBに交換できるのはやはりミニPCでは大事ではないでしょうか。増設非対応のLPDDR5は速度的には速いものの、やはり容量は自分で増やしたいもの。格安なミニPCでも、メモリースロットはマストであると考えています。
M.2スロットは、やはりSSDの容量を増やしたいときに便利ですよね。理想としてはPCIeが2基ですけど、値段的な安さを考えればひとつはSATAでも仕方がないかもしれません。メインSSDをSATAにして、PCIe対応のM.2スロットをOculink化できたらいいな~なんて妄想もはかどります。
フル機能のType-Cがあれば完璧
個人的に残念なのは、Type-Cに対応していない点です。2万円を切るミニPCはほとんどType-Cに対応していないのですが、これがあると活用の幅は広がりますよね。コスト的には厳しいのかもしれませんが、このくらいの価格帯でもぜひフル機能のType-Cに対応していただきたいものです。