ミニPCレビュー

GMKtec NucBox K8 Plusレビュー:Ryzen 7 8845HS搭載でハイエンドクラスの性能【PR】

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GMKtec NucBox K8 Plus

※機材提供:GMKtec

GMKtecの「NucBox K8 Plus」は、Ryzen 7 8845HS / 32GBメモリー  / PCIe 4.0 SSD / Windows  11 Pro搭載のミニPCです。記事執筆時点の価格は8万円前後。値段的にはややお高めですが、機能的にも性能的にも10万円オーバーの高級機に負けていません。

 

GMKtec NucBox K8 Plus

GMKtec NucBox K8 Plus

主な特徴

発売 2024年 価格 8~9万円前後
OS Windows 11 Pro ライセンス OEM版(問題なし)
CPU Ryzen 7 8845HS(Zen4) メモリースロット 2
グラフィックス Radeon 780M(RDNA3) SSD増設 可能 (M.2 Type-2280)
メモリー DDR5-5600 32GB(16GB×2) Type-C USB 4×2(PD/DP)
ストレージ 1~2TB M.2 PCIe 4.0 SSD 電力制限(標準時) PBP:54W / MTP:54W
有線LAN 2.5Gb×2 騒音 小さい

 

パーツ構成的には最新・最強ではないものの、実際に使ってみると非常にパワフルであることがわかります。普段使いやビジネスなど、外部GPUを使わない作業には十分すぎるほどと言っていいでしょう。ゲームも軽めのものであれば、普通にプレーできました。

騒音は基本的には静かであるものの、常時モーター音が聞こえるので、気になる人には気になるかもしれません。

 

この記事ではメーカーから提供された実機を使って、外観や性能、実際の使い心地などをレビューします。

おことわり

このレビュー記事では、実機を10日間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。

スペック

発売日 2024年
OS Windows 11 Pro
CPU Ryzen 7 8845HS(Zen4、8コア16スレッド)
NPU 最大16TOPS
メモリー DDR5-5600 32GB ※16GB×2、最大96GB
SSD 1 / 2TB PCIe4.0 x4 NVMe SSD
グラフィックス Radeon 780M(RDNA3、CPU内蔵)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN(2.5Gb)×2
インターフェース USB4(PD/DP対応)×2、Oculink×1、USB3.2 Gen2 Type-A×2、USB2.0×2、HDMI×1、DisplayPort×1、有線LAN×2、ヘッドホン端子
ドライブベイ なし
スロット M.2スロット×3(ストレージ用×2、Wi-Fi用×1)
付属品 VESAマウンタ、HDMIケーブル、電源アダプターなど
サイズ / 重量 幅125.2×奥行き132.5×高さ58.8mm / 639g(実測値)

Windowsのラインセンス

OSには、Windows 11 Proが使われています。ライセンスは通常のOEMライセンスです。ミニPCでは個人利用不可のボリュームライセンス(VL)が使われていることがありますが、NucBox M7のライセンスは問題ありません。

GMKtec NucBox K8 Plus

Windows 11 Proの正規のOEM版が使われています

技適マークについて

無線通信機器に必要な技適マークは、本体底面部にシールとして貼られています。

GMKtec NucBox K8 Plus

本体底面部に技適マークを確認

 

上記番号は「総務省電波利用ホームページ」の検索結果で「K8」(他モデルと共通)のものとして登録されているのを確認しました。

関連リンク

総務省電波利用ホームページ

PSEマークについて

電源アダプターには「電気用品安全法」の基準に適合していることを表わすPSEマークがプリントされていました。届出事業者名は「株式会社神州」で、国内での届け出を別の業者が担当したものと思われます。

GMKtec NucBox K8 Plus

電源アダプターのPSEマーク

システムのフルスキャン結果

検証時にWindows Defenderのフルスキャンを実施し、検知可能な脅威が存在しないことを確認しています。

GMKtec NucBox K8 Plus

Windows Defenderのフルスキャン結果

価格

NucBox K8 Plusの表示価格は9万円台ですが、ときおり実施されるキャンペーンやクーポンによって、値段は大きく変わります。2024年待つであれば、1TB SSD搭載の最安モデルで8万円前後とイメージしておくといいでしょう。特に楽天の公式ショップでは、ポイントも還元されるのでお得です。

最安モデルの価格

販売ショップ 価格
アマゾン 8万7984円
楽天 公式ショップ 7万9990円

※2024年12月5日時点

パッケージ

GMKtec NucBox K8 Plus

NucBox K8 Plusのパッケージ

GMKtec NucBox K8 Plus

箱の中身

GMKtec NucBox K8 Plus

付属の電源アダプターは120.08Wの丸口タイプ。重さは521gとちょっと大きめ

GMKtec NucBox K8 Plus

付属のHDMIケーブル

GMKtec NucBox K8 Plus

VESA対応ディスプレイに取り付けるためのマウンタ

GMKtec NucBox K8 Plus

マウンタを取り付けるには、本体のゴム足を一部外す必要があります

GMKtec NucBox K8 Plus

ディスプレイ背面に引っかけて設置。ディスプレイに付いているネジがマウンタの穴を通らない場合は、付属のネジを使えばOK

外観

GMKtec NucBox K8 Plus

コンパクトではあるものの、特別小さいわけでもありません。ギリギリ手のひらサイズといったところ

GMKtec NucBox K8 Plus

ほかのミニPCよりもフットプリント(設置面積)は大きめ

GMKtec NucBox K8 Plus

厚みもそこそこあります

GMKtec NucBox K8 Plus

大きさの実測値

GMKtec NucBox K8 Plus

底面部のゴム足を含めた設置時の高さは61.9mmでした。そこそこの厚みを感じます

GMKtec NucBox K8 Plus

天面部には半透明のアクリル板が使われています

GMKtec NucBox K8 Plus

表面が光沢仕上げのため、指紋の跡や写りこみが目立ちます。気になるなら頻繁に拭き取ったり、設置角度を変えたりするといいでしょう

GMKtec NucBox K8 Plus

底面部

GMKtec NucBox K8 Plus

重さは実測で639gでした

冷却性能の高い金属ケースを採用

 

GMKtec NucBox K8 Plus

ケース側面に金属素材を使用。従来の樹脂(プラスチック)製ケースに比べて高級感が増しているほか、冷却性能も高まっていると思われます

インターフェース構成

GMKtec NucBox K8 Plus

前面には左からOculink端子とUSB4端子、USB3.2 Gen2×2、3.5mmステレオジャック、電源ボタン

GMKtec NucBox K8 Plus

背面には左上からUSB2.0×2、DisplayPort、HDMI、有線LAN×2、USB4、電源コネクター

GMKtec NucBox K8 Plus

側面に端子類はありません

Oculinkについて

Oculinkとは、グラボやSSDなどで使われている「PCIe」接続を、専用のケーブルや端子を使った外部接続で利用するための規格です。とりあえずはシンプルに「ミニPCでデスクトップPC用のグラボを使うためのもの」と考えるといいでしょう。

 

GMKtec NucBox K8 Plus

NucBox K8 PlusのOculink端子

 

ほかのミニPCでは本体内部のM.2スロットをOculink用に使うことが多いのですが、NucBox K8 Plusでは専用端子が用意されているので、ストレージ用のM.2スロットを減らすことはありません。M.2スロットを消費するタイプに比べて手間が少なくて済むので便利です。

NucBox M7

OculinkアダプターとATX電源、グラボを組み合わせた状態

 

Oculinkではグラボ本来の性能から10~15%落ちるとのこと。多少性能が低下するものの、そこそこのグラボを使えば十分なパフォーマンスが得られると思います。

 

NucBox M7

デスクトップPC用グラボをOculink軽油で外部グラフィックス(eGPU)として利用している様子 ※写真は別の機種

USB PD給電について

USB4端子は、映像出力とUSB PDによる給電にも対応しています。USB PDによる給電は、100Wの充電器での動作を確認しました。65W以下の充電器では電源が入る場合もあるものの、動作は不安定です。

UEFI(BIOS)設定で電源モードを変えた場合(詳しくは後述)、最大出力の「Performance」モードでのみ、100Wでも起動中に電源が落ちます。今回は手元に100Wまでの充電器しかなかったのですが、もしかすると100Wよりワット数が大きい充電器であれば、Performanceモードでもベンチマークを完走するかもしれません。

USB PD充電器での検証結果

Quiet Balance Performance
100W充電器 CPUベンチマーク完走 CPUベンチマーク完走 起動中に落ちる
65W充電器 ベンチマーク中に落ちる 起動中に落ちる 起動中に落ちる

※CPUベンチマークはCINEBENCH R23

分解・パーツ交換について

本体の分解方法

GMKtec NucBox K8 Plus

本体内部にアクセスするには、まず上部のアクリル板を外します。ネジは使われていないので、手で捻るだけでOK

GMKtec NucBox K8 Plus

アクリル板を外した状態

アクリル板を外した状態

続いて上部のパネルを外します

GMKtec NucBox K8 Plus

空冷ファンのケーブルがつながったままなので、引きちぎらないよう注意してください

GMKtec NucBox K8 Plus

ファン付きの上部パネルを外した状態。これ以上分解するには、ケースの一部分を切断する必要がありそうなので、今回はここまで

メモリーの増設について

GMKtec NucBox K8 Plus

メモリースロットは2基。対応規格はDDR5-5600で、最大容量は96GB。換装する場合は付け替えるだけでOK

GMKtec NucBox K8 Plus

メモリーを取り外した状態

GMKtec NucBox K8 Plus

信頼性の高さで人気のCrucial製メモリーが使われていました

SSDの増設・換装について

GMKtec NucBox K8 Plus

メインのSSDはココ

GMKtec NucBox K8 Plus

M.2スロットは2基用意されています。どちらもPCIe 4.0のType-2280

GMKtec NucBox K8 Plus

SSDには薄手のヒートシンクが使われていました。これ以上厚いと、干渉して収まりきらないかもしれません

GMKtec NucBox K8 Plus

使われていたのはBiwinのNV7400というSSD

GMKtec NucBox K8 Plus

SSDのS.M.A.R.T.情報

GMKtec NucBox K8 Plus

PCIe 4.0接続だけあって、アクセス速度はかなり高速。一般的なミニPCだとPCIe 3.0が多く、シーケンシャルリードで3000MB/秒台です

Wi-Fiまわりなど

GMKtec NucBox K8 Plus

Wi-FiカードはインテルのAX200。vPro非対応の「02HK705」です

メンテナンス性

GMKtec NucBox K8 Plus

マザーボード全体。メモリーやSSDにはアクセスしやすいのですが、CPUクーラーには触れられません。ホコリなどがたまった際は、スキマからエアダスターなどを使って吹き飛ばす必要がありそうです

GMKtec NucBox K8 Plus

メモリー・SSD冷却用のファンは、いつでも簡単にメンテナンス可能です

GMKtec NucBox K8 Plus

使われている空冷ファン

UEFI(BIOS)設定画面

GMKtec NucBox K8 Plus

起動直後のロゴ表示画面でESCキーを連打するとUEFI(BIOS)画面が表示されます

GMKtec NucBox K8 Plus

UEFI(BIOS)画面の「Main」タブ

GMKtec NucBox K8 Plus

「Advanced」タブ

GMKtec NucBox K8 Plus

「Security」タブ

GMKtec NucBox K8 Plus

「Boot」タブ

GMKtec NucBox K8 Plus

「Save & Exit」タブ

CPUの電力設定

「Main」→「Power Mode Select」から、CPUの消費電力モードを選択できます。標準は「Balance」で、「Peformance」を選べばCPU性能を底上げすることが可能です。「Quiet」を選ぶと、駆動音を抑えられます。

GMKtec NucBox K8 Plus

CPUの消費電力設定を選択可能

電力設定

項目名 概要 PBP / MTP
Quiet 性能を抑えることで駆動音を低減する 35W / 35W
Balance ※標準 標準のモード 54W / 54W
Performance もっとも高性能だが騒音も大きい 65W / 70W

※「PBP」……プロセッサ・ベース・パワー、「MTP」……マックス・ターボ・パワー

ベンチマーク結果

検証機のスペック

CPU  Ryzen 7 8845HS(Zen4、8コア16スレッド)
メモリー DDR5-5600 32GB ※16GB×2
ストレージ 512GB PCIe4.0 x4 NVMe SSD
グラフィックス Radeon 780M(RDNA3、CPU内蔵)

※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります

パフォーマンス設定について

ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「バランス」に設定した上で、UEFI(BIOS)設定から電力モードを「Balance」と「Performance」、「Quiet」に切り替えて実施しています。付属の電源アダプターは接続した状態です。

電力設定

表記 概要 PBP / MTP
35W Quietモード:性能を抑えることで駆動音を低減する 35W / 35W
54W Balanceモード:標準のモード 54W / 54W
65W Performanceモード:もっとも高性能だが騒音も大きい 65W / 70W

CPU性能

CPUとしては、Zen4世代のRyzen 7 8845HSが使われています。これは2023年12月にリリースされた、旧世代のハイエンドノートPC向けCPUです。

CPU性能を計測する「CINEBENCH R23」では、当サイトがこれまで検証してきたミニPCのなかでもっとも優秀な結果が出ました。10万円オーバーの機種のスコアを軽々と超えています。

 

ミニPCの性能比較

CPU CINEBENCH R23 Score
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) ※65W
S1776
M16795
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) ※54W
S1788
M16176
ThinkCentre M75q Gen5(Ryzen 7 PRO 8700GE)
S1810
M14957
GEEKOM AE7(Ryzen 9 7940HS)
S1781
M14483
MINISFORUM MS-01(Core i9-12900H)
S1720
M14156
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) ※35W
S1759
M13524
GMKtec NucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H)
S1558
M13374
MINISFORUM UM773 Lite(Ryzen 7 7735HS)
S1571
M12478
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H)
S1723
M11651
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H)
S1504
M10281
GMKtec NucBox M5 Plus(Ryzen 7 5825U)
S1364
M6514
GMKtec NucBox M5 (Ryzen 7 5700U)
S1228
M6397
GMKtec NucBox G6(Ryzen 3 5425U)
S1334
M4705
GMKtec NucBox G3(Intel N100)
S796
M2882
GMKtec NucBox G5(N97)
S791
M2877

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

 

ノートPCやミニPCの最新機種と比べても、スコアは悪くありません。むしろ最新モデルが10~25万円あたりであることを考えれば、8万円前後のNucBox K8 Plusはとても健闘していると言っていいでしょう。

 

最新PCの性能比較

CPU CINEBENCH R24 Score
Yoga Pro 7 Gen 9(Ryzen AI 9 365)
S114
M1069
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) ※65W
S106
M975
Mac Mini(2024)(M4)
S174
M938
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) ※54W
S107
M910
Yoga Slim 7x Gen 9(Snapdragon X Elite X1E-78-100)
S106
M898
IdeaPad Slim 5 Gen 8(Core Ultra 7 155H)
S105
M897
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) ※35W
S106
M826
NucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H)
S91
M740
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H)
S103
M675
Yoga 7 2-in-1 Gen9(Ryzen 7 8840HS)
S97
M665
Yoga Slim 7i Aura Edition Gen9(Core Ultra 7 258V)
S119
M585
HP OmniBook Ultra Flip 14-fh(Core Ultra 7 258V)
S120
M545

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

グラフィックス性能

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon 780M(RDNA3)が使われます。ベンチマークテスト「3DMark Time Spy Graphics」スコアは「3047」で、ミニPCとしてはかなり優秀な部類です。

同じRadeonでも、ひと世代前のRadeon 680M(RDNA2)とは大きく異なります。スコア差では2~3割程度といったところでしょうか。ゲームやクリエイティブワーク系で利用するなら、Radeon 780Mのほうが有利です。

 

ミニPCのグラフィックス性能

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 3050(ノートPC)平均値
4874
Arc Graphics(LunarLake)平均値
3767
Arc Graphics平均値
3340
GMKtec NucBox K8 Plus(Radeon 780M)
3047
GEEKOM NUC AE7(Radeon 780M)
2940
Radeon 780M(RDNA3)平均値
2770
ThinkCentre M75q Tiny Gen 5(Radeon 780M)
2456
MINISFORUM UM773 Lite(Radeon 680M)
2363
NucBox M7(Radeon 680M)
2358
Radeon 680M(RDNA2)平均値
2343
Minisforum MS-01(Iris Xe)
1779
GEEKOM GT13 Pro(Iris Xe)
1722
NucBox M6(Radeon 660M)
1559
Iris Xe平均値
1510
NucBox M5 Plus(Radeon Vega)
1104
NucBox G6(Radeon Vega)
942
NucBox G5(N97, UHD)
433
NucBox G3(N100, UHD)
323
NucBox G1(N95, UHD)
321

※スコアは当サイト計測値、平均値はUL Solutionsのデータを参考にしました

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。

 

テスト結果の見方

テスト名 概要
Essentials
(一般利用)
ソフトの起動やWeb閲覧、ビデオ会議など一般的な作業を想定。CPUのシングルコア性能が強く影響する
Productivity
(ビジネス利用)
表計算とワープロにおいて、中規模クラスのデータを扱うテスト。CPUのマルチコア性能が影響しやすい
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
写真加工と3D製作、動画編集を扱うテスト。CPU性能とグラフィックス性能が強く影響する

 

電力モードを変えてテストを行なったところ、どのモードでも各テストの目標値を大きく上回りました。ハイエンドクラスの機種とも大きな違いはなく、むしろ総合的には上回っています。ちょっと前のゲーミングノートPCと変わらないくらいで、普段使いや仕事には十分活用できるでしょう。

 

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
(一般的な利用)
目標値:4100
35W10909
54W11087
65W10994
G37119
M5 Plus9832
UM77310783
GT13P10921
MS-0110849
M75q10755
Productivity
(ビジネス利用)
目標値:4500
35W10560
54W10566
65W10575
G34259
M5 Plus8842
UM7739785
GT13P6840
MS-017023
M75q10805
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
目標値:3450
35W9013
54W9674
65W9874
G32406
M5 Plus4968
UM7738695
GT13P7429
MS-017978
M75q8559

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

比較機のスペック(ミニPC)

NucBox G3 Intel N100 / 8GB / UHD
NucBox M5 Plus Ryzen 7 5825U / 16GB / Radeon
UM773 Lite Ryzen 7 7735HS / 16GB / Radeon 680M
GEEKOM GT13 Pro Core i9-13900H / 32GB / Iris Xe
MS-01 Core i9-12900H / 32GB / Iris Xe
ThinkCentre M75q Gen5 Ryzen 7 PRO 8700GE / 32GB / Radeon 780M

クリエイティブ性能

「UL Procyon」は、世界的にも利用者が多く「デファクトスタンダード」とも言えるアドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測します。「PCMark 10」と比べて、より高度で実践的なテストを行なう点が特徴です。

テスト結果の見方

テスト名 概要
Photo Editing 「Photoshop」と「Lightroom Classic」を利用した、写真の加工・出力に関する総合評価
Video Editing 「Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間からスコアが算出される

 

検証機とそのほかのミニPCの結果は、以下のグラフのとおり。Photo EditingとVideo Editingのどちらもスコアが高く、ミニPCとしては最上位クラスの性能です。普通の写真加工やごく小規模の動画編集であれば、問題なく利用できるでしょう。

 

クリエイティブ性能の比較

CPU UL Procyon
GMKtec NucBox K8 Plus(Ryzen 7 8845HS) ※54W
Photo6053
Video9484
ThinkCentre M75q Gen5(Ryzen 7 PRO 8700GE, Radeon 780M))
Photo5952
Video8065
GMKtec NucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H, Radeon 680M)
Photo4614
Video7941
MINISFORUM MS-01(Core i9-12900H, Iris Xe)
Photo5349
Video7755
GEEKOM AE7(Ryzen 9 7940HS, Radeon 780M)
Photo5772
Video7195
GMKtec NucBox M6(Ryzen 5 6600H, Radeon 660M)
Photo4751
Video6941
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H, Iris Xe)
Photo4631
Video5491
GMKtec NucBox M5 Plus(Ryzen 7 5825U, Radeon)
Photo3526
Video4321

※「Photo」はPhoto Editing、「Video」はVideo Editing。スコアは当サイトの実機計測結果

ゲーム性能について

ゲーム性能については、優秀と言えるほどではありません。しかし軽いゲームであれば、画質や解像度を落とすことで普通のレベル(平均 60 fpsオーバー)で楽しめるでしょう。

※テスト結果は電源モード「Balance」時のものです

エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(やや軽い)

GMKtec NucBox K8 Plus

フルHDの最低画質で平均100 fpsオーバーあたり。画質を気にしなければ、普通に楽しめるレベルです。最高画質でも平均 60 fpsをやや下回る程度なので、そこそこの画質であればカジュアルプレーには十分かもしれません。ただ144 fps張り付きなどといった、ゲーミングPCクラスの性能には及ばないので注意してください。

フレームレート

最低画質 最高画質
100~120 fps前後。普通にプレーできそうなレベル 50~58 fps前後。多少のカクつきや動きの重さを感じる

ドラクエ3(軽い)

GMKtec NucBox K8 Plus

フルHDで普通に遊べます。最高画質だとフレームレートが一時的に下がることがありますが、ほんの一瞬だけなので気になりません。ただし解像度は上げないほうが無難です。

フレームレート

最低画質 最高画質
常時60 fps。普通にプレーできるが、画質は粗い ほぼ60 fpsあたり。たまに下がることがあるが、気になるほどではない

原神(軽い)

GMKtec NucBox K8 Plus

フルHDの最高画質でも60fpsをキープしています。ただし派手なエフェクトやオブジェクトが多いシーンではフレームレートが落ちるかもしれません。

フレームレート

最低画質 最高画質
常時60 fpsあたりでカクつきは感じられない ほぼ60 fpsあたり。シーンによっては重くなる場合があるかも

FF14ベンチ(やや重い)

GMKtec NucBox K8 Plus

フルHDの最低画質で「6561」の「やや快適」との評価ですが、平均45.68 fpsは画面のカクつきがけっこう目立ちます。快適に遊べる目安である平均60 fpsにはまだ足りません。

評価とフレームレート

最低画質 最高画質
6561(やや快適) 平均45.68 fps 3923(設定変更を推奨) 平均27.52 fps

SF6ベンチ(軽い)

GMKtec NucBox M7

フルHDの最低画質でも、平均60 fpsを下回る結果に。動きのカクつきはあまり目立たないものの、対戦中に違和感を感じることがあるかもしれません。

フレームレート

最低画質(内部解像度「5」) 最高画質(内部解像度「5」)
FIGHTING GROUND:平均52.57 fps(問題なくプレイできます) FIGHTING GROUND:平均29.88 fps(設定変更が必要です)

マインクラフト 統合版(軽い)

GMKtec NucBox K8 Plus

標準のビデオ設定で、ときおりわずかのカクつく程度でした。ゲーム序盤については、問題なく楽しめるでしょう。しかし負荷の高い状況だと、重く感じるかもしれません。

フレームレート

標準画質
プレー開始直後で平均59 fps前後。多少カクつく場面もあるが、とりあえずは普通に遊べる。ただしモブや建物が増えたりマルチプレーだとフレームレートが落ちる可能性がある

サイバーパンク2077(超重い)

GMKtec NucBox K8 Plus

動きはカクカクで、プレーには厳しい状態です。このゲームはかなり重いので、仕方がないでしょう。

フレームレート

最低画質 最高画質(ウルトラ)
41.18 fps。遊べないことはないが、かなりのカクつきを感じる「 26.03 fps。プレーにならないレベル

熱と騒音について

※計測時の室温は16度前後。室温が変わると、結果が異なる場合があります

標準時(54W)の熱と騒音

まず標準モードの「Balance」(54W)で見ると、CPU温度は最大で82.6度、平均では80.9度でした。許容範囲ではあるものの、温度が低いわけでもありません。とは言え、常用するならこの設定がおすすめです。

GMKtec NucBox K8 Plus

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移(電源モード「Balance」時)

各項目の平均値と最大値

コアクロック 平均4250.8MHz 最大5040.9MHz
CPU温度 平均80.9度 最大82.6度
CPU消費電力 平均53.61W 最大54.01W

 

騒音については、高負荷時に排気音が大きく聞こえます。ただし常時聞き続けるわけではないので、それほど気にならないでしょう。ただ高いモーター音が常時わずかに聞こえるので、その点が気になる場合もあるかもしれません。

駆動音の計測結果(Balance)

電源オフ時 36.8dB
待機中 37.5dB 基本的には静かだが、高周波のモーター音がわずかながらも常時聞こえる
Windows Update時 38.3dB 排気音と甲高いモーター音が少し聞こえる程度。音はハッキリと聞こえるが短時間なので気にならない
軽作業時(PCMark 10)  38~41.3dB前後 ときおり大きめの排気音と低いモーター音が短時間聞こえるが、基本的には静か
高負荷時(CINEBENCH) 41.9dB前後 高いモーター音とやや大きめの排気音。静かではないが、うるさくも感じない
(参考)エアコンの最大出力 48~58dBA前後

高出力時(65W)の熱と騒音

消費電力が高めに設定されている「Performance」モードでは、「Balance」に比べて平均クロックが3.5%アップしています。しかしCPU温度が平均89.6度と、やや大きく増えてしまいました。ベンチマークスコアでも大きな差が出ているわけではないので、少しでも性能を上げたいときでない限り、このモードは使わなくていいと思います。

GMKtec NucBox K8 Plus

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移(電源モード「Performance」時)

各項目の平均値と最大値

コアクロック 平均4401.6MHz 最大5065.9MHz
CPU温度 平均89.6度 最大93度
CPU消費電力 平均64.81W 最大70.00W

 

消費電力が増えて熱が上昇したことで冷却用のファンが強く回るため、騒音も大きく聞こえます。特に高負荷時の音は、うるさく感じました。ただ本体を持ち上げると音がだいぶ減ったので、もしかすると机と共振していたのかもしれません。環境によっては、音の聞こえ方がだいぶ変わる可能性があります。

 

駆動音の計測結果(Performance)

電源オフ時 36.8dB
待機中 38.5dB 基本的には静かだが、高周波のモーター音がわずかながらも常時聞こえる
Windows Update時 44dB前後 大きめの排気音と甲高いモーター音が聞こえるが、その時間は短く1~1.5分程度
軽作業時(PCMark 10)  39~44.1dB前後 ときおりファンが強く回って、騒音が大きく聞こえる。ただし短時間なので、特に気にならない
高負荷時(CINEBENCH) 51dB前後 排気音が非常に大きい。モーターの回転音がさらに一段間甲高くなり、耳障りに感じる
(参考)エアコンの最大出力 48~58dBA前後

静音時(35W)の熱と騒音

消費電力を抑えた「Quiet」モードでは、CPUの平均温度が60.9度と低く抑えられています。そのぶん動作音も小さくなる(後述)のですが、パフォーマンスもやや下がってしまうので注意してください。

GMKtec NucBox K8 Plus

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移(電源モード「Quiet」時)

各項目の平均値と最大値

コアクロック 平均3681.8MHz 最大5065.9MHz
CPU温度 平均60.9度 最大64.6度
CPU消費電力 平均34.87W 最大35.00W

 

熱がだいぶ抑えられているだけあって、音については静かです。普通に作業していても、うるさく感じることはありません。このモードでもミドルレンジクラスのパフォーマンスは出るので、静かな状態で使いたい人には十分アリだと思います(高いモーター音が聞こえるので、完全に静かというわけではありませんが)。

 

駆動音の計測結果(Quiet)

電源オフ時 36.8dB
待機中 37.5dB 基本的には静かだが、高周波のモーター音がわずかながらも常時聞こえる
Windows Update時 40dB前後 排気音と甲高いモーター音が一瞬聞こえる程度
軽作業時(PCMark 10) 37.6~38.6dB前後 待機時とほぼ変わらず
高負荷時(CINEBENCH) 40dB前後 モーター音が少し聞こえるが、基本的にはうるさくはない
(参考)エアコンの最大出力 48~58dBA前後

他機種との騒音比較

騒音(ファンの回転音や通気口からの排気音など)はハッキリと聞こえるものの、よっぽどの設定でない限りうるさくは感じませんでした。基本的には静かではあるものの、常に高周波のようなモーターの回転音が聞こえます。この点が気になる人もいるかもしれません。

ミニPCの騒音比較

CPU CINEBENCH R23 Score
GEEKOM GT13 Pro
37.6
53
GEEKOM AE7
39.3
52
GMKtec NucBox K8 Plus ※65W
44.1
51
GMKtec NucBox M5 Plus
48
50.5
ThinkCentre M75q Gen5 ※Ryzen 7
49.7
49.6
MINISFORUM MS-01
40.1
49
GMKtec NucBox M6
43
47.7
Acemagic T8 Plus N100
39.5
42
GMKtec NucBox K8 Plus ※54W
41.3
41.9
MINISFORUM UM773 Lite
41
41.9
GMKtec NucBox M7
40.3
41.3
NiPoGi AK1PLUS N97
37.2
40.5
GMKtec NucBox K8 Plus ※35W
38.6
40
GMKtec NucBox G6
39.4
38.7

※「軽」は軽作業時、「高」は高負荷時。そのほかの機種の値は標準設定時、並び順は高負荷時で音が大きい順

考察とまとめ

GMKtec NucBox K8 Plus

 

価格はミドルでも性能はハイエンド

NucBox K8 Plusの相場価格は、2024年末時点で8万円前後。価格的にはミドルレンジ(中級向け)でも上のほうに相当する「ミドルハイ」クラスです。しかしベンチマーク結果を見るとおわかりのように、10万円オーバーのハイエンド(上級向け)な高級機を上回っています。しかもUSB4×2とOculink対応で機能面でもしっかりしている上に、静音性に関しても十分な仕上がり。パフォーマンスを重視したい人でも、もうこれでいいのではないでしょうか?

いま人気のNucBox M7(Ryzen 7 PRO 6850H搭載)と比べると、CPU面でもグラフィックス面でもワンランク上の結果が出ています。K8 Plusのほうが現時点では3万円高いものの、メモリー容量倍増&SSDが高速化という点も踏まえれば、十分な価値はあると言っていいでしょう。

記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

お買い得パソコン評論家。毎日各メーカー・各ショップのWebページを500p以上チェックして、安くてお得なパソコンを探しています。元雑誌・書籍編集者で、PC系フリーライターでもあるオジサン。文章に関わる仕事を始めてから25年以上。最高195万PV/月

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