いきなり正直に言えば、マイクロソフトのSurface Laptop Go 2はコスパがイマイチです。小さくて軽く見た目も良くて性能もそこそこいいのですが、4GBメモリー搭載で9万円台半ば、8GBメモリー + 128GB SSD搭載 & 解像度がフルHD未満で約11万円は高いと言わざるを得ません。全モデルにOffice Home & Business 2021が付いていたとしてもです。
標準価格
スペック | 価格 |
---|---|
第11世代Core i5 / 4GB / 128GB SSD | 9万6580円 |
第11世代Core i5 / 8GB / 128GB SSD | 10万9780円 |
第11世代Core i5 / 8GB / 256GB SSD | 12万2980円 |
※2022年6月21日時点
Surface Laptop Go 2は前モデルSurface Laptop Goと比べて、最大で2万円程度値上がりしています。そのぶんスペックアップしてはいるものの、以前ほどのお買い得感はなくなりました。
前モデルの標準価格
スペック | 価格 |
---|---|
第10世代Core i5 / 4GB / 64GB eMMC | 7万6800円 |
第10世代Core i5 / 8GB / 128GB SSD | 9万2800円 |
第10世代Core i5 / 8GB / 256GB SSD | 11万4800円 |
※2022年6月21日時点
Surface Laptop Go 2のサイズと軽さ(1.127kg)にこだわりがないなら、現時点ではSurface Laptop 4 13.5インチモデルのほうが性能 / 機能面で高コスパです。画面サイズは13.5インチで解像度は2256×1504ドット、重さは1.288kgで161gしか変わりません。いまなら一部の機種が値下がり中で、お得に購入できます。
Surface Laptop Go 2はちょっと抵抗のある価格ですが、割引セールが行なわれれば検討する価値アリです。あくまでも個人的な感想ですが、目安としては下位モデルで7万円台以下、中位モデルで8万円台以下といったところでしょうか。マイクロソフト公式サイトでは2~3ヵ月おきくらいでセールが行なわれるので、定期的にチェックすることをおすすめします。
ただしSurfaceシリーズのなかではエントリー(入門)向けの位置付けで、ほかの機種ほどの機能や性能、品質を備えていません。購入する前に、外観やパフォーマンスを十分確認してください。
そこでこの記事では日本マイクロソフトよりお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。なお当サイトは製品を紹介することで紹介料を獲得するマイクロソフトのアフィリエイトプログラムを利用していますが、冒頭の書き出しからもおわかりのように関係各所へ忖度する気はまったくありません。
Surface Laptop Go 2
スペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
ディスプレイ | 12.4インチ 1536×1024 光沢 タッチ対応(ペン入力非対応) |
CPU | Core i5-1135G7 |
メモリー | 4 / 8GB LPDDR4x |
ストレージ | リムーバブル128~256GB SSD ※交換は認定技術者のみ |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
インターフェース | USB Type-C(充電 / 映像出力対応)×1、USB Type-A×1、Surface Connect、ヘッドホン端子 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅278.2mm、奥行き206.2mm、高さ15.7mm / 約1.127kg |
バッテリー | 最大13.5時間 |
本体デザイン
サイズと重量
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-1135G7 |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第11世代のCore i5-1135G7が使われています。本来このCPUはそれなりに性能が高いのですが、Surface Laptop Go 2のCPUベンチマークテストでは同じCPUの平均値を大きく下回りました。前モデルよりも性能はアップしているものの、薄型ノートPC全体で見れば「中の下」クラスの結果です。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Core i7-1280P |
5403
|
Ryzen 7 6800U |
3895
|
Ryzen 7 5800U |
3792
|
Ryzen 5 5600U |
3640
|
Ryzen 7 5700U |
3512
|
Ryzen 5 5500U |
2817
|
Core i7-1185G7 |
2301
|
Core i5-1135G7 |
2063
|
Ryzen 3 5300U |
2010
|
Core i7-1165G7 |
1963
|
Surface Laptop Go 2(Core i5-1135G7) |
1469
|
Core i3-1115G4 |
1314
|
前モデル(Core i5-1035G1) |
1289
|
Celeron N4500 |
426
|
Celeron 6305 |
416
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
以下のグラフは、高負荷時におけるCPUのクロックと温度、消費電力の推移を表わしたものです。テスト開始から3分間程度は比較的高パフォーマンス状態を維持していたものの、それ以降はやや落ちています。
CPU温度は比較的低めではあるものの、クロックと消費電力もかなり抑えられていました。Core i5-1135G7は最大で28WまでcTDP(消費電力の目安)を引き上げられますが、高パフォーマンス時で20W前後、低パフォーマンス時で15W前後までしか上がっていません。これは消費電力を抑えることで、あえてパフォーマンスを抑えていることを表わします。
これはおそらく、CPUから発生する熱を抑えるためでしょう。CPUパフォーマンスよりも、内部の熱対策を優先した結果です。第11世代Core i5搭載と聞くと高性能な印象を受けますが、実際のパフォーマンスは数段劣ると考えてください。
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。CPU内蔵タイプとしては、なかなか優秀な結果です。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
1302
|
Surface Laptop Go 2(Core i5+LPDDR4x) |
1245
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
Iris Plus |
812
|
UHD |
407
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能差(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
4734
|
Surface Laptop Go 2(Core i5+LPDDR4x) |
4559
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
4059
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
3420
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
Iris Plus |
2880
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
2474
|
UHD |
1335
|
前モデル(Core i5) |
1275
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
CPUベンチマークテストの結果は低かったのですが、総合的な性能は悪くありません。一応各テストの目標値は超えているので、軽めの作業であれば問題なく行なえるでしょう。ただし重い処理には向いていないので注意してください。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
8896
9477
8362
9667
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
8295
6534
8253
8530
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5987
5363
6187
8109
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Surface Studio | Core i7-11370H / 16GB / RTX 3050 Ti |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公称値で、最大13.5時間とされています。しかし公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこで実機を使ってビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から10時間5分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短い結果でしたが、連続で作業しながらのテストであることを考えれば妥当なところでしょう。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Ryzen 3 53Whrモデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 最大13.5時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 10時間5分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 42分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間3分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ゲーム性能
Surface Laptop Go 2の解像度は1536×1024ドットのため、一般的なフルHD(1920×1080ドット)ではなく1280×720ドットに下げてゲーム系ベンチマークを行ないました。解像度が低いだけあって、スコアとしてはそこそこ優秀な結果が出ています。中量級クラスのタイトルでも、画質をグッと下げれば快適に遊べる目安の平均60FPSをクリアーできるでしょう。
ただし解像度が低い点が、映像やプレーに影響するかもしれません。基本的にはガッツリと遊ぶための機種ではなく、生き抜いて程度にプレーする程度と考えてください。
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 1178 / 動作困難 |
標準品質 | 2604 / やや重い |
軽量品質 | 3747 / 普通 |
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 6211 / 44.6 FPS |
高品質 | 6451 / 46.8 FPS |
標準品質 | 8602 / 62.6 FPS |
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 14016 / すごく快適 |
標準品質 | 15240 / すごく快適 |
低品質 | 17193 / すごく快適 |
※1280×720ドットの結果
いまこそオフィスなしモデルを!!
以上のようにSurface Laptop Go 2は見た目は悪くなく、性能的にはほどほどです。2020年発売のモデルをベースにしているため、排熱面でちょっとムリが出ているのかもしれません。個人的にはベゼルが少し太い点と、キーボードにバックライトが付いていない点も気になりました。各部では優れた面もあるものの、総合的にいまどきの10万円クラスとしては物足りません。
割高感が出ているのは、オフィスが付属しているためです。「日本ではオフィスが付いていないPCは売れない」とする日本マイクロソフトの主張は理解できます。しかしすでにサブスクリプション版のユーザーが多い状況で、個人向けにオフィスなしモデルを販売しないのは非合理的。筆者はオフィスのライセンスが5本(5台ぶんではなく。うちひとつはMicrosoft 365)を超えたので、もうSurfaceシリーズを購入するのはやめました。
またマイクロソフトはSurfaceシリーズを大学生にも強く勧めていますが、付属のOffice 2021は2026年10月にサポートが終了する問題があります。今年1年生ならギリギリ大丈夫ですが、来年2023年度の新入生だと卒論制作真っ最中であるはずの4年生の10月にサポートが切れるわけです。さらに大学によっては、オフィスのボリュームライセンスを使えるところもありますよね。
加えて最近は世界的な部品価格の高騰や部品不足、円安などの影響で、国内のPC価格が急上昇しています。Surface Laptop Go 2も、少なからず影響を受けているはずです。そもそもSurface Laptop Go 2はエントリー向けの低価格モデルだったはずなのに、価格的にはミドルレンジあたりになってしまいました。もはやエントリー的な位置付けに意味はなく、だったら解像度が高くてパワーもあるほかのSurfaceあるいは他社製品を買うよね、となることでしょう。
いま求められているのは、値上げの言い訳としてスペックアップしたモデルではないはずです。誰でも安く買える、オフィスなしのSurface Laptop Go 2を切に願います。
Surface Laptop Go 2
*
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