レノボのThinkCentre M90t Tower Gen 3は、インテル第12世代Coreプロセッサを搭載するタワー型のデスクトップPCです。特徴は、豊富なカスタマイズオプションに対応している点。CPUはCore i5からCore i9まで、グラフィックス機能は内蔵タイプ(グラボなし)からミドルハイのRTX 3070 Tiまで用意されています。メモリーは最大128GBまで搭載可能です。
本体がコンパクトなので、冷却性能はそれほど高くはありません。ゲームのように、高負荷の状態を長時間続けるような使い方には不向きです。しかしクリエイティブワークのように、一時的に最大パフォーマンスを利用するような使い方には向いています。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。
この記事の目次
- ▶ スペック
- ▶ 本体デザイン
- ▶ 分解方法とパーツ交換について
- ▶ ベンチマーク結果
- ▶ まとめ
ThinkCentre M90t Tower Gen 3
スペック
CPU | 第12世代Core i5 / Core i7 / Core i9 |
---|---|
チップセット | Intel Q670 |
メモリー | 8~128GB ※スロット4基、最大128GB、DDR5-4800 |
ストレージ | SSD 最大2TB ※デュアル構成対応 / HDD 最大2TB |
グラフィックス | 内蔵グラフィックス / GTX 1660 / RTX 3060 / RTX 3070 Ti |
フォームファクター | 独自形式 |
M.2スロット | 3(PCIe 4.0×4 Type-2280×2、PCIe 3.0×4 Type-2280×1、Wi-Fiカード用×1) |
光学ドライブ | なし / DVD-ROMドライブ / DVDスーパーマルチドライブ |
ドライブベイ | 光学ドライブ用スリムベイ、2.5/3.5インチ×2 |
拡張スロット | PCI Express x16 ×2、PCI Express x1×1 |
通信 | 1000BASE-T対応有線LAN ※WI-Fi / Bluetoothはオプション |
インターフェース(標準時) | USB3.2 Gen2×2(前面)、USB3.2 Gen1 ×6(前面×2+背面×4)、HDMI、DisplayPort、有線LAN、ヘッドホン端子 |
電源 | 300W / 500W / 750W |
サイズ / 重量 | 幅170×奥行き297.9×高さ376mm / 約6.5kg |
付属品 | USBマウス、USBキーボード、電源ケーブルなど ※オプションで変更可能 |
オフィス | ※オプションで追加可能 |
本体デザイン
外観について
インターフェースについて
分解方法とパーツ交換について
分解とグラボの取り外し
各部パーツ類
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-12400 |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB SSD |
グラフィックス | RTX 3060(12GB) |
※各種ベンチマークテストは、Windows 10の電源プランを「高パフォーマンス」に設定した上で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては第12世代のCore i5-12400が使われています。最新CPUと比較する性能的にはやや控えめですが、それでもまだまだ十分活用できるレベルの性能です。
CPU性能
CPU | 3DMark Time Spy CPU Score |
---|---|
Core i9-13900K |
19981
|
Core i7-13700K |
18868
|
Core i9-12900K |
18180
|
Core i5-13600K |
16311
|
Core i7-12700KF |
16098
|
Ryzen 9 7950X |
15453
|
Core i7-12700F |
15085
|
Ryzen 9 7900X |
14853
|
Ryzen 7 7700X |
13520
|
Ryzen 9 5900X |
13090
|
Core i5-13400 |
12294
|
Ryzen 7 5800X |
11366
|
Ryzen 5 7600X |
9867
|
ThinkCentre M90t(Core i5-12400) |
15124
|
Core i5-12400F |
9289
|
Ryzen 5 5600X |
8111
|
Ryzen 5 5600G |
7492
|
Core i3-12100F |
6541
|
※そのほかのスコアは3DMark公式サイトによる平均値
グラフィックス性能
GPUとしては、RTX 3060(12GB)が使われています。3Dベンチマークテストではパフォーマンスが大きく低下している様子も見られず、同GPUとしては標準的な結果です。ゲーミングPCと同程度の性能と考えていいでしょう。フルHD解像度なら、重いゲームでも快適に楽しめます。
GPU性能(DirectX 12,WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphics |
---|---|
RTX 4090 |
35782
|
RTX 4080 |
27985
|
RTX 4070 Ti |
22670
|
RTX 3090 Ti |
21724
|
RTX 3090 |
20531
|
RTX 3080 Ti |
19907
|
RTX 3080 |
17658
|
RTX 3070 Ti |
14821
|
RTX 3070 |
13680
|
RTX 3060 Ti |
11769
|
RTX 3060 |
8744
|
ThinkCentre M90t(Core i5-12400) |
8533
|
RTX 3050 |
6202
|
GTX 1650 |
3548
|
※そのほかのスコアはUL Solutionsによる平均値
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は、全体的に非常に優秀です。コンテンツ制作のテストでスコアがあまり伸びませんでしたが、おそらくCPUがCore i5-12400である影響が出ているのでしょう。とは言え、一般的な作業であれば快適に利用できます。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10683
10256
11430
11660
10840
11134
11414 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
9099
9930
7865
10561
10397
10762
10614 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
10109
5707
6313
10484
13307
15076
15410 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶ThinkCentre M75q Gen2 | Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon |
---|---|
▶ThinkCentre Neo 50t | Core i7-12700 / 16GB / UHD 770 |
▶XPS 8950 | Core i7-12700 / 16GB / GTX 1650S |
▶Alienware Aurora R13 | Core i7-12700KF / 16GB / RTX 3070 |
▶Legion T770i | Core i7-12700K / 32GB / RTX 3080 |
▶OMEN 45L | Core i9-12900K / 32GB / RTX 3090 |
ゲーム性能
RTX 3060はフルHDターゲットのミドルレンジGPUで、今回は解像度をフルHDに限定してテストを行ないました。さまざまな結果を総合的に見て、フルHDであれば重いゲームでも100 fps前後で快適に楽しめるでしょう。
RTX 3060の目安
- ・フルHDなら十分快適
- ・レイトレはタイトルによる
- ・中量級FPSは低画質なら240 fpsあたり
- ・競技系FPSは400 fps以上
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 94.2 / 67 |
最低画質 | 244.5 / 149.6 |
※解像度はフルHD。実際のプレーではこの結果よりもFPSがわずかに低下します
FF15ベンチ (重い)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 8312 / 快適 |
※スコアが6000以上で「快適」、解像度はフルHD
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 19170 / 135.1 FPS |
※解像度はフルHD
ワンランク上のパーツカスタマイズとサポートが必要な人に
本体内部を確認したところ、エアフローやCPUクーラーに関してやや貧弱な印象を受けました。しかしCore i5-12400であれば発熱も小さいので、特に問題はないでしょう。実際にベンチマーク結果を見ても、熱が原因で性能が低下しているようには見えません。
それでもCore i5 + RTX 3060の組み合わせとしては、やや割高な印象です。ゲーミングPCであれば、もう少し安く入手できます。
しかしThinkCentre M90t Tower Gen 3は、豊富なパーツカスタマイズに対応している点がポイントです。CPUを7~8種類のなかから選べるほか、シリアルポートやVGA(D-sub15ピン)、PS/2ポートなども追加できます。機材や環境などの理由により、レガシーなポートがどうしても必要な場合もあるでしょう。また法人レベルのサポートが必要なケースにもおすすめです。
使い道としては、GPUを使った高度な処理――クリエイティブワークやGPGPUなどに向いています。グラボ搭載ならゲームもプレー可能ですが、排熱性能やメンテナンスしやすさなどの面で、ゲームをするならゲーミングPCのほうがおすすめです。
https://komameblog.jp/review/t550/
ThinkCentre M90t Tower Gen 3
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