VAIO A12は、12.5インチの液晶ディスプレイを搭載した軽量タイプの2-in-1タブレットPCです。最大の特徴は、キーボードが使いやすい点。液晶ディスプレイを大きく開いても倒れることがなく安定しており、ヒザの上でも利用できます。本体はコンパクトながら、キーの大きさも十分。タブレットでもキーボードの使いやすさにこだわりたい人におすすめのモデルです。
VAIO A12の注目ポイント
タブレットとしても使える
液晶ディスプレイを取り外せば、極薄タブレットに早変わり。向きを変えてキーボード側にセットすることで、さまざまなスタイルでも利用できます。
ノートPCとしても使いやすい
2-in-1タブレットでありながら、キーボードが安定している点が大きな魅力。画面を大きく開いても後ろに倒れることがなく、ヒザの上に載せた状態でも利用できます。
ペン入力対応
ワコムの技術を採用したペンは、4096段階の筆圧感知に対応しています。手書き入力の反応はよく、メモ書きに向いています。
VAIO A12の評価
総合評価: 4.0/5.0
(評者:こまめブログ)
デザイン | やや厚みはあるがスタイリッシュで質感が高い |
---|---|
性能 | 省電力重視のYシリーズなので、文書作成中心のビジネス用途には十分 |
使いやすさ | 端子類が非常に多く、LTEにも対応。キーボードの使い勝手もいい |
軽さ | 12.5型としては平均よりやや重いが、2-in-1としては軽い |
画面 | フルHDで違和感のない発色。明るさも十分 |
こんな人にオススメ
- 👍 タブレットとしても使いたい
- 👍 キーボードを使う機会が多い
- 👍 LTE通信を利用したい
今回はメーカーからお借りしたVAIO A12の実機を使って、本体デザインや使い心地、ベンチマーク結果などをレビューします。
この記事の目次
- ▶スペック
- ▶価格
- ▶本体の大きさやデザイン
- ▶画面の色と見やすさ
- ▶キーボードの使いやすさ
- ▶端子類の種類と使いやすさ
- ▶LTE機能
- ▶ベンチマーク結果
- ▶まとめ
※価格や構成は変更される場合があります
※価格や構成は変更される場合があります
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VAIO A12のスペック
OS | Windows 10 Home Windows 10 Pro |
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CPU | ・Celeron 3965Y ・Core i5-8200Y ・Core i7-8500Y |
メモリー | ・4GB ・8GB ・16GB ※LPDDR3 |
ストレージ | ・128GB SSD (SATA) ・256GB SSD (SATA) ・256GB SSD (PCIe) ・512GB SSD (PCIe) ・1TB SSD (PCIe) |
グラフィックス | ・Intel HD Graphics 615 (Celeron) ・Intel UHD Graphics 615 (Core i5 / i7) |
ディスプレイ | 12.5インチ、 1920×1080ドット、 タッチ対応、光沢 |
光学ドライブ | なし |
通信機能 | IEEE802.11a/b/g/n/ac、 Bluetooth 4.1、 LTE (SIMフリー) ※オプション、 1000BASE-T対応有線LAN ※キーボード側 |
インターフェース (タブレット側) | USB3.0 (Type-C) ×1、 microSIMカードスロット ※LTEモデル、 ヘッドホン端子 |
インターフェース (キーボード側) | USB3.0 (フルサイズ) ×1、 USB2.0 ×2、 HDMI、 VGA (D-sub15ピン)、 有線LAN、 SDカードスロット |
セキュリティー | TPM2.0 ※オプション、 セキュリティースロット、 指紋センサー ※オプション、 |
カメラ | フロント ・207万画素+赤外線カメラ (Windows Hello対応) ・92万画素 リア ・799万画素 ・なし |
サイズ | タブレット時 幅305.5×奥行き199.4×高さ7.4mm キーボード接続時 幅305.5×奥行き211.9×高さ17~21mm |
重量 | タブレット時 約607g キーボード接続時 約1.099~1.209kg |
バッテリー駆動時間 | タブレット時 約7.7~8.5時間 キーボード接続時 ・14.4~15 時間 (ワイヤレスキーボード選択時) ・7.4~8.1時間 (通常キーボード選択時) |
オフィス | ※標準ではなし、オプションで追加可能 |
サポート | メーカー保証1年間 |
※2019年3月20日時点。構成は変更される場合があります
スペック上の注意点
- デジタイザースタイラス (ペン)は別売り
VAIO A12の価格
VAIO A12には店頭販売向けの「標準仕様モデル」と、VAIOストアおよびソニーストアで販売されている「カスタマイズモデル」の2種類が用意されています。
おすすめはVAIOストアで購入可能なカスタマイズモデル。LTE対応でさらにCPUやメモリー容量などを変更できる上に、32GB/1年間のデータ通信が可能なSIMカードを無料でもらえるからです。さらに当サイトの限定クーポンを使えば、2~3万円引きで購入できます。
価格の目安 (公式サイトのLTE対応モデル)
最安構成 | |
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15万4744円 | |
Core i5構成 | |
20万5504円 | |
Core i7構成 ※PCIe SSD | |
22万2504円 | |
最強構成 ※ペン+ワイヤレスキーボード | |
36万2364円 |
※2019年3月20日時点、限定クーポン利用時
またバリーエーションモデルとして、ブラックのカラーで統一された「VAIO A12 | ALL BLACK EDITION」も販売中です。このモデルではCPUがCore i7のみですが、機能や性能は標準モデルと変わりません。
ALL BLACK EDITIONの価格の目安 (公式サイトのLTE対応モデル)
標準構成 ※PCIe SSD | |
---|---|
22万7904円 | |
最強構成 ※ペン+ワイヤレスキーボード | |
36万7764円 |
※2019年3月20日時点、限定クーポン利用時
VAIO A12の本体の大きさやデザイン
VAIO A12の特徴は、液晶ディスプレイを取り外せるセパレート型(分離型)の2-in-1であるにも関わらず、見た目や使い勝手は完全にクラムシェル型のノートPCである点です。一見するとVAIO S13とあまり変わらないように見えます。
しかしキーボード上部のスイッチを操作すると、液晶ディスプレイが外れてタブレットとして利用できるのです。
セパレートタイプの2-in-1は構造上の理由により液晶ディスプレイを大きく開けないのですが(開きすぎるとタブレット側の重みで倒れてしまうため)、VAIO S12は普通のノートPCのように画面を大きく傾けることができます。さらに本体のバランスを考えて作られているので、2-in-1でありながらヒザの上での使用が可能。これはスゴイ!
クラムシェル型ノートPCのように使える秘密は、底面部の「スタビライザーフラップ」と呼ばれる部品にあります。液晶ディスプレイの開閉と同時にフタのような構造のパーツが開き、キーボード部分と液晶ディスプレイのバランスを取っているのです。
取り外した液晶ディスプレイはそのままタブレットとして使ったり、向きを変えてキーボードにセットすることでさまざまなスタイルで利用できます。
本体カラーはブラックで、底面部のスタビライザーフラップとキーボード面はシルバーです。スタビライザーフラップの存在感が強いのですが、落ち着いたカラーリングなのでビジネスシーンでも違和感はありません。
バリエーションモデルのVAIO A12 | ALL BLACK EDITIONは、キーボード面やスタビライザーフラップなどがすべてブラックで統一されています。デザイン的にはこちらのほうがスタイリッシュです。
サイズはコンパクトで、A4用紙程度の大きさです。タブレットの状態では非常に薄いのですが、キーボードに取り付けるとやや厚く感じました。とは言うものの、問題なく持ち運べるでしょう。
重さはパーツ構成やキーボードの機能によって異なります。標準キーボードに接続したときは合計1.099~1.14kgで非常に軽いのですが、ワイヤレスキーボードだと合計1.209~1.233kgで、わずかに重みを感じました。これはワイヤレスキーボード側には無線通信のためのパーツとバッテリーが内蔵されているため。少し重くなるぶん、より便利にかつ長時間利用できます。
ノートPCの平均重量
画面サイズ | 平均重量 |
---|---|
11.6インチ | 1.06kg |
12.5インチ | 1.095kg |
13.3インチ | 1.209kg |
14インチ | 1.582kg |
15.6インチ (スタンダード) | 2.131kg |
15.6インチ (ゲーミング) | 2.413kg |
※2018年1月~12月に当サイトが検証したノートPC(2-in-1を含む) の実測値より
VAIO A12の画面の色と見やすさ
液晶ディスプレイの大きさは12.5インチ。モバイルノートPCとして人気の13.3インチよりもひとまわり小さめです。解像度は1920×1080ドットのフルHD。文字が小さく感じようなら、デスクトップのスケーリング(拡大率)を変更するといいでしょう。
映像の色合いは特別鮮やかではないものの、自然な色に見えます。明るさは標準的で、作業には十分なレベルです。コントラスト (色のメリハリ)もほどほどで、写真や動画、ゲームを楽しむというよりも文書の作成/閲覧に向いています。
液晶ディスプレイの表面は、光沢ありのグレア仕上げです。光の映り込みが生じるので、気になる人はオプションの液晶保護シート (工場で貼り付けてから出荷)を追加するといいでしょう。
ちなみに液晶ディスプレイの表面には、傷に強いDragontrail Proが使われています。
VAIO A12のキーボードの使いやすさ
個人的に素晴らしいと思ったのは、キーボードが使いやすい点です。本体がコンパクトなのに、キーボードのキーピッチは理想とされる19mm。13インチのVAIO S13と同じキーボードが使われています。12.5インチでしかも2-in-1タイプだとキーが小さくて使いづらいものが多いのですが、VAIO A12のキーボードは一般的なノートPCと変わりません。
キーのタイプ感はかなり軽めです。キーストローク (キーを押し込む深さ)は約1.2mmで、ノートPCの標準である1.5mmよりも浅く感じます。また入力時には、若干のたわみを感じました。入力時のクリック感は軽く、手応えはあまり感じられません。
タイプ音は、軽いタッチならトストスという感じで控えめです。しかし強めに打つとドンドンと響きました。おそらくこれは、接地面と底面部のあいだのすき間があるため、タイプ音が反響しているためだと思われます。軽いタッチでサクサクと入力する人向きです。
タッチパッドは反応はいいのですが、小ぶりでダイナミックな操作には不向きです。ただタッチ操作に対応しているので、ボタンのクリックなどは直接画面を押したほうが操作しやすいでしょう。
ペン入力の反応は良好でした。ペンをすばやく動かしても、遅延は感じられません。書き心地はツルツルとしていて、抵抗は少なめです。筆圧感知は4096段階ですが、本格的なイラスト制作にはややCPUがパワー不足のように感じます (傾き検知には非対応)。とは言えレスポンスは十分なレベルで、ビジネスシーンでメモを取るには問題ありません。
VAIO A12の端子類の種類と使いやすさ
インターフェースはとても充実しています。Power Delivery対応のUBS 3.0 Type-Cを備えるほか、SIMカードスロットや有線LAN、VGA(D-sub15ピン)なども装備。12.5インチの2-in-1でこれほどの端子を用意しているものはほかにありません。ビジネスに求められる機能にはひととおり対応している点が魅力です。
左側面のインターフェース
- ① セキュリティースロット ※盗難防止用
- ② USB2.0
- ③ SDカードスロット
右側面のインターフェース
- ① USB3.0
- ② HDMI
- ③ VGA (D-sub15ピン)
- ④ 1000BASE-T対応有線LAN
- ⑤ 電源コネクター
タブレット側右側面のインターフェース
- ① 電源ボタン
- ② 音量調節ボタン
- ③ microSIMカードスロット
- ④ USB3.0 Type-C
- ⑤ ヘッドホン端子
VAIO A12のLTE機能
VAIO A12のLTEモデルなら、SIMフリーのLTE通信が可能です。対応バンドは多く、国内外の主要なキャリアなら問題なく使えるでしょう。MVNOの格安SIMも利用可能です。
通信速度は下り最大150Mbpsで、上りは最大50Mbpsです。キャリアアグリゲーション対応エリアなら、最大450Mbpsでのデータ通信に対応します。
VAIO A12の対応バンド
LTE | 1/2/3/4/5/7/8/12/13/17/18/19/20/21/25/26/28/29/30/38/39/40/41/66 |
---|---|
3G | 1/2/4/5/6/8/19 |
大手3大キャリアのLTE対応バンド
NTTドコモ | 1/3/21/26/28/ |
---|---|
KDDI (au) | 1/11/26/28/41 |
ソフトバンク | 1/2/3/8/21/28 (※)/41 |
※VAIO A12はソフトバンクのバンド28には非対応
主要MVNOのVAIO A12動作確認状況
サービス名 | 対応状況 | データ通信 | テザリング | SMS |
---|---|---|---|---|
DMMモバイル | 対応 | ◯ | ◯ | 受信のみ |
楽天モバイル | 未検証 | - | - | - |
BIGLOBEモバイル | 未検証 | - | - | - |
IIJmio | 対応 | ◯ | ◯ | 受信のみ |
UQモバイル | 対応 | ◯ | ◯ | × |
NifMo | 未検証 | - | - | - |
OCN モバイル ONE | 対応 | ◯ | ◯ | × |
※2019年3月21日時点。動作確認未検証でも利用できるケースがほとんどです
LTEモデルの購入を検討しているなら、VAIO直営ショップでの購入をおすすめします。全モデルでLTEに対応している (対応可能機種)上に、32GBのデータ通信 (有効期間は1年間)を利用可能なVAIOオリジナルSIMを無料でもらえるからです。
VAIO A12のベンチマーク結果
今回のテストで使った機種のスペックは以下のとおり。ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります。あらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Pro |
---|---|
CPU | Core i5-8200Y |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 128GB SSD (SATA) |
グラフィックス | Intel UHD Graphics 615 |
ストレージ性能
試用機で使われていた128GB SSDはSATA接続で、アクセス速度は以下のとおり。HDDよりは高速ではあるものの、PCIe (NVMe)接続のSSDにはかないません。予算が許すのであれば、爆速なPCIe接続SSDを選ぶといいでしょう。
CPU性能
VAIO A12で使われているCPUは、計算性能よりも省電力性能を重視しています。そのため、「Core i5」あるいは「Core i7」であっても、パフォーマンスが高いわけではありません。
以下のグラフは、CPU性能を計測するベンチマークテストの結果です。Core i5-8200Yを搭載した試用機では、現在多くのノートPCで使われているCore i5-8250Uの半分程度のスコアとなりました。つまり一般的なCore i5搭載ノートPCに比べて、半分程度のパフォーマンスしか出ないということです。上位CPUのCore i7-8500Yでも、テストは控えめな結果となるでしょう。
CPUベンチマーク結果
CPU | PassMark PerformanceTestのCPU Markスコア |
---|---|
Core i5-8250U |
|
Core i7-7500U |
|
Core i3-8130U |
|
Core i5-7200U |
|
VAIO A12 (Core i5-8200Y) |
|
Core i3-7100U |
|
Celeron N4000 |
|
※そのほかのベンチマーク結果は当サイト計測の平均値
繰り返しになりますが、これはCore i5-8200Y / Core i7-8500Yが計算性能よりも省電力性能を重視しているためです。パフォーマンスが低いとは言っても、ネットや文書作成には十分。動画編集や高度なデータ処理を行なわないなら問題はありません。高いパフォーマンスよりもバッテリーのもち時間を重視したい人向けです。
またVAIO A12はファンレスで駆動音がまったく聞こえないのも、省電力CPUを使っているためです。CPUの発熱が低いのに加え、VAIO独自の熱設計 / 熱対策が施されています。
グラフィックス性能
グラフィックス機能はCPU内蔵のIntel UHD Graphics 615で、性能は控えめです。Core i5-8250UのIntel UHD Graphics 620であれば軽めの3Dゲームをなんとかプレーできますが、Core i5-8200Yでは厳しいでしょう。基本的にゲームのプレーは考えないほうが無難です(UWPアプリのカジュアルゲームを除く)。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strikeのスコア |
---|---|
UHD 620 (Core i5) |
|
UHD 620 (Core i3) |
|
VAIO A12 (UHD615) |
|
UHD 600 (Celeron) |
|
※そのほかのGPUのベンチマーク結果は当サイト計測の平均値
バッテリー性能
バッテリー駆動時間の公称値はタブレット時で7.7~8.5時間、通常キーボード接続時で7.4~8.1時間、セカンドバッテリー内蔵のワイヤレスキーボード接続時で14.4~15時間とされています。
実際の駆動時間を計測したところ、消費電力の少ないテストで9時間53分という結果でした。公称値よりも短かったものの、これはテスト方法が異なるためです。バッテリー消費の大きいPCMark 8のテストでは約7時間半という結果で、これはなかなか優秀。実運用においても、ほかのモバイルノートPCよりもバッテリーは長もちするでしょう。
ちなみにタブレット時のPCMark 8の結果は4時間54分でした。実運用では数時間程度と考えたほうがいいかもしれません。
バッテリー駆動時間のテスト結果 ※ワイヤレスキーボード接続時
公称値 | 14.4~15時間 |
---|---|
BBenchによる計測 | 9時間53分 |
PCMark 8による計測 | 7時間24分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
キーボードが使いやすい2-in-1タブレット
ということで、今回はVAIO A12のレビューをお届けしました。
パフォーマンス面は少々残念ではあるものの、テキスト文書主体のビジネスシーンにおいては実用的に使えるレベルです。なにより2-in-1タブレットでありながら、クラムシェル型ノートPCにも劣らないキーボードの使い勝手が大きな魅力。さらにVAIO製品ならではのギミック感やデザインも、好きな人にはたまらないですよね。ビジネスシーン向けの2-in-1タブレットを探している人におすすめです。
※価格や構成は変更される場合があります
※価格や構成は変更される場合があります
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