VAIO Zの2021年モデルは、14インチディスプレイを搭載する軽量タイプのモバイルノートPCです。CPUはTiger Lake H35で、同クラス製品よりも(当時としては)高いパフォーマンスを実現しています。
※現在は第11世代の新CPUを搭載したモデルが販売されています

VAIO Z 2021年モデル
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

VAIO Z 2021年モデル
スペック
OS | Windows 11 Home / Pro |
---|---|
ディスプレイ | 14インチ 1920×1080/3840×2160 非光沢 タッチ非対応 |
CPU | Core i5-11300H / Core i7-11370H |
メモリー | 8~32GB LPDDR4x ※オンボード |
ストレージ | 256GB~2TB SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1、4G LTE(オプション) |
インターフェース | Thunderbolt 4(充電 / 映像出力対応)×2、HDMI、ヘッドホン端子 |
生体認証 | 指紋センサー、顔認証用IRカメラ |
サイズ / 重量 | 幅320.4×奥行き220.8×高さ12.2~16.9mm / 約958~1065g |
バッテリー | 約34時間(フルHDモデル) / 約[17時間(4Kモデル) |
本体デザイン

VAIO Zの外観。本体カラーはブラック

ボディには軽さと強度に優れるカーボンファイバー素材(CFRP)が使われています。表面はサラサラとしたドライな手触り。天板上部には、Wi-Fi電波の感度を上げるアンテナラインが配置されていました

スタイリッシュなフォルム

ヒンジそばの角には特徴的な金属素材が配置されています

ディスプレイを開いたときに本体を支える&保護することが目的のようです

キーボード面も同様の質感

ディスプレイは指1本で軽く開きます

ディスプレイは180度まで開閉可能。ホットキーで映像の向きを手軽に変えられます。相手に画面を見せたい場合に便利です

左右のベゼルは細いものの、上部がやや太め。カメラやアンテナラインの配置が影響しているのかもしれません

インターフェース構成は多くはないものの、モバイル用途であることを考えれば仕方がないでしょう。端子がいろいろ必要な場合は、Thunderbolt 4ドックを利用してください

電源アダプターは65WのType-C。重さは162gで、非常にコンパクト

他社の65W Type-Cアダプターと比べると、だいぶコンパクトです

排気口はこの部分。温められた空気がディスプレイに直接当たります

底面部には吸気口はなく、とてもシンプルな作り

吸気口は左右側面に配置されています
サイズと重量

本体サイズは幅320.4mm、奥行き220.8mm

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)とのサイズ比較。いまどきの14インチタイプよりはやや大きめです

厚さは実測で16.7mm(突起部を除く)

底面部のゴム足(突起部)を含めた設置時の高さは18.7mm。薄く感じるほどではありませんが、ほどほどにスリムです

今回使用したフルHDモデルの重量は964g

実際に手で持つと非常に軽く感じます。本体の剛性も高く、持ち歩き用にはピッタリです
ディスプレイについて

画面サイズは14インチ。解像度は1920×1080ドットのフルHDと、3840×2160ドットの4Kが用意されています

今回使用したのはフルHDのモデル。標準のスケーリング設定は150%で、デスクトップの文字の大きさは2~2.8mm。新聞より小さいのですが、読みづらくは感じませんでした。小さくて読めない場合は、スケーリングを調整するといいでしょう

アスペクト比は一般的な16:9。最近は16:10が増えていますが、スライドなど16:9の比率で使われる場面はまだ多く残っています

映像はメリハリのある自然な色合い。体感的にはsRGBカバー率100%のパネルに近い印象です

明るさは作業には十分なレベル。照明の下でも暗くは感じませんでした
キーボードについて

キーボードはテンキーなしの日本語配列。配列に違和感はないものの、カーソルキーがかなり小さくて使いづらく感じます

キーボードバックライトに対応

ディスプレイを開くとキーボードが持ち上がるリフトアップヒンジを採用

パームレストと接地面の段差が小さく、手首を接地面に置いた状態で腕に負担をかけずに作業できます

キーピッチは標準的な19mm。キートップが0.3mm程度へこんでいるので、指にフィットしやすい作りです。キーを押した瞬間のクリック感がほかの製品よりも深く、指を押し込まなくてもスッと入るように感じます。力を込める必要がないので、疲れにくい印象です

タイプ音は非常に静かです。わずかにカタカタと聞こえますが、うるさくは感じません。ただ指を叩きつけるようにして入力すると、タイプ音が底面部のすき間で反響するのでかなり大きく聞こえます
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-11300H |
---|---|
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「VAIO推奨設定」に設定した上で、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定。さらに標準収録の「VAIOの設定」で「CPUとファン」を「パフォーマンス優先」に設定し、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第11世代のTiger Lake H35ことCore i5-11300H / Core i7-11370Hが使われています。発売は2021年3月で、当時としてはそこそこ高性能でした。しかしすでに第12世代CoreプロセッサやモバイルRyzen6000シリーズがリリースされたいまとなっては、性能的には中位クラスあたりです。とは言え、一般的なビジネス作業には問題なく使えるでしょう。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i7-1280P |
12396
|
Ryzen 7 6800U |
10183
|
Ryzen 7 5825U |
9728
|
Core i7-1260P |
8447
|
Ryzen 7 5700U |
8304
|
Ryzen 5 5625U |
7580
|
Core i7-1250U |
7552
|
Ryzen 5 5500U |
6779
|
VAIO Z(Core i5-11300H) |
6492
|
Core i5-1235U |
5989
|
Core i3-1215U |
5715
|
Ryzen 3 5400U |
5693
|
Ryzen 3 5300U |
5140
|
Core i5-1135G7 |
4932
|
Core i7-1165G7 |
4711
|
Core i3-1115G4 |
3378
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (シングルコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i7-1280P |
1733
|
Core i7-1250U |
1726
|
Core i3-1215U |
1661
|
Core i7-1260P |
1648
|
Core i5-1235U |
1648
|
Ryzen 7 6800U |
1471
|
Ryzen 7 5825U |
1433
|
Core i7-1165G7 |
1423
|
VAIO Z(Core i5-11300H) |
1417
|
Ryzen 5 5625U |
1404
|
Core i5-1135G7 |
1349
|
Core i3-1115G4 |
1329
|
Ryzen 7 5700U |
1254
|
Ryzen 5 5500U |
1177
|
Ryzen 3 5300U |
1125
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われます。3Dベンチマークスコアは妥当な結果で、内蔵GPUタイプとしてはそこそこ優秀です。ただし大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Ryzen7) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
VAIO Z(Core i5+LPDDR4x) |
1399
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4x) |
1302
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
Iris Plus |
812
|
UHD |
407
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではマルチコア性能とストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は悪くありません。Core i5でありながら、同世代のCore i7相当のパフォーマンスが出ています。ただ、やはり高性能なPCには及びません。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
9878
9477
8362
9667
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
6608
6534
8253
8530
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5206
5363
6187
8109
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Surface Studio | Core i7-11370H / 16GB / RTX 3050 Ti |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
「Z」ととはなんだったのか?
全体的に”手堅い作り”で、各部は非常に高品質です。ビジネスノートPCとしては高い完成度と言っていいでしょう。普段の業務では、”普通に”活用できるはずです。
しかし往年のVAIO Zは、さまざまなギミックで我々PCユーザーを驚かせるようなノートPCでした。ですがいまのVAIO Zは品のいいビジネスノートPCであって、ほかのノートPCと変わりません。もっと言えば、14インチのVAIO SX14としてリリースしてもよかったのではないでしょうか。
とは言え、これはこれで満足する人も多いでしょう。おそらくPCメーカーのビジネスとしても、これが正解です。ただ個人的には、PCの未来を感じさせる「Zの息吹」がこもった機種を希望します。

VAIO Z 2021年モデル
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