ASUSのVivobook Pro 16X OLED(M7600QC)は、16インチディスプレイを搭載するノートPCです。3840×2400ドットの有機ELディスプレイは映像が非常に美しく、プロレベルのクリエイティブワークにも向いています。

ASUS Vivobook Pro 16X OLED
ポイント
- 😄 4K有機ELディスプレイ
- 😄 RTX 3050搭載
- 😄 タッチパッドでダイヤル操作
- 🙄 ディスプレイの焼き付きが不安
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。

※2021年11月24日時点
ASUS Vivobook Pro 16X OLEDのスペック
OS | Windows 11 Home |
---|---|
ディスプレイ | 16インチ 3840×2400 光沢 タッチ非対応 |
CPU | Ryzen 9 5900HX(8コア16スレッド) |
メモリー | 16GB DDR4-3200 |
ストレージ | 512GB PCIe 3.0 SSD |
グラフィックス | RTX 3050(4GB) |
通信 | 11a/b/g/n/ac/ax、Bluetooth 5.1 |
インターフェース | USB3.2 Gen1×1、USB3.2 Gen1 Type-C×2、USB2.0×2、HDMI、microSDカードスロット、マイク入力/ヘッドフォン出力共用端子 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅360.5×奥行き259×高さ19.5mm / 約1.94kg |
バッテリー | 15.7時間 6セル 96WHr |
※2021年11月24日時点。構成は変更される場合があります
本体デザイン

ASUS Vivobook Pro 16X OLEDは、とても高級感のある外観です。本体の資材には質感と剛性に優れるアルミニウム合金が使われています

本体カラーはブラック。表面はツヤ消しですが、指紋の跡が少し残ります

高性能なCPUとGPUを搭載しているとは思えないほど、スリムなフォルム

天板のプレートのような部分にはモデル名が記載されています

パームレストもアルミ製。シンプルなデザインですが、シール類が多くちょっとゴチャゴチャしています

ベゼルはかなり細く、画面周りがスッキリとしています

インターフェースは過不足のない十分な構成

電源アダプターはやや大きめで120Wの丸口タイプ。重さは442g

スピーカーは底面配置。低音域は若干厚みがありますが、中音域がややこもり気味。ノートPCとしては標準よりもやや上程度の音質です

Webカメラはプライバーシャッター付き

底面部には吸気口
サイズと重量

設置面積は幅360.5×奥行き259mm

A4ノート(ピンク)とB5ノート(ブルー)との比較。B4サイズよりもひと回り小さい程度

厚さは実測で19.4mm。底面部のゴム足を含めた高さは22.6mm

本体前面の見た目はスリム

本体背面。排気口はヒンジの裏に配置されており、使用時は温風がディスプレイに当たります

重さは実測で1.936kg。16インチとしては比較的軽量です
ディスプレイについて

ディスプレイは16インチの3840×2400ドット。アスペクト比16:10で、一般的な16:10よりもわずかに縦長です

16:10ではデジタルカメラでは一般的な3:2の写真が編集領域にフィットしやすく、パネルも縦方向に長く表示されます

デスクトップの文字は2~2.6mm程度(スケーリング250%)。文字はドット感がなく非常になめらかで、読みやすく感じます

パネルはOLED。映像は自然な色合いかつ鮮やかで、とても明るく感じます。一般的なノートPCに比べて2~3ランク上の映像品質です
測定結果
sRGB比 | 155.4% |
---|---|
Adobe RGBカバー率 | 98.2% |
DCI-P3カバー率 | 100% |
輝度 | 377nit(公称値500nit) |
リフレッシュレート | 60Hz |

コントラストが非常に高く、色が鮮やか。スマホやタブレットにも劣らない映像品質です。一般的なディスプレイを見慣れていると、色が多少派手に感じるかもしれません

sRGB 100%では赤が弱い傾向ですが、広色域のOLEDディスプレイではしっかり出ています

色域が広く、プロレベルのクリエイティブワークにも向いています

画面の輝度は実測で377nit。公称値の500nitよりも低かったのですが、十分明るく感じます

OLEDの焼き付き防止用にスクリーンセーバーやピクセルシフトなどの機能が用意されています。これらの機能を有効にしつつ、画面をつけっぱなしにしないよう注意するといいでしょう
キーボードについて

キーボードはテンキー付きの日本語配列

キーボードバックライトに対応

テンキーがちょっと特殊な3列構成。Enterキー左上の「¥」キーがかなり小さく作られています

Enterキーに柄が描かれているほか、周辺のキーの色がやや異なります

キーピッチは実測で18.4mm、キーストロークは平均1.44mm。入力時にカクッとした固めのクリック感があり、手応えはしっかりと感じられます

クリック感が固いぶん、軽い力でもタイプ音がカタカタと聞こえます。軽いタッチならうるさくは感じませんが、強く叩くとタンタンと響くので注意

独自機能「ASUS DialPad」に対応するタッチパッド

タッチパッドを右上から左下方向にスライドすると、DialPadのオン / オフを切り替えられます

リング状の部分を指先で操作することで、ダイヤルコントローラーのように使えます

画面上に表示されるDialPad用コントローラー

Photoshopではブラシサイズを変えたりするのに便利。DialPadの動作は標準収録ユーティリティで設定できます
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 9 5900HX |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | RTX 3050 (4GB) |
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては8コア16スレッドでゲーミング / クリエイターノートPC向けの、Ryzen 9 5900HXが使われています。CPU性能を計測するベンチマークテストを試したところ、ノートPCとしてはトップクラスの結果でした。ただ同じCPUの平均値を若干下回っているところを見ると、発熱対策でパフォーマンスを若干抑えているのかもしれません。とは言え、十分すぎるほどの結果です。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 9 5900HX |
5052
|
Core i7-11800H |
4992
|
Vivobook Pro 16X(Ryzen 9 5900HX) |
4934
|
Ryzen 7 5800H |
4681
|
Ryzen 7 5800U |
3829
|
Ryzen 7 5700U |
3512
|
Core i5-11400H |
2992
|
Ryzen 5 5500U |
2817
|
Core i5-1135G7 |
2063
|
Ryzen 3 5300U |
2010
|
Core i7-1165G7 |
1963
|
Core i3-1115G4 |
1314
|
Ryzen 3 3250U |
818
|
Celeron N4500 |
426
|
Celeron 6305 |
416
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark 10 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 9 5900HX |
24249
|
Vivobook Pro 16X(Ryzen 9 5900HX) |
23020
|
Core i7-11800H |
21493
|
Ryzen 7 5800U |
19202
|
Ryzen 7 5700U |
18089
|
Core i7-1185G7 |
13135
|
Ryzen 5 5500U |
12362
|
Core i7-1165G7 |
11723
|
Core i5-1135G7 |
11249
|
Ryzen 3 5300U |
9527
|
Core i3-1115G4 |
6750
|
Ryzen 3 3250U |
4441
|
Celeron 6305 |
2302
|
Celeron N4500 |
2284
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、専用グラフィックスのGeForce RTX 3050が使われます。GPUとしてはエントリー(入門)クラスのため、ミドルレンジ以上のGPUと比べると性能はそこそこと言った程度です。しかしCPU内蔵のUHD Graphicsよりははるかに高性能。3Dベンチマークでは、前世代のエントリーGPUを上回る結果が出ています。ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を期待できます。
GPUの性能 (DirectX 12、WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
11914
|
RTX 2080 |
9599
|
RTX 3070 |
8831
|
RTX 3060 |
8331
|
RTX 2070 |
7660
|
RTX 2060 |
5860
|
GTX 1660 Ti |
5626
|
RTX 3050 Ti |
5166
|
Vivobook Pro 16X(RTX 3050) |
4380
|
RTX 3050 |
4120
|
GTX 1650 Ti |
3686
|
GTX 1650 |
3178
|
Iris Xe (Core i7) |
1250
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能 (DirectX 11、フルHD)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
28566
|
RTX 2080 |
25078
|
RTX 3070 |
24153
|
RTX 3060 |
21725
|
RTX 2070 |
20037
|
RTX 2060 |
15685
|
GTX 1660 Ti |
14451
|
RTX 3050 Ti |
13385
|
RTX 3050 |
11216
|
Vivobook Pro 16X(RTX 3050) |
10721
|
GTX 1650 Ti |
10123
|
GTX 1650 |
8758
|
Iris Xe (Core i7) |
4486
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
レイトレーシング性能については、対応GPUのなかでは最低クラスです。とりあえず対応しているだけで、実利用はムリと考えてください。
GPUの性能 (レイトレーシング)
GPU | 3DMark Port Royal Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 |
7351
|
RTX 2080 |
5675
|
RTX 3070 |
5242
|
RTX 3060 |
4998
|
RTX 2070 |
4498
|
RTX 2060 |
3330
|
GTX 1660 Ti |
1487
|
RTX 3050 Ti |
604
|
RTX 3050 |
537
|
Vivobook Pro 16X(RTX 3050) |
517
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。
結果は非常に優秀です。快適に使える目安の目標値を大きく上回り、一般的な作業であれば問題なく行なえます。ただコンテンツ制作のテストでは、インテル系CPU搭載機のほうが有利な結果が出ました。とは言え、十分満足できる結果です。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
9887
9784
9925
9667
9418 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
8751
6630
9276
8530
7927 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
7680
4840
6814
8109
8486 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶THIRDWAVE DX-T7 | Core i7-1165G7 / 16GB |
---|---|
▶IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H / 16GB / GTX 1650 |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
クリエイティブ性能
UL Procyonは、アドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測するベンチマークテストです。「Photo Editing」ではPhotoshopとLightroom Classicを、「Video Editing」ではPremiere Proを利用します。
試用機ではやや低めの結果が出ました。Ryzen 7 + GTX 1650搭載機よりもスコアが下回っているのを見るに、Ryzenとアドビ製品というよりもNVIDIA Studioドライバー(今回はバージョン472.47を使用)とRyzenの相性がよくないのかもしれません。時間の都合上Gameドライバーでのテストを行なえなかったのですが、十分なパフォーマンスを得られないように感じたら、ドライバーを変更してみてください。
Procyonベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Photo Editing ※写真加工全般 |
4553
4695
6358
6860
7406 |
Image Retouching ※Photoshop中心 |
4802
4907
6765
5833
6708 |
Batch Processing ※Lightroom中心 |
4317
4494
5976
8069
8178 |
Video Editing ※Premirer |
4302
3268
4578
5186
5351 |
比較機のスペック
▶IdeaPad Slim 560 Pro | Ryzen 7 5800H / 16GB / GTX 1650 |
---|---|
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
GF76 11U | Core i7-11800H / 16GB /RTX 3050 Ti |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
起動時間
ウィンドウズの起動時間(バッテリー駆動時)は平均8.24秒でした。最近のSSD搭載ノートPCの平均は15秒前後ですので、起動はかなり高速です。待たされている感はほとんどありません。
起動時間の計測結果(手動計測)
1回目 | 8.5秒 |
---|---|
2回目 | 8.6秒 |
3回目 | 8.2秒 |
4回目 | 7.9秒 |
5回目 | 8.0秒 |
平均 | 8.24秒 |
駆動音
駆動音(排気音やファンの回転音)は通常利用時には気になりませんが、高い負荷がかかっていると排気音がかなり大きく聞こえました。爆音とまではいきませんが、気になる場合はパフォーマンス設定を下げるなどの対策を行なったほうがいいでしょう。
駆動音の計測結果
電源オフ | 37.2dBA | - |
---|---|---|
起動直後 | 49.2dBA | 排気音がわりと大きく聞こえるが、すぐに消える。アップデート状況にもよるが、通常時は1分弱程度 |
待機中 | 37.5dBA | 基本的には静かだが、高音域のファンの回転音がわずかに聞こえる。 |
高負荷時(高パフォーマンス設定) | 52.2dBA | 排気音が大きく聞こえる。部屋の外まで聞こえるほどではないが、常時聞いているとストレスを感じるほど。ヘッドセットである程度抑えられる |
ゲーム性能
ASUS Vivobook Pro 16X OLEDは本来ゲーム用の機種ではありませんが、ゲーム性能についても検証しました。FF14のような中規模クラス(少し重い程度)のゲームであれば、フルHD前後の解像度でも最高画質で快適に楽しめます。ただし重いゲームは、画質や解像度をグッと落とさないと厳しいでしょう。またディスプレイのリフレッシュレートが60Hzなので、動きの速いゲームには向いていません。
ちなみに今回はGPU用にクリエイティブワーク向けのRTX Studioドライバーを使っているため、ゲーム性能が十分に発揮されていない可能性があります。
FF15ベンチ (重い / DX11)

画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 4122 / 普通 |
標準品質 | 6045 / 快適 |
軽量品質 | 6964 / 快適 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)

画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 10986 / 75.9 FPS |
高品質 | 13777 / 97.6 FPS |
標準品質 | 16362 / 119.1 FPS |
※1920×1200ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)

画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 21756 / すごく快適 |
標準品質 | 21834 / すごく快適 |
低品質 | 22708 / すごく快適 |
※1920×1080ドットの結果
写真やデザインにおすすめのパワフルノートPC
なんと言っても、有機ELディスプレイの美しさが魅力です。色がやや派手かなと感じる場面もありますが、明るく鮮やかな映像は見ていて気分がアガります。色域も広く、クリエイティブワークにもピッタリです。
パフォーマンス的には、動画編集よりも画像処理やデザイン制作などに向いています。RTX 3050はエントリークラスのGPUですが、画像加工 / 写真現像であれば快適に利用可能です。動画編集を行なうなら、フルHDレベルに留めておいたほうがいいでしょう。ベンチマーク結果を見るとRTX StudioドライバーとRyzenの相性が気になるところですが、実利用では特に問題ないはずです。
個人的に気になったのは、ディスプレイの焼き付きが不安な点です。スクリーンセーバーやピクセルシフト、自動ディスプレイオフなどの機能を利用すればある程度回避できますが、なんらかのきっかけでミスすることがあるかもしれません。また経年劣化でどう変化するのかも、不明です。その意味で、丁寧に使うべき機種だと思います。

※2021年11月24日時点
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