レノボの『Yoga 6 Gen 8 13.3型(AMD)』(以下、”Yoga 6 Gen 8″)は、13.3インチタイプのモバイル2-in-1ノートPCです。AMDのZen3世代モバイルRyzen 7030Uシリーズ搭載で、手書き入力用のデジタルペンが付属。外出先でペンを使ったり、変形させて使いたい人に向いています。
本体はコンパクトですが、画面が回転する2-in-1の特性上、やや重くかつ厚く作られています。持ち歩けないほどではありませんが、気にならないほど軽いというわけでもありません。性能面は優秀なので、作業は快適にこなせるでしょう。デニム調の特徴的な外観もポイントです。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Yoga 6 Gen 8 13.3型(AMD)
スペック
発売日 | 2022年1月31日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
ディスプレイ | 13.3インチ 1920×1200ドット IPS 光沢 タッチ対応 300nit 100% sRGB |
CPU | Ryzen 5 7530U / Ryzen 7 7730U |
メモリー | 8GB / 16GB ※LPDDR4x-4266 |
ストレージ | 256GB~1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon ※CPU内蔵 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.1 |
インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C(映像出力 / USB PD対応)×2、USB 3.2 Gen1 Type-A×2、HDMI(4K/60Hz)、microSDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅304mm、奥行き218mm、高さ17.36mm / 約1.39kg |
バッテリー | 約21.7時間 |
本体デザイン
Yoga 6 Gen 8は天板に、デニム調のファブリック素材が使われています。側面は、丸みを帯びたラウンドエッジデザインで、全体的にカジュアルな印象。ノートPCとしては珍しい作りではあるものの、2021年に発売されたYoga 650から続くシリーズ共通のデザインです。
サイズと重量
Yoga 6 Gen 8はコンパクトなモバイルノートPCで、持ち運びに向いています。13.3インチタイプとしては標準的な大きさですが、重量はやや重め。と言っても画面が回転する2-in-1タイプなので、このくらいの重さなら仕方ながないでしょう。持ち運べないほどではなく、個人的には許容範囲内です。
ディスプレイについて
画面サイズは13.3インチ。モバイルノートPCとしては、昔から人気のサイズです。デスクトップのスケーリングが150%に設定されているため、文字は十分な大きさで問題なく読めるでしょう。ただしそのぶん画面あたりの情報量が減るので、自分に合ったスケーリング設定に変更してください。
キーボードについて
キーボードにはややクセがありますが、致命的な部分は見られません。慣れれば問題なく使えるでしょう。ただしタイプ感はどちらかと言えば軽く、軽いタッチで入力する人に向いています。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 7 7730U(8コア/16スレッド、15W) |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ソフト『Lenovo Vantage』で「電源およびパフォーマンス」を最高設定の「エクストリーム・パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPU(APU)としては、AMD Zen3世代のモバイルRyzen 7030Uシリーズが使われています。今回のテストで使ったのは、上位のRyzen 7 7730Uモデル。数字が大きくてなんだか強そうな(高性能っぽい)雰囲気ですが、同じZen3世代であるRyzen 7 5825Uのリフレッシュ版であるだけでスペックはほぼ同じです。
ベンチマーク結果を見ると、薄型ノートPC向けCPU搭載機としては優秀な結果が出ています。しかし、やはり旧世代のRyzen 7 5825Uとあまり変わりません。ベンチマークスコアがやや低く出ていますが、これはCPUの発熱を抑える熱対策のためでしょう。新CPUと言っても、実際とのところは旧CPUとほぼ同じです。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark 10 CPU Markスコア |
---|---|
Ryzen 7 6800U |
22327
|
Ryzen 7 5825U |
20302
|
Core i7-1260P |
20058
|
Yoga 6 Gen 8(Ryzen 7 7730U) |
20005
|
Core i5-1240P |
18571
|
Ryzen 5 5625U |
17145
|
Core i7-1255U |
17176
|
Core i5-1235U |
13808
|
Ryzen 3 7330U |
11818
|
Core i3-1215U |
11681
|
Ryzen 5 7520U |
10124
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 6800U |
10183
|
Ryzen 7 5825U |
9740
|
Yoga 6 Gen 8(Ryzen 7 7730U) |
9293
|
Core i7-1260P |
9254
|
Core i5-1240P |
8928
|
Ryzen 5 5625U |
8376
|
Core i7-1255U |
7819
|
Core i5-1235U |
7664
|
Core i3-1215U |
6216
|
Ryzen 3 7330U |
5108
|
Ryzen 5 7520U |
5029
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス周りの処理には、CPU内蔵のグラフィックス機能が使われます。モバイルRyzen 7030Uシリーズでは従来の「Vega」アーキテクチャがそのまま使われており、性能的にはやはり旧世代のモバイルRyzen 5000シリーズと変わりません。しかしYoga 6 Gen 8では高速なメモリーが使われていることから、ベンチマークのスコアはやや向上しているようです。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Ryzen 7 6800U) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4) |
1528
|
Yoga 6 Gen 8(Ryzen 7 7730U) |
1332
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4) |
1302
|
Radeon (Ryzen 7 5825U) |
1204
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
テストの結果は非常に優秀です。GPU非搭載のスリムノートPCとしては、いまのところかなり高性能と言っていいでしょう。大作ゲームや高度な動画編集には向きませんが、一般的な作業であれば快適にこなせるはずです。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
11153
9984
9409
10089
10647
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
9755
9266
6968
7094
6968
6759 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
6401
5987
5525
4889
5997
6342 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶IdeaPad Slim 570 | Ryzen 5 5625U / 8GB / Radeon |
---|---|
▶ThinkPad E14 Gen4 | Core i5-1235U / 8GB / UHD |
▶HP ProBook 450 G9 | Core i3-1215 / 8GB / UHD |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は約21.7時間とされています。しかしこれはバッテリーの消費量をグッと抑えた場合の結果。パフォーマンスも低下する可能性があります。公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこでビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から8時間35分でバッテリー残量が61%減りました。今回は検証時間の都合で最後まで計測できなかったのですが、このペースで進むと13時間38分でバッテリー残量が3%に達し休止状態へ移行するはずです。
あくまで予測値で実際の結果とは異なると思いますが、個人的には12時間を超えれば十分過ぎるほどと思っています。ただバッテリー駆動時にはパフォーマンスが低下している可能性があるので注意してください。また電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びるかもしれません。
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約11.2時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 13時間38分(予測値) |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
Ryzen 7モデルがおすすめ
コンパクトかつパワフルで、とても使い勝手のいいノートPCです。モバイル向けとしてはやや厚くて重いのですが、画面が回転する2-in-1タイプは一般的なクラムシェルタイプ(非回転タイプ)よりも頑丈に作らないといけないため、ある程度の厚さと重さは仕方がありません。そのあたりを考慮すれば、納得できる範囲です。個人的にはキーボードがやや窮屈でしたが、指の動きを意識すれば&慣れれば普通に使えるでしょう。
2023年4月上旬時点での価格は、Ryzen 5 / 8GBメモリー / 256GB SSDモデルが10万円台半ば、Ryzen 7 / 16GBメモリー / 512GB SSDモデルがほぼ12万円です(売り切れの場合があります)。性能と価格差を考えれば、Ryzen 5モデルは割高。選ぶならRyzen 7モデルをおすすめします。
ただモバイルRyzen 5000シリーズ搭載の同クラス製品とCPU性能があまり変わらないのに、値段が1~1.5万円程度高い点がやや気になります。新製品だから仕方がないとは言え、その点においてコスパが高いとは言いづらい状況です。
今後の状況は不明ですが、2023年前半で考えるならRyzen 7モデルは10~11万円あたりを目安に考えるといいでしょう。10万円を切るなら、即買い推奨です。
Yoga 6 Gen 8 13.3型(AMD)
*
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