レノボのIdeaCentre 550iは、コンパクトなミニタワー型のデスクトップPCです。価格はPentium搭載の最安モデルで3万円台からとリーズナブル。Core i5+8GBメモリーの構成でも5万0490円です。ただし安いモデルにはSSDが使われていないので、自分で増設できる人におすすめします。
この記事では筆者が購入した実機を使って、本体の外観や機能、実際の性能についてレビューします。購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
※2021年1月21日時点
IdeaCentre 550iのスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | ・Pentium Gold G6400 ・Core i3-10100 ・Core i5-10400 ・Core i7-10700 |
メモリー | ・4GB ・8GB ※スロット2基、DDR4 2933(PC4-23400)、最大64GB |
ストレージ | ・1TB HDD ・256GB SSD + 1TB HDD ・512GB SSD + 2TB HDD |
グラフィックス | ・UHD 610(Pentium) ・UHD 630(Core i3/i5) ・Radeon RX 550X(Core i7) |
電源 | ・260W ・380W |
サイズ | 幅145mm 奥行き285mm 高さ340mm |
重量 | 約5.4kg |
※2021年1月21日時点。構成は変更される場合があります
フォームファクター | ※独自仕様 |
---|---|
SATAポート | 3 |
M.2スロット | 2 (Wi-Fi用、ストレージ用) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチ |
ドライブベイ | 3.5インチ×1 |
拡張スロット | PCI Express x16 PCI Express x1 |
有線LAN | 1000Mbps |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | 5.0 |
USB3.1 | - |
USB3.0 | 2(前面) |
USB2.0 | 4(背面) |
USB Type-C | 1(USB3.0) |
Thunderbolt 3 | - |
メモリーカード | SD |
HDMI | 1 |
VGA (D-sub15) | 1 |
DisplayPort | 1(Core i7) |
DVI | - |
シリアルポート | - |
PS/2 | - |
付属品 | 電源アダプターなど |
オフィス | ※付属モデルあり |
本体の外観
サイズについて
IdeaCentre 550iは、デスクトップPCのなかでは標準的なサイズの「ミニタワー型」に分類されます。一般的なミニタワー型と比べて本体が小さく、設置に広い場所は必要ありません。またデスクトップPCは本体カラーがブラックの場合が多いのですが、IdeaCentre 550iはグレーでスタイリッシュな印象です。
デスクトップの主な分類
ミドルタワー型 | ミニタワー型 | スリム型 | コンパクト型 |
機能:◎ 拡張性:◎ 省スペース性:× 冷却性能:◎ |
機能:◎ 拡張性:○ 省スペース性:△ 冷却性能:○ |
機能:○ 拡張性:△ 省スペース性:○ 冷却性能:△ |
機能:△ 拡張性:× 省スペース性:◎ 冷却性能:△ |
インターフェースについて
周辺機器接続用のインターフェース(端子類)は多くはありませんが、十分な構成です。しかし気になるのは、転送速度の速いUSB3.0が前面にしか用意されていない点。外付けストレージを常時接続する場合、前面側に繋ぎっぱなしにするとケーブルの取り回しが不便に感じる可能性があります。
前面のインターフェース
- ① 電源ボタン
- ② ヘッドセット端子
- ③ USB3.0 Type-C
- ④ USB3.0
- ⑤ SDカードスロット
背面のインターフェース ※Core i5モデル
- ① オーディオ端子
- ② HDMI
- ③ VGA(D-sub15ピン)
- ④ USB2.0
- ⑤ 有線LAN
分解方法とパーツ交換について
内部へのアクセス方法
側面のパネルを外すと、内部のメンテナンスやパーツ交換などが行なえます。内部のフレームなどを取り外す必要がありますが、それほど難しくはありません。ただし誤ってケーブルを引きちぎったり、静電気でパーツを壊してしまわないよう注意してください。
各部のパーツ
拡張スロットについて
IdeaCentre 550iには、PCI Express x16とPCI Express x1の拡張スロットが用意されています。サイズ的には1~2スロット占有で、長さ20cm程度の拡張ボードなら問題なくセットできるでしょう。21cm以上だと、ケーブルの配線を変更する必要がありそうです。380W電源には補助電源用の8ピン端子が用意されているので、GeForce GTX 1650 SUPERまでなら利用できる可能性があります(試したわけではありません)。
拡張スロットの構成
- (上) PCI Express x16
- (下) PCI Express x1
IdeaCentre 550iのベンチマーク結果
試用機のスペック
型番 | 90NA004PJP |
---|---|
CPU | Core i5-10400 |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 1TB HDD |
グラフィックス | UHD 630 |
※ベンチマーク結果はパーツ構成やタイミング、環境、個体差などの要因で大きく変わることがあります
ストレージ性能
ストレージはCore i7モデルでSSD + HDD、そのほかのモデルで1TB HDDが使われています。Core i5+HDDの構成でアクセス速度を計測したところ、HDDとしては標準的な結果でした。ただCPUがそこそこ高性能でメモリーが8GBあるにも関わらず、全体的に動きがもっさりとしています。HDDのアクセス速度の遅さが、システム全体に影響を及ぼしていると考えていいでしょう。ストレスなく快適に利用するなら、SSDは必須です。
CPU性能
CPUはPentiumおよび第10世代のCoreプロセッサーです。Core i5-10400搭載のテスト機でCPUベンチマークテストを行なったとこと、中上位クラスの結果が出ました。PC全体で見れば、なかなか優秀です。Core i7-10700なら、さらに高いパフォーマンスを期待できるでしょう。ただ冷却パーツは必要最低限の構成ですので、Core i7以上の高いパフォーマンスを求めるなら冷却性能が高いワンランク上の機種を選んだほうがいいかもしれません。
PentiumとCore i3については未検証のため性能は不明ですが、普段使いや軽めの作業であれば問題なく使えるはずです。体感的にはCPU性能よりも、ストレージ性能のほうが強く影響すると思われます。
CPUの性能比較
CPU | CINEBENCH R20 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 4700G |
4953
|
Core i7-10700 |
4177
|
Ryzen 7 PRO 4750GE |
4093
|
Core i7-9700K |
3397
|
Ryzen 5 PRO 4650GE |
3291
|
Core i7-9700 |
3189
|
IdeaCentre 550i (Core i5-10400) |
3182
|
Core i5-10400 |
3176
|
Ryzen 5 3500 |
2594
|
Core i5-9400 |
2357
|
Ryzen 5 3400G |
1884
|
Core i3-9100 |
1592
|
Ryzen 3 3200G |
1462
|
Celeron G4930 |
535
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵グラフィックスが使われます。3Dベンチマークテストの結果はCore i5としては順当ではあるものの、内蔵グラフィックスとしてはかなり低めです。ゲームやクリエイティブワークでの効果は考えないほうがいいでしょう。Radeon RX550X搭載モデルもありますが、性能的にはGT 1030と同クラスのはずです。
GPUの性能比較
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8893
|
Radeon (Ryzen 7) |
4237
|
GT 1030 |
3509
|
Radeon (Ryzen 5) |
2441
|
RX Vega 11 (Ryzen 5) |
2219
|
Vega 8 (Ryzen 3) |
2178
|
UHD 630 (Core i7) |
1298
|
IdeaCentre 550i (UHD630) |
1175
|
UHD 630 (Core i5) |
1102
|
UHD 610 |
636
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCとしての汎用性
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) |
4100
7096 |
Productivity (ビジネス利用) |
4500
6308 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) |
3450
3266 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
PCMark 10は、PCを使った各種作業の快適さを計測するベンチマークテストです。IdeaCentre 550iのCore i5モデルでは、コンテンツ制作(3D制作や動画編集など)のテストだけ快適に使える目安の目標値をぎりぎりでクリアーできませんでした。グラボ(Radeon RX550X)付きモデルやCore i7モデルであれば、すべてのテストをクリアーできるでしょう。PentiumとCore i3モデルについては、一般利用(Web閲覧やビデオ会議など)とビジネス利用(表計算とワープロ)はクリアーできるはずです。
ゲーム系ベンチマーク結果
グラボなしのCore i5モデルでゲーム系ベンチマークテストを試したところ、ごくごく軽いドラクエ10で快適に遊べるとの評価でした(フルHD時)。FF14以上の重いゲームとなると、解像度や画質をグッと下げても厳しそうです。Radeon RX 550X搭載モデルなら多少は改善されるかもしれませんが、重いゲームを快適に楽しめるほどではありません。
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 441 / 動作困難 |
標準品質 | 695 / 動作困難 |
軽量品質 | 864 / 動作困難 |
※1920×1080ドットの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:漆黒のヴィランズ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | ※未計測 |
高品質 | 1288 / 7.9 FPS |
標準品質 | 2396 / 15.5 FPS |
※1920×1080ドットの結果。平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
ドラクエXベンチ (超軽い / DX9)
画質 | スコア / 評価 |
最高品質 | 5837 / 快適 |
標準品質 | 7700 / とても快適 |
低品質 | 9503 / とても快適 |
※1920×1080ドットの結果
価格について
IdeaCentre 550iには、パーツ構成が異なる複数のモデルが用意されています。それぞれのスペックと価格は以下の表のとおりです。
■オフィスなしモデルの価格
スペック | 税込価格 |
---|---|
Pentium / 4GB / 1TB HDD | 3万6353円 |
Core i3 / 8GB / 1TB HDD | 4万6218円 |
Core i5 / 8GB / 1TB HDD | 5万0490円 |
Core i5 / 8GB / 1TB HDD / RX550X | 6万3690円 |
Core i7 / 8GB / 512GB SSD+1TB HDD / RX550X | 8万8526円 |
※2021年1月21日時点
■Office Home & Business 2019付きモデルの価格
スペック | 税込価格 |
---|---|
Pentium / 4GB / 1TB HDD | 5万7292円 |
Core i3 / 8GB / 1TB HDD | 6万4009円 |
Core i5 / 8GB / 1TB HDD | 6万9379円 |
Core i5 / 8GB / 1TB HDD / RX550X | 8万3635円 |
Core i7 / 8GB / 512GB SSD+1TB HDD / RX550X | 10万4562円 |
※2021年1月21日時点
前述のとおり、ストレスなく使うにはSSDが必須です。Core i7モデルならそのままでも快適に使えますが、Core i5以下のモデルならぜひSSDを追加してください。安いものなら256GBで5000円前後、512GBで7000~8000円程度で追加できます。HDD→SSDへのクローン作業またはWindows 10のクリーンインストールが必要ですが、劇的な効果を感じられるはずです。
グラボについては、GTX 1650クラスを2万円以内で入手できるならアリではないでしょうか。Core i5モデルをベースに256GB SSDとGTX 1650(1万8000円前後)を追加すれば、合計7万円台前半でおさまります。それ以上の値段だとエントリー向けのゲーミングPCのほうが安い場合があるので、極端な改造は考えないほうがいいと思います。
Core i5モデルのパーツ増設がおすすめ
よかった点
最安モデルで3万円台からの安さは魅力です。でも個人的にイチオシなのはCore i5モデル。自分でSSDを追加すれば、とても快適に利用できるでしょう。またCore i5以上のモデルは電源が380Wである点もポイント。エントリークラスのグラボなら利用可能です。グラフィックス機能を強化すれば、動画編集や画像加工などにも使えます。拡張性が高いわけではありませんが、自分で改造するならおもしろい機種です。
気になる点
メンテナンスやパーツ交換にやや手間がかかる点が残念です。また増設用のSATAケーブルを省略するなどのコスト削減策が施されており、もしかすると気が付かない部分でなにかが省略されているかもしれません。
※2021年1月21日時点
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