レノボのLegion(レギオン) Y520 Towerは、ミニタワー型のゲーミングデスクトップPCです。最大の魅力は、高スペックなのに価格が安い点。同クラスの他社製品に比べて安いにも関わらず、PCIe接続SSDや大容量メモリーなどワンランク上のパーツを採用しています。
Legion Y520 Towerの特徴
価格が安い
Core i5+1050 Ti搭載の下位モデルは9万円台から。上位モデルはGTX 1060(3GB)や16GBメモリー搭載で13万円前後と、他社製品よりも圧倒的にお得!
第8世代CPU搭載
CPUには高性能な第8世代のCore i5 / i7を搭載。ゲームでの高いパフォーマンスを期待できます(この記事では第7世代CPUをレビューしています)。
内部が広くメンテしやすい
内部の空きスペースが大きくケーブルもキレイにまとまっているので、メンテナンスが簡単です。冷却性能が高い点もポイント。
今回はメーカーからお借りした実機を使って、Legion Y520 Tower(第7世代モデル)の本体デザインや性能などをレビューします。
この記事の目次
※通常の検索では値段が高いページが表示されるため、上記リンクのご利用をおすすめします
Legion Y520 Towerのスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i5-8400 / Core i7-8700 |
メモリー | 8 / 16GB(最大16GB) |
ストレージ | 128 / 256GB SSD(PCIe) |
グラフィックス | GeForce GTX 1050 Ti(4GB) / 1060(3GB) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
通信機能 | 1000BASE-T対応有線LAN、IEEE802.11a/b/g/n/ac+Bluetooth 4.1(Core i7モデル) |
インターフェース | USB3.0×6(前面×2+背面×4)、USB2.0×2(背面)、DisplayPort、HDMI、DVI、有線LAN、ヘッドホン出力/マイク入力、オーディオ端子類 |
拡張スロット | PCI Express x16 ×1、PCI Express x1 ×1、M.2×1 |
ドライブベイ | 5インチ×1、3.5インチ シャドウ×1 |
電源 | 450W(80PLUS BRONZE) |
サイズ/重量 | 幅184×奥行き468×高さ402mm/約8.71kg |
※2018年5月9日時点。構成や価格は変更される場合があります
なおLegion Y520 Towerには、キーボードとマウスが付属しません。必要な場合は注文時に追加購入するか、別途用意してください。
ハイスペックなのに安い!
Legion Y520 Towerには、Core i5+GTX 1050 Ti搭載モデルとCore i7+GTX 1060搭載モデルの2種類が用意されています。安いのはCore i5モデルですが、性能が高いのはCore i7モデル。筆者としてはゲームをより快適に楽しめるCore i7モデルがおすすめです。
ラインナップ
90JB0009JM(Core i5) | |
---|---|
税込9万6876円 | |
90JB000AJM(Core i7) | |
税込13万0356円 |
※2018年5月9日時点。構成や価格は変更される場合があります
国内大手BTOメーカーの同クラスモデルと比較すると、スペックが高いのに値段が安いことがわかります。
他社製品との比較(Core i7+GTX1060)
Legion Y520 Tower | 国内BTOメーカー A社 |
国内BTOメーカー B社 |
|
---|---|---|---|
CPU | Core i7-8700 | Core i7-8700 | Core i7-8700 |
メモリー | 16GB | 8GB | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe) 1TB HDD |
320GB SSD(SATA) 1TB HDD |
500GB HDD |
グラフィックス | GTX 1060(3GB) | GTX 1060(3GB) | GTX 1060(3GB) |
税込価格 | 13万0356円 | 13万7138円 | 13万8024円 |
※2018年5月9日時点
他社製品との比較(Core i5+GTX1050Ti)
Legion Y520 Tower | 国内BTOメーカー A社 |
国内BTOメーカー B社 |
|
---|---|---|---|
CPU | Core i5-8400 | Core i5-8500 | Core i5-8400 |
メモリー | 8GB | 8GB | 8GB |
ストレージ | 128GB SSD(PCIe) 1TB HDD |
1TB HDD | 1TB HDD |
グラフィックス | GTX 1050 Ti | GTX 1050 Ti | GTX 1050 |
税込価格 | 9万6876円 | 10万4738円 | 10万5624円 |
※2018年5月9日時点
ただしLegion Y520 Towerには拡張性が低い欠点があり、またBTOメーカーのモデルは各パーツをリーズナブルな価格でアップグレードできるというメリットがあるため、一概にどちらが優れているとは言えません。ただ価格面ではLegion Y520 Towerは相当有利です。
Legion Y720 Towerとの比較
レノボからは同系列のゲーミングPCとして、Lenovo Legion Y720 Towerが発売されています。こちらは専用グラフィックス機能がGeForce GTX 1060(6GB)/1070(8GB)と高性能なパーツに対応しているほか、拡張スロットや端子類も豊富。CPUはまだ第7世代ですが、ゲーミング性能はこちらのほうが上です。
Legion Y520 TowerとY720 Towerの比較
Legion Y520 Tower |
Legion Y720 Tower |
|
---|---|---|
CPU | 第8世代 Core i5/i7 | 第7世代 Core i5/i7 |
グラフィックス | GTX 1050 Ti GTX 1060(3GB) |
GTX 1060(6GB) GTX 1070 |
マザーボード | Micro ATX | ATX |
拡張性 | 低い | 高い |
Y520 TowerとY720 Towerの性能差については、ベンチマーク結果をご覧ください。
本体の外観と内部
ミニタワー型のスタンダードPC
Legion Y520 Towerは、「ミニタワー型」と呼ばれるスタンダードなデスクトップPCです。本体サイズがやや大きいため、それなりの設置スペースが必要となります。
デスクトップPCの分類
ミドルタワー型 | ミニタワー型 | スリム型 | コンパクト型 |
拡張性:◎ 省スペース性:× 冷却性能:◎ |
拡張性:○ 省スペース性:△ 冷却性能:○ |
拡張性:△ 省スペース性:○ 冷却性能:△ |
拡張性:× 省スペース性:◎ 冷却性能:△ |
本体デザインはゲーミングPCらしさを残しながらも、比較的落ち着いた印象です。
前面上部のインターフェース
- ① USB3.0
- ② ヘッドホン出力/マイク入力
- ③ 電源ボタン
背面I/Oパネルのインターフェース
- ① USB3.0
- ② USB2.0
- ③ USB3.0
- ④ 1000BASE-T対応有線LAN
- ⑤ オーディオ端子類
- ⑥ DisplayPort
- ⑦ HDMI
- ⑧ DVI
拡張性を省いた割り切った作り
本体はミニタワー型なのですが、拡張性は高くありません。スロットや端子類が少なく、パーツの交換は可能でも追加は難しいでしょう。この割り切った作りが、安さの理由なのかもしれません。
スペック上ではドライブベイが5インチ×1、3.5インチ×1とありますが、内部には3.5インチベイがふたつありました。しかしSATAポートが2基しかないため、実質的にドライブベイは5インチを含めてふたつしか使えないというわけですね。
消費電力と駆動音、CPU温度について
今回の検証では、前世代のCore i7-7700を搭載したモデルを使っています。現在は第8世代のCore i7-8700/Core i5-8400に変わっているため、検証結果が変わる可能性があることをあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-7700 |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe) |
グラフィックス | GeForce GTX 1060(3GB) |
消費電力について
作業中の消費電力はかなり高めです。これは高性能なCore i7-7700と、dGPU(専用グラフィックス機能)としてGeForce GTX 1060を搭載しているため。高いパフォーマンスを実現するには仕方がありません。
ただ待機中や低負荷時の電力が、同カテゴリーの他機種に比べて大きい点がちょっと気になります。
1分間の平均消費電力
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
56.4W | 58.8W | 136.8W | 177W |
※消費電力の計測方法はコチラ
作業中の駆動音について
駆動音(ファンの回転音や排気音など)はゲーミングPCとしては比較的静かです。空冷ファンが小型だったのでちょっと不安でしたが、実際には気になるほどではありませんでした。本体内部の空きスペースが大きいため、熱がこもりにくいのかもしれません。
駆動音の計測結果
電源オフ | 36.8dBA | - |
---|---|---|
待機中 | 41.7dBA | ファンの回転音がわずかに聞こえる |
動画視聴 | 41.6dBA | 同上 |
動画変換 | 48.3dBA | 回転音がはっきりと聞こえるが、うるさいほどではない |
3Dゲーム | 45.8dBA | 同上 |
※駆動音の計測方法はコチラ
CPU温度について
CPUの熱を計測したところ、動画変換時に最大で81度にまで達しました。高温ではありますが、ほかのCore i7-7700搭載機よりも熱は低め。やはりLegion Y520 Towerは冷却性能が高いようです。
CPUの最高温度
待機中 | 動画視聴 | 動画変換 | 3Dゲーム |
---|---|---|---|
42℃ | 52℃ | 81℃ | 69℃ |
※本体温度の計測方法はコチラ
起動について
起動時間(電源ボタンを押してからデスクトップが表示されるまでの時間)は、平均で14.52秒でした。体感的にも起動は速く、使いたいときにすぐ使い始められます。
起動時間の計測結果(手動による計測)
1回目 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|
18.6秒 | 13.7秒 | 13.3秒 | 13.4秒 | 13.6秒 | 14.52秒 |
Legion Y520 Towerベンチマーク結果
くり返しになりますが、今回の検証では前世代のCore i7-7700を搭載したモデルを使っています。現在は第8世代のCore i7-8700/Core i5-8400に変わっているため、検証結果が変わる可能性があることをあらかじめご了承ください。
試用機のスペック
OS | Windows 10 Home |
---|---|
CPU | Core i7-7700 |
メモリー | 8GB |
ストレージ | 256GB SSD(PCIe) |
グラフィックス | GeForce GTX 1060(3GB) |
ストレージ性能
ストレージとしては、256GB SSDと1TB HDDのふたつが使われています。SSDはPCIe接続で、シーケンシャルリードが3130MB/秒と超高速。HDDも標準よりは高速なタイプです。
CPU性能
試用機では、Core i7-7700搭載機としては標準的な結果が出ています。とは言え、Core i5やCore i3などよりは高性能です。PC全体で見ても、上位グループに入るでしょう。現在は第8世代のCore i5/i7に変更されていますので、さらに高いパフォーマンスを期待できます。
CPUの性能比較
CPU | CINEBENCH R15のCPUスコア |
---|---|
Core i7-8700 |
|
Legion Y520 Tower(Core i7-7700) |
|
Legion Y720 Tower(Core i7-7700) |
|
Core i7-7700 |
|
※ほかのCPUの結果は当サイト計測の平均値
CPUの性能比較
CPU | PassMark PerformanceTestのCPU Markスコア |
---|---|
Core i7-8700 |
|
Legion Y520 Tower(Core i7-7700) |
|
Legion Y720 Tower(Core i7-7700) |
|
Core i7-7700 |
|
※ほかのCPUの結果は当サイト計測の平均値
3D性能
グラフィックス機能として使われるGeForce GTX 1060(3GB)は、ミドルレンジ(中級向け)のdGPUです。性能的にはビデオメモリーの多いGeForce GTX 1060(6GB)やGTX 1070のほうが上ですが、中規模クラスのゲームをフルHDの高画質で楽しむには十分な性能を持っています。
FF14クラスのタイトルであればフルHDの最高画質でも快適に楽しめますが、4K解像度では少々厳しいようです。FF15や海外の大作ゲームなどグラフィックス重視のタイトルについては、解像度や画質を変える必要があるかもしれません。
ゲーム系ベンチマーク結果
FF15ベンチ (DX11) ※重いゲームの目安 | ||
---|---|---|
標準品質 4K | 標準品質 フルHD | |
2036(重い) | 5189(やや快適) | |
FF14:紅蓮のリベレーター(DX11) ※中規模クラスの目安 | ||
最高品質 4K | 最高品質 フルHD | |
3423(やや快適)※22.603 FPS | 11391(非常に快適)※76.647 FPS | |
ドラゴンクエストX ※軽めのゲームの目安 | ||
最高品質 4K | 最高品質 フルHD | |
11914(すごく快適) | 20302(すごく快適) |
PUBGこと「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」を実際にプレーしてFPSを計測しました。Sosnovka Military Baseにあるモニュメントの周囲を1分間走り回ったときのFPSを3回計測し、その平均値を割り出しています。FPS計測結果を見る限りでは、フルHDの高画質でも快適に遊べるでしょう。
PUBGのFPS計測結果(1920×1080ドット)
プリセット | 平均 | 最小 | 最大 |
---|---|---|---|
高 | 86.4 FPS | 72 FPS | 96.5 FPS |
VR性能
VR性能について計測したところ、Oculus RiftやHTC ViveなどのVRコンテンツは快適に動作するとの評価が出ています。
パーツを追加しないなら非常にお買い得
デスクトップPCのメリットのひとつに、パーツを追加することでパワーアップできる点が挙げられます。しかしLegion Y520 Towerは拡張スロットやポート類が少なく、パーツの交換は可能でもパーツの追加はほぼ無理だと考えたほうがいいでしょう。
ただし元からスペックが充実しているため、人によってはパーツ交換が必要ないかもしれません。同クラスの他社製品より安いことを考えれば、むしろお得です。PCゲームの初心者から中級者、あるいは高性能なゲーミングPCを安く入手したい人におすすめします。
Legion Y520 Towerのまとめ
- 高スペックなのに安い
- 冷却性能が高い
- 拡張性が低い
※記事中の価格や構成は、記事執筆時のものです。予告なく変更される場合がありますので、あらかじめご了承ください。