ミニPCレビュー

GMKtec NucBox M6レビュー:Ryzen 5 6600H搭載なのに4万円台で高性能&高機能なミニPC

4.0
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GMKtec NucBox M6

※検証機は筆者が購入しました

GMKtecの「NucBox M6」は、Ryzen 5 6600H / 16GBメモリー / 512GB SSD / Windows  11 Pro搭載のミニPCです。アマゾンや楽天では、4万4000円前後で販売されています(記事執筆時点)。

 

NucBox M6

NucBox M6

主な特徴

発売 2024年 価格 4.4~5万円
OS Windows 11 Pro ライセンス OEM版(問題なし)
CPU Ryzen 5 6600H(Zen3+) メモリースロット 2
グラフィックス Radeon 660M(RDNA2) SSD増設 可能 (M.2 Type-2280)
メモリー DDR5-4800 16GB(8GB×2) Type-C USB4×1(PD/DP)
ストレージ 512GB M.2 PCIe 3.0 SSD 電力制限(標準時) PBP:50W / MTP:54W
有線LAN 2.5Gb×2 騒音 大きい

 

4万円台前半のPCとしては、なかなか高性能&高機能です。コスパは非常に高いと言っていいでしょう。グラフィックス性能がちょっと弱いのでゲームや動画編集などには向きませんが、普段使いやビジネス作業には十分すぎるほど。

 

ただし、駆動音が大きく聞こえます。常にうるさいわけではないので、人によってはガマンできるレベルかもしれません。設定や配置などを工夫すれば多少は抑えられるものの、「静かなPCではない」という点は意識してください。

 

この記事では筆者が購入した実機を使って、外観や性能、実際の使い心地などをレビューします。

おことわり

このレビュー記事では、実機をを10日間程度試用した上で作成しています。長期にわたって試用した際の耐久性については検証していません。あらかじめご了承ください。

ミニPCに関してのご注意

ミニPCは中国のメーカーによるものが中心で、品質や信頼性に関しては大手メーカー製ほどではない場合があります。あくまでもPCマニア向けのオモチャとして考えてください。長期間安心して使いたいなら、大手メーカー製品をおすすめします。

スペック

発売日 2023年7月
OS Windows 11 Pro
CPU Ryzen 5 6600H
メモリー DDR5-4800 16GB ※8GB×2、最大96GB
SSD 512GB NVMe SSD
グラフィックス Radeon 660M(CPU内蔵、RDNA2)
通信 Wi-Fi 6、Bluetooth5.2、有線LAN(2.5Gb)×2
インターフェース USB4(PD/DP対応)×1、USB3.2 Gen2 Type-A×3、USB2.0×1、HDMI(4K@60Hz)×1、DisplayPort(4K@60Hz)×1、有線LAN×2、ヘッドホン端子
ドライブベイ なし
スロット M.2スロット×3(ストレージ用×2、Wi-Fi用×1)
付属品 VESAマウンタ、HDMIケーブル、電源アダプターなど
サイズ / 重量 幅128.8×奥行き127×高さ47.8mm / 約528g

Windowsのラインセンス

OSには、Windows 11 Proが使われています。ライセンスは通常のOEMライセンスです。ミニPCでは個人利用不可のボリュームライセンス(VL)が使われていることがありますが、NucBox M6のライセンスは問題ありません。

NucBox M6

Windows 11 Proの正規のOEM版が使われています

技適マークについて

無線通信機器に必要な技適マークは、本体底面部にシールとして貼られています。

NucBox M6

本体底面部に技適マークを確認

 

上記番号は「総務省電波利用ホームページ」の検索結果で「M6」のものとして登録されているのを確認しました。

関連リンク

総務省電波利用ホームページ

PSEマークについて

電源アダプターには「電気用品安全法」の基準に適合していることを表わすPSEマークがプリントされています。届出事業者名は「株式会社神州」で、国内での届け出を別の業者が担当したのかもしれません。

NucBox M6

電源アダプターのPSEマーク

システムのフルスキャン結果

検証前にWindows Defenderのフルスキャンを実施し、検知可能な脅威が存在しないことを確認しています。

NucBox M6

Windows Defenderのフルスキャン結果

価格

NucBox M6の価格は4万5000円前後(記事執筆時)です。この金額でも十分お得ですが、イベントやキャンペーンによってはクーポンの割引額が増えたり、ポイント還元率がアップすることがあります。

価格

販売ショップ 価格
アマゾン 4万3880円 ※クーポン利用時
楽天 公式ショップ 4万4910円 ※クーポン利用時

※2024年10月9日時点

パッケージ

NucBox M6

NucBox M6のパッケージ

NucBox M6

パッケージの中身

NucBox M6

マニュアルは日本語にも対応

NucBox M6

付属のHDMIケーブル

NucBox M6

VESA対応ディスプレイの背面に取り付けるためのブラケット

NucBox M6

ブラケットを本体に取り付けるには、底面部のゴム足を外す必要があります

NucBox M6

電源アダプターは120Wの丸口タイプ

NucBox M6

電源アダプターの重さは実測で522g。けっこう大きめです

外観

NucBox M6

NucBox M6(右)のサイズ感。ミニPCでは一般的なサイズ(左)と比べてひと回り大きめです

NucBox M6

厚さは標準的な範囲

NucBox M6

そこそこ大きめですが、ギリギリ手のひらサイズ

NucBox M6

本体の大きさ

NucBox M6

スマホ(Pixel 9 Pro XL)とのサイズ比較

NucBox M6

天板部分にはロゴ。本体カラーはわずかに青みがかかったグレーです

NucBox M6

底面部。本体は樹脂(プラスチック)製で、実際に手に取るとややチープな印象

NucBox M6

重さは実測で526g

インターフェース構成

NucBox M6

前面にはリセット穴と電源ボタン、ヘッドホン端子、Type-C(映像出力対応)、USB3.2 Gen1×2

NucBox M6

背面にはUSB2.0×1、USB3.2×1、セキュリティースロット(ケンジントンロック)、DisplayPort、HDMI、有線LAN×2、電源コネクター

NucBox M6

左右側面に端子類はなく、エアフロー用の通気口が用意されています

USB PD給電について

前面のUSB4(USB Type-C)はデータ通信だけでなく、映像出力とUSB PDによる給電にも対応しています。4万円台前半の機種としては、なかなかの高評価ポイントです。ただし端子類が本体側にたくさんあるため、Type-Cハブなどを使った周辺機器接続用には使わないかもしれません。

USB PDによる給電は、100Wの充電器で動作を確認しました。CPUベンチマークも、問題なく完走しています。電力を確認できるType-Cケーブルを使ったところ、高負荷時は70~71Wで給電されていたので、そのぐらいは必要なのかもしれません。ただし65W充電器では、Windows 11が起動しませんでした。

 

NucBox M6

100W出力対応充電器での動作を確認。65W充電器ではWindows 11が起動しませんでした

eGPUの利用について

USB4にGPUボックスをつないだeGPU用途では利用できました(TB3で接続)。機器の組み合わせ(ケーブルを含む)によっては動作が不安定になることがありますが、今回の検証では特に不具合はありませんでした。「3DMark Steel Nomad」のストレステスト(Direct X12、4K、レイトレなし、20分間)も完走しています。

ただGPUボックスの値段が高い(4~5万円程度)上に最近は種類が減ってきているので、すでにもっている人ならアリですが、わざわざ買い足すようなものでもないでしょう。またGPUボックスを利用するとグラボの性能が2~3割程度低下する点にも注意が必要です。

GMKtec NucBox M6

USB4にRTX 2070 SUPERを挿したGPUボックス「Razer Core X Chroma」(TB3版)を接続

GMKtec NucBox M6

ドライバーのインストールなどを行ない、システムにグラボが認識されました

GMKtec NucBox M6

「3DMark」の「Time Spy」のスコアは「8760」。eGPUなし時と比べてスコアは5.5倍程度アップしていますが、RTX 2070 SUPERの平均値(11,000あたり)よりも2割程度スコアが低く出ています

分解・パーツ交換について

本体の分解方法

NucBox M6

本体内部にアクセスするには、まず天板部分をこじ開けて外します

NucBox M6

次に4本のネジを取り外します

NucBox M6

カバーを開いた状態。ケーブルを引きちぎらないよう注意しましょう

NucBox M6

マザーボード全体。これ以上はケースの突起が引っかかって外せませんでした

メモリーの増設方法

NucBox M6

メモリースロットは2基。規格はDDR5-4800で、最大容量は96GB(48GB×2)

NucBox M6

使われていたメモリー

SSDの増設・換装

NucBox M6

ストレージ用のM.2スロットは2基。規格はPCIe 3.0 x4のType-2280。奥側がプライマリー(メイン)で、手前側がセカンダリー(増設用)

NucBox M6

SSDにはヒートシンクが使われています

NucBox M6

使われていたSSDは、個人的には見たことがないメーカーの製品でした

Wi-Fiまわりなど

NucBox M6

Wi-FiカードはMediatekのMT7922A22M

メンテナンス性

NucBox M6

比較的本体内部にアクセスしやすい点は高評価ですが、CPUファンを取り出せない点は残念。内部にホコリが溜まった際には、通気口からエアダスターなどで吹き飛ばすことになりそうです

NucBox M6

内部カバーのファンは手軽に清掃可能です

NucBox M6

非常にコンパクトなファン

UEFI(BIOS)設定画面

NucBox M5 PlusでUEFI(BIOS)画面を開くには、起動直後にESCキーを連打します。Windows 11の詳細オプションからは開けなかったので、ご注意ください。

NucBox M6

なぜかWindows 11の設定から開く「トラブルシューティング」→「詳細オプション」からはUEFI(BIOS)画面を開けませんでした

NucBox M6

「Main」タブ

NucBox M6

「Advanced」タブ

NucBox M6

「Security」タブ

NucBox M6

「Boot」タブ

NucBox M6

「Save & Exit」タブ

CPUの電力設定

「Advanced」→「Power Mode Select」から、CPUの消費電力モードを選択できます。標準は「Balance」で、「Peformance」を選べばCPU性能を底上げすることが可能です。「Quiet」を選ぶと、駆動音を抑えられます。

NucBox M6

CPUの消費電力を選択可能

電力設定

項目名 概要 PBP / MTP
Quiet 性能を抑えることで駆動音を低減する 35W / 45W
Balance ※標準 標準のモード 50W / 54W
Performance もっとも高性能だが、駆動音も大きい 57W / 65W

※「PBP」……プロセッサ・ベース・パワー、「MTP」……マックス・ターボ・パワー

ベンチマーク結果

検証機のスペック

CPU Ryzen 5 6600H(Zen3+、6コア12スレッド、最大4.5GHz、TDP45W)
メモリー DDR5-4800 16GB(8GB×2)
ストレージ 512GB PCIe 3.0 SSD
グラフィックス Radeon 660M(RDNA2、CPU内蔵)

※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります

パフォーマンス設定について

ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「バランス」に設定した上で、UEFI(BIOS)設定から電力モードを「Balance」と「Performance」、「Quiet」に切り替えて実施しています。電源アダプターは接続した状態です。

ストレージ性能

NucBox M6で使われているストレージは、PCIe 3.0 x4接続の512GB SSDです。アクセス速度は同規格のSSDとしては標準的。格安ミニPCでよく使われるSATA接続のSSD(500MB/秒前後)より高速で、快適なレスポンスを期待できます。

NucBox M6

512GB SSDのアクセス速度

NucBox M6

SSDの詳細情報

CPU性能

CPUとしては、Zen3+世代のRyen 5 6600Hが使われています。2022年にリリースされた旧世代のノートPC向けCPUです。

CPU性能を計測する「CINEBENCH R23」の結果は以下のとおり。電力モードを変えるとスコアに差は出るものの、それほど大きな違いではありませんでした。

最近のミニPCと比較すると、ベンチマークスコアはミドルレンジ(中位)クラス相当です。ただこれより上の機種は値段が高く、だいたい6~10万円台あたり。NucBox M6が4万円台前半であることを考えれば、かなりの高コスパと言えるのではないでしょうか

 

最近のミニPCの性能比較

CPU CINEBENCH R23 Score
ThinkCentre M75q Gen5(Ryzen 7 PRO 8700GE)
S1810
M14957
GEEKOM AE7(Ryzen 9 7940HS)
S1781
M14483
MINISFORUM MS-01(Core i9-12900H)
S1720
M14156
MINISFORUM UM773 Lite(Ryzen 7 7735HS)
S1571
M12478
GEEKOM GT13 Pro(Core i9-13900H)
S1723
M11651
ThinkCentre M75q Gen2(Ryzen 7 PRO 5750GE)
S1499
M11278
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H) ※Performance
S1502
M10423
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H) ※Balance
S1504
M10281
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H) ※Quiet
S1499
M9396
GMKtec NucBox M5 Plus(Ryzen 7 5825U)
S1364
M6514
GMKtec NucBox M5 (Ryzen 7 5700U)
S1228
M6397
GMKtec NucBox G3(Intel N100)
S796
M2882

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

グラフィックス性能

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon 660Mが使われます。RDNA2アーキテクチャでそこそこ高性能な印象ですが、3Dベンチマークテストでは内蔵タイプとしてはやや低めの結果でした。Radeon系はRyzen 7だとけっこう高いスコアが出るのですが、スペックの劣るRyzen 5だとそれほど伸びない傾向にあります。

ちなみに電力モードを変えてテストを行ないましたが、結果はほとんど変わりませんでした。

ミニPCのグラフィックス性能

GPU 3DMark Time Spy Graphics
RTX 3050(ノートPC向け)平均値
4874
GTX 1650(ノートPC向け)平均値
3444
GEEKOM NUC AE7(Radeon 780M)
2940
ThinkCentre M75q Tiny Gen 5(Radeon 780M)
2456
MINISFORUM UM773 Lite(Radeon 680M)
2363
Minisforum MS-01(Iris Xe)
1779
GEEKOM GT13 Pro(Iris Xe)
1722
NucBox M6(Radeon 660M) ※Quiet
1562
NucBox M6(Radeon 660M) ※Performance
1559
NucBox M6(Radeon 660M) ※Balance
1559
NucBox M5 Plus(Radeon Vega)
1104
NiPoGi AK1PLUS N97(UHD)
459
Acemagic T8 Plus N100(UHD)
314

※スコアは当サイト計測値

PCを使った作業の快適さ

PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。

 

テスト結果の見方

テスト名 概要
Essentials
(一般利用)
ソフトの起動やWeb閲覧、ビデオ会議など一般的な作業を想定。CPUのシングルコア性能が強く影響する
Productivity
(ビジネス利用)
表計算とワープロにおいて、中規模クラスのデータを扱うテスト。CPUのマルチコア性能が影響しやすい
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
写真加工と3D製作、動画編集を扱うテスト。CPU性能とグラフィックス性能が強く影響する

 

電力モードを変えてテストを行なったところ、どのモードでもスコアはほとんど変わりませんでした。総合的に見ても非常に優れた結果で、普段使いやビジネス作業にはまったく問題ありません。コンテンツ制作面が多少弱いものの、6~10万円台の中高級機に迫るほどのスコアで、なかなか健闘していると言っていいでしょう。

 

PCMark 10ベンチマーク結果

テスト スコア
Essentials
(一般的な利用)
目標値:4100
Quiet10687
Balance10602
Performance10638
LarkBox7142
M5 Plus9832
M75q10256
UM77310783
GT13P10921
MS-0110849
M75q Gen510755
Productivity
(ビジネス利用)
目標値:4500
Quiet9262
Balance9256
Performance9254
LarkBox4879
M5 Plus8842
M75q9930
UM7739785
GT13P6840
MS-017023
M75q Gen510805
Digital Contents Creation
(コンテンツ制作)
目標値:3450
Quiet6785
Balance6910
Performance6974
LarkBox2515
M5 Plus4968
M75q5707
UM7738695
GT13P7429
MS-017978
M75q Gen58559

※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの

比較機のスペック(ミニPC)

LarkBox X 2023 Intel N100 / 12GB / UHD
GMKtec NucBox M5 Plus Ryzen 7 5825U / 16GB / Radeon
ThinkCentre M75q Gen2 Ryzen 7 PRO 5750GE / 32GB / Radeon
UM773 Lite Ryzen 7 7735HS / 16GB / Radeon 680M
GEEKOM GT13 Pro Core i9-13900H / 32GB / Iris Xe
MS-01 Core i9-12900H / 32GB / Iris Xe
ThinkCentre M75q Gen5 Ryzen 7 PRO 8700GE / 32GB / Radeon 780M

クリエイティブ性能

「UL Procyon」は、世界的にも利用者が多く「デファクトスタンダード」とも言えるアドビ製プロクリエイター向けソフトの快適さを計測します。「PCMark 10」と比べて、より高度で実践的なテストを行なう点が特徴です。

テスト結果の見方

テスト名 概要
Photo Editing 「Photoshop」と「Lightroom Classic」を利用した、写真の加工・出力に関する総合評価
Video Editing 「Premiere Pro」を使ったテストで、フルHD (H.264)および4K (H.265)動画の出力にかかった時間からスコアが算出される

 

検証機とそのほかのミニPCの結果は、以下のグラフのとおり。値段の高い機種と比べるとさすがに劣りますが、NucBox M6が4万円台前半であることを考慮すれば悪くありません。軽めの写真加工やごく小規模の動画編集であれば、問題なく利用できるはずです。

ちなみに電力モードを変えてテストを行なったところ、「Photo Editing」ではスコアにわずかな差が生じましたが、「Video Editing」ではほとんど差がありませんでした。

 

クリエイティブ性能の比較

CPU UL Procyon
ThinkCentre M75q Gen5
P5952
V8065
GEEKOM AE7
P5772
V7195
MINISFORUM MS-01
P5349
V7755
MINISFORUM UM773 Lite
※エラー
V7234
GMKtec NucBox M6 ※Performance
P4751
V6941
MINISFORUM MS-01
P4631
V5491
GMKtec NucBox M6 ※Quiet
P4587
V6942
GMKtec NucBox M6 ※Balance
P4389
V6947
GMKtec NucBox M5 Plus
P3526
V4321

※「P」は「Photo Editing」、「V」は「Video Editing」。スコアは当サイトの実機計測結果

比較機のスペック(ミニPC)

GMKtec NucBox M5 Plus Ryzen 7 5825U / 16GB / Radeon
UM773 Lite Ryzen 7 7735HS / 16GB / Radeon 680M
GEEKOM NUC AE7 Ryzen 9 7940HS / 32GB / Radeon 780M
GEEKOM GT13 Pro Core i9-13900H / 32GB / Iris Xe
MS-01 Core i9-12900H / 32GB / Iris Xe
ThinkCentre M75q Gen5 Ryzen 7 PRO 8700GE / 32GB / Radeon 780M

ゲーム性能について

3Dベンチマーク結果でもお伝えしたように、Radeon 660Mを利用するNucBox M6のグラフィックス性能は、それほど高くありません。軽いゲームであればなんとかなるものの、重めの大作ゲームは厳しいでしょう。ゲームのプレーは息抜き程度と考えたほうが無難です。

※テスト結果は電源モード「Balance」時のものです

エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(やや軽い)

GMKtec NucBox M6

 

フルHDの最低画質で50 fps前後。遊べないレベルではないものの、動きはなめらかではありません。解像度を下げれば動きはなめらかにはなるものの、そこまでしてプレーするべきかは疑問です。

フレームレート

最低画質(目標fps:0) 最高画質(目標fps:0)
50 fps前後で、ときどきわずかにカクつく 30 fps前後でカクつきを感じる

原神(軽い)

GMKtec NucBox M6

フルHDの最低画質でほぼ60fps前後。ただし派手なエフェクトやオブジェクトが多いシーンではフレームレートが落ちるかもしれません。とりあえずカジュアルには楽しめるでしょう。

フレームレート

最低画質 最高画質
ほぼ 60fpsでカクつきはナシ 30 fps前後でシーンによってはカクつきを感じる

FF14ベンチ(やや重い)

GMKtec NucBox M6

フルHDの最低画質&動的解像度を有効で、「5393」の「普通」。カクつきはそこそこありますが、遊べないほどではありません。ただしストレスを感じる場面はありそうです。

フレームレート

動的解像度 最低画質 最高画質
無効 3890(設定変更を推奨) 平均26.72 fps 2395(設定変更を推奨) 平均16.52 fps
有効 ※標準 5393(普通) 平均36.69 fps 3479(設定変更を推奨) 平均24.29 fps

SF6ベンチ(軽い)

GMKtec NucBox M6

フルHDの最低画質でも、設定変更を推奨とのこと。動きもカクつきを感じる場面が何度かあり、対戦プレーには厳しいと思います。

フレームレート

最低画質(内部解像度「5」) 最高画質(内部解像度「5」)
FIGHTING GROUND:平均51.55 fps(設定変更を推奨します) FIGHTING GROUND:平均22.7 fps(動作困難です)

サイバーパンク2077(超重い)

GMKtec NucBox M6

動きはカクカクで、プレーには厳しい状態です。このゲームはかなり重いので、仕方がないでしょう。

フレームレート

最低画質 最高画質
28.54 fpsで常時ガクガク 14.61 fps。プレーにならないレベル

マインクラフト Bedlock版(軽い)

GMKtec NucBox M6

標準のビデオ設定で、たまにカクつきを感じます。建物やモブが増えると重くなるかもしれません。

フレームレート

標準画質
42~60 fpsを推移。モブや建物が少なければ、そこそこ遊べる

熱と騒音について

CPUの熱について

※計測時の室温は26度前後。室温が変わると、結果が異なる場合があります

電源モード:Balance(PBP:50W / MTP:54W)

まず標準モードの「Balance」で見ると、CPU温度は最大で93.1度、平均では92.65度と、かなり高めに出ています。平均消費電力はPBP(プロセッサ・ベース・パワー)を下回る47.05Wではあるものの、やはり発熱量は大きいようです。そのぶん空冷ファンで冷やす、というデザインなのでしょう。空冷ファンにホコリが溜まるなどで冷却性能が落ちたときに、若干心配な面があります

 

GMKtec NucBox M6

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移(電源モード「Balance」時)

各項目の平均値と最大値

コアクロック 平均3993.15MHz 最大4541.8MHz
CPU温度 平均92.65度 最大93.1度
CPU消費電力 平均47.05W 最大54W

電源モード:Performance(PBP:57W / MTP:65W)

消費電力が高めに設定されている「Performance」モードでは、「Balance」に比べて平均クロックが9%程度アップしています。しかしCPU温度は「Balance」とほぼ変わらず。そのぶん空冷ファンが強く動作していました(詳しくは後述)。

 

GMKtec NucBox M6

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移(電源モード「Performance」時)

各項目の平均値と最大値

コアクロック 平均4030.47MHz 最大4541.8MHz
CPU温度 平均92.75度 最大93.1度
CPU消費電力 平均49.2W 最大63.29W

電源モード:Quiet(PBP:35W / MTP:45W)

消費電力を抑えた「Quiet」モードでは、CPUの平均温度が10度近く下がっています。PC本体の健康状態を意識するのであれば、このモードがベストでしょう。そのぶんクロックも「Balance」に比べて8.6%減っていますが、前述のベンチマーク結果を見ればわかるとおり、スコア自体に大きな差は出ていません。用途によっては、このモードは十分「アリ」です。

 

GMKtec NucBox M6

CINEBENCH R23のマルチコアテストを10分間行なった際のCPU温度とCPU消費電力の推移(電源モード「Quiet」時)

各項目の平均値と最大値

コアクロック 平均3652.53MHz 最大4541.8MHz
CPU温度 平均82.19度 最大85.4度
CPU消費電力 平均34.97W 最大45W

本体の駆動音について

駆動音(ファンの回転音や通気口からの排気音など)は大きく聞こえます。ただ大きな騒音が常時聞こえるわけではないので、人によっては許容範囲かもしれません。静かさを取るか、それともパフォーマンスを取るか。自分のスタイルに合わせて選択するといいでしょう。個人的には静音性の高い「Quiet」モードがおすすめです。

 

駆動音の計測結果(Quiet)

電源オフ時 37dB
待機中 38.1dB前後 ファンの低い回転音が聞こえる。うるさくはないが、静かでもない
Windows Update時 39.5dB前後 ファンの音がハッキリと聞こえる。静かな場所では少し気になるかもしれない
軽作業時(PCMark 10) 38~41.3dB前後 排気音が聞こえたり、聞こえなかったり。負荷の高いときは、少し大きく聞こえる
高負荷時(CINEBENCH) 41.3dB前後 排気音がけっこう大きい。うるさくはないが、長時間聞き続けるとストレスに感じるかも
(参考)エアコンの最大出力 48~58dBA前後

 

駆動音の計測結果(Balance)

電源オフ時 37dB
待機中 38.1dB前後 モーターの低い回転音が聞こえる
Windows Update時 45.9dB前後 排気音がかなり大きく、うるさく感じる。ただし大きく聞こえる時間は短い
軽作業時(PCMark 10) 41.8~43dB前後 断続的に音が大きく聞こえる。負荷の高い処理のときはうるさい
高負荷時(CINEBENCH) 47.7dB前後 排気音がかなり大きい。ゲーミングノートPCをフル稼働させたときと同じくらい
高負荷時(ゲーム) 42dB前後 排気音が大きいが、BGMなどで多少まぎれる。ヘッドセットを着用すれば気にならないかも
(参考)エアコンの最大出力 48~58dBA前後

 

駆動音の計測結果(Performance)

電源オフ時 37dB
待機中 37.9dB前後 低いモーター音が常時聞こえるが、うるさくはない
Windows Update時 47dB前後 背根と回転音が相当大きいが、音が聞こえる時間は短い
軽作業時(PCMark 10) 38~48dB前後 大きな排気音と甲高い回転音が断続的に聞こえる。うるさい
高負荷時(CINEBENCH) 52dB前後 ビックリするほど音が大きい。長時間聞き続けるのは厳しいレベル
(参考)エアコンの最大出力 48~58dBA前後

ミニPCの騒音比較

CPU CINEBENCH R23 Score
GEEKOM GT13 Pro
37.6
53
GEEKOM AE7
39.3
52
GMKtec NucBox M6 ※Performance
48
52
ThinkCentre M75q Gen5 ※Ryzen 7
49.7
49.6
MINISFORUM MS-01
40.1
49
GMKtec NucBox M6 ※Balance
43
47.7
Acemagic T8 Plus N100
39.5
42
MINISFORUM UM773 Lite(Ryzen 7 7735HS)
41
41.9
GMKtec NucBox M6 ※Quiet
41.3
41.3
NiPoGi AK1PLUS N97
37.2
40.5
GMKtec NucBox M5 Plus
39
39

※「軽」は軽作業時、「高」は高負荷時。そのほかの機種の値は標準設定時

NucBox M5 Plusとの違い

現在は下位モデルの「NucBox M5 Plus」が4万円前後で販売されています。こちらのほうが安いのですが、機能や性能面で見れば、M6のほうがお得。M5 Plusが優れているのは、静音性ぐらいです。

GMKtec NucBox M5 Plusレビュー:Ryzen 7 5825U搭載の低価格ミニPC
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スペックの違い

M6 M5 Plus
Ryzen 5 6600H(Zen3+) Ryzen 7 5825U(Zen3)
DDR5-4800 16GB DDR4-3200 16GB
512GB NVMe SSD
Radeon 660M(RDNA2) Radeon(Vega)
USB4(PD/DP対応) USB Type-C(DP対応)
幅128.8×奥行き127×高さ47.8mm / 約528g
4万3000円~4万5000円 4万円~4万2000円

外観の違い

GMKtec NucBox M6

サイズや重さは同じ

GMKtec NucBox M6

厚さや前面のインターフェース配置も変わりません

GMKtec NucBox M6

背面の端子構成も同じですが、M6のほうが通気口から見える冷却フィンの密度が高め

GMKtec NucBox M6

電源アダプターの形状はだいぶ異なります(手前がM6で奥がM5 Plus)

性能の違い

CPU性能に関しては、M5 PlusよりもM6のほうが高性能です。M5 Plusは電源モードを変えるとパフォーマンスが多少向上しますが、それでもM6の「Quiet」(静音モード)とそれほど変わりません。

 

CPUの性能比較

CPU CINEBENCH R23 Score
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H) ※Performance
S1502
M10423
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H) ※Balance
S1504
M10281
GMKtec NucBox M5 Plus(Ryzen 7 5825U) ※Performance
S1439
M10029
GMKtec NucBox M6 (Ryzen 5 6600H) ※Quiet
S1499
M9396
GMKtec NucBox M5 (Ryzen 7 5700U) ※Balance
S1228
M6397

※「S」はシングル、「M」はマルチ。スコアは当サイトの実機計測結果

 

グラフィックス性能については、M6のRadeon 660MのほうがGPUアーキテクチャがひと世代新しく、そのぶんベンチマークテストで高いスコアが出ています。ただしどちらも、最近の内蔵グラフィックスとしてはそれほど優れているわけではありません。

 

グラフィックス性能の比較

GPU 3DMark Time Spy Graphics
NucBox M6(Radeon 660M) ※Quiet
1562
NucBox M6(Radeon 660M) ※Performance
1559
NucBox M6(Radeon 660M) ※Balance
1559
NucBox M5 Plus(Radeon Vega)
1104

※スコアは当サイト計測値

 

静音性については、標準モードであればM5のほうが静かです。ただしM5の電源モードを変えると、M6とあまり変わらなくなります。

 

騒音の比較

CPU CINEBENCH R23 Score
GMKtec NucBox M6 ※Performance
48
52
GMKtec NucBox M5 Plus
48
50.5
GMKtec NucBox M6 ※Balance
43
47.7
Acemagic T8 Plus N100
39.5
42
GMKtec NucBox M6 ※Quiet
41.3
41.3
GMKtec NucBox M5 Plus ※Balance
39
39

※「軽」は軽作業時、「高」は高負荷時。そのほかの機種の値は標準設定時

考察とまとめ

GMKtec NucBox M6

コスパは非常に高い

性能面でも機能面でも、4万円台前半の機種とは思えないほど充実しています。

パフォーマンスでは6~10万円のミドルハイクラス機種より劣るものの、大きくかけ離れているわけではありません。ベンチマークスコアと販売価格のバランスで見れば、かなり優秀です。

※これはひとつの考え方ですが、たとえばCINEBENCH R23のマルチスコアを記事執筆時点の販売価格で除算すると、M6は「0.234」。ハイエンドクラスの機種は「0.13~0.17」あたりで、ミドルハイクラスとエントリークラスは「0.15」前後。Score Per Yen(造語)で考えれば優秀だと言えます

機能面では「USB4対応」「増設可能なDDR5」「2.5Gbの有線LAN端子×2」「3画面出力対応」あたりがポイントでしょう。「ミニPCでUSB4の使い道少ない問題」はあるにしても、これだけ安い機種でいろいろ対応しているのは魅力です。

駆動音の大きさが残念

残念なのは、駆動音がとても大きい点です。標準設定でも高い負荷がかかると、ファンの音が大きく聞こえます。実際に使っている最中でも、音の大きさが気になる場面が何度かありました。

ただ「常時音が大きく聞こえるわけではない」ので、あまり気にならない人なら大丈夫かもしれません。普段からノイズキャンセリング付きのイヤホン・ヘッドホンを使っていたり、BGMを再生しているなら、駆動音は目立たないでしょう。設置場所によっても、音の聞こえ方はだいぶ変わります。そのあたりなんとかできるなら、アリだと思います。

記事を書いた人
こまめ(タカハシリョウ)

お買い得パソコン評論家。毎日各メーカー・各ショップのWebページを500p以上チェックして、安くてお得なパソコンを探しています。元雑誌・書籍編集者で、PC系フリーライターでもあるオジサン。文章に関わる仕事を始めてから25年以上。最高195万PV/月

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