『HP Pavilion 14-dv2000』(以下、”HP Pavilion 14-dv”)は、上品な見た目の14インチタイプノートPCです。デスクに据え置きで使う人向きで、本体はそれほど軽量スリムではありません。しかし外観面では、軽やかな印象を受けます。
性能的には、一般用途向けノートPCのなかでは中位クラスです。ところどころにクセはありますが、全体的な仕上がりは悪くありません。ただしそのぶん、最安モデルで約9万円台と値段がちょっと高く設定されています。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
HP Pavilion 14-dv2000
スペック
発売日 | 2022年6月 |
---|---|
OS | Windows 11 Home |
ディスプレイ | 14インチ 1920×1080ドット IP 非光沢 タッチ対応 |
CPU | Core i3-1215U / Core i5-1235U |
メモリー | 8GB(4GB×2) / 16GB(8GB×2) ※DDR4-3200 |
ストレージ | 256 / 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | UHD / Iris Xe ※CPU内蔵 |
通信 | Wi-Fi 6、Bluetooth 5.2 |
インターフェース | USB Type-C(映像出力 / USB PD対応)×1、USB Type-A×2、HDMI、SDメモリーカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅324mm、奥行き216mm、高さ17.5mm / 約1.42kg |
バッテリー | 最大 7時間30分 |
本体デザイン
HP Pavilion 14-dvの本体カラーは「SAKURA」。実際の色合いはメタリックでやや紫がかりながらもうっすらとしたピンクです。ノートPCとしては珍しく、エレガントな印象を受けます。
2020年12月発売の前モデル「HP Pavilion 14-dv0000」シリーズでは「セラミックホワイト」と「SAKURA」の2色が用意されていました。しかし現行モデルでは「SAKURA」のみ。前モデル販売時は「SAKURA」がだいぶ売れ残っていたので、もしかするとカバーを流用しているのかもしれません。
サイズと重量
14インチタイプは一般的な15.6インチタイプよりも画面が小さいぶん、本体がコンパクトです。体感的には、A4サイズよりもひと回り大きい程度。厚みは少しありますが、気になるほどではありません。
ディスプレイについて
画面サイズは14インチで、一般的な15.6インチよりもひと回り小さめです。標準ではデスクトップの拡大率が150%に設定されているため、文字が小さくて読めないことはありません。むしろ大きく感じるほどなので、125%あたりに変更するといいでしょう。
ディスプレイはタッチ操作に対応しています。スペック上では「非光沢」とされていますが、一般的な非光沢タイプよりも写りこみがやや感じられました。実際には半光沢程度に考えておいたほうがいいでしょう。
キーボードについて
キーボードには、ややクセがあります。慣れれば問題なく使えると思いますが、使い始めのうちは誤入力があるかもしれません。またタイプ感は軽く、軽いタッチで入力する人に向いています。
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-1235U(10コア/12スレッド) |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
ストレージ性能
ストレージとしては、256GBまたは512GBのSSDです。使われているSSDはPCIe Gen3 x4で、最近主流のPCIe Gen4 x4と比べるとやや遅め。なお試用機ではWDのSN530シリーズが使われていました、
CPU性能
CPUには、第12世代のCore i5-1235UまたはCore i3-1215Uが使われています。Core i5-1235U搭載の試用機でマルチコア性能を計測するCPUベンチマークテストを行なったところ、同CPUの平均値を大きく上回る結果でした。このテストは高負荷でCPUの熱が上がりやすいため、熱対策としてパフォーマンスを調整しているのかもしれません。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Ryzen 7 6800U |
10183
|
Ryzen 7 5825U |
9740
|
Ryzen 7 7730U |
9293
|
Core i7-1260P |
9254
|
Core i5-1240P |
8928
|
Ryzen 5 5625U |
8376
|
Core i7-1255U |
7819
|
Core i5-1235U |
7664
|
Core i3-1215U |
6216
|
Pavilion 14(Core i5-1235U) |
5811
|
Ryzen 3 7330U |
5108
|
Ryzen 5 7520U |
5029
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
しかしマルチコア / シングルコアを含めた総合性能を計測するベンチマークテストでは、悪くない結果です。最新CPUと比較しても、性能的には中位クラス。こちらでは同じCPUの平均値を上回っています。もしかすると、16GBメモリーの効果が出ているのかもしれませんが。
CPUの熱が生じやすい思い処理には向かないものの、普段使いやビジネス作業など軽めの作業であれば快適に利用できるでしょう。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21265
|
Core i7-1360P |
21213
|
Core i5-1340P |
20922
|
Ryzen 7 6800U |
20647
|
Ryzen 7 7730U |
19633
|
Ryzen 7 5825U |
18554
|
Core i5-1240P |
17520
|
Core i7-1260P |
17449
|
Ryzen 5 6600U |
17274
|
Core i5-1335U |
16573
|
Ryzen 5 7530U |
16444
|
Core i7-1355U |
16378
|
Ryzen 5 5625U |
15097
|
Pavilion 14(Core i5-1235U) |
14770
|
Core i7-1255U |
13927
|
Core i3-1315U |
13893
|
Core i5-1235U |
13706
|
Ryzen 3 7330U |
11856
|
Core i3-1215U |
11294
|
Intel N305 |
10428
|
Ryzen 5 7520U |
9771
|
Ryzen 3 7320U |
9289
|
Intel N95 |
5495
|
Intel N100 |
5404
|
※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス周りの処理には、CPU内蔵のグラフィックス機能が使われます。Core i5モデルではIris Xe Graphics、Core i3モデルでは下位のUHD Graphicsです。
Core i5搭載の試用機では、Iris Xeタイプとしては標準的な結果でした。ただCore i5-1235U搭載機のなかには事務用と割り切って、UHD(メモリーがシングルチャネルだと切り替わる)で利用する機種もあります。HP Pavilion 14-dvはIris Xeで動作しているので、ある程度個人のホビー利用を想定しているのでしょう。実際のところ多少の効果はありますが、大作ゲームや高度な動画編集を行なえるほどではありません。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Ryzen 7 6800U) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR) |
1302
|
Radeon (Ryzen 7) |
1204
|
Pavilion 14(Iris,Core i5,DDR4) |
1251
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は、大きくクリアーしています。なかでもひときわ目立つのが、一般利用(ビデオ会議やWeb閲覧など)テストのスコアの高さです。やはり軽めの作業に向いているということでしょう。「性能が低くて軽めの作業しかできない」ではなく、「軽めの作業であれば高級機並みに威力を発揮する」と考えられます。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10542
9984
9409
10089
10647
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7016
9266
6968
7094
6968
6759 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5199
5987
5525
4889
5997
6342 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶IdeaPad Slim 570 | Ryzen 5 5625U / 8GB / Radeon |
---|---|
▶ThinkPad E14 Gen4 | Core i5-1235U / 8GB / UHD |
▶HP ProBook 450 G9 | Core i3-1215 / 8GB / UHD |
▶HP Spectre x360-14 | Core i7-1255U / 16GB / Iris Xe |
▶XPS 13 Plus | Core i7-1260P / 16GB / Iris Xe |
ややお高めのエレガントな普段使いPC
軽くて薄いわけではないものの、見た目が上品なデザインを採用しています。性能的にはガッツリ使いたい人向けではなく、メールや調べ物、ちょっとした文書作成など普段の作業を快適にこなしたい人向け。ビジネスでも利用できるでしょう。
総合的な仕上がりは悪くはないものの、値段がちょっと高めです。記事執筆時点(2023年4月末)では、Core i3-1215U / 8GBメモリー / 256GB SSDの組み合わせで9万2000円。上位モデルはCore i5-1235U / 16GBメモリー / 512GB SSDで11万5000円。同クラス製品の相場を考えると、あと2割程度は安く買いたいところです。
値段が障壁ではなければアリ。セールやアウトレットで値下がりするのを待ってもいいかもしれません。
HP Pavilion 14-dv2000
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