レノボの『ThinkBook 15 Gen 5(AMD)』(以下、”ThinkBook 15 Gen5″)は、15.6インチのフルHDディスプレイを搭載するスタンダードタイプのノートPCです。頑丈かつ安っぽく見えない筐体としっかり使えるスペックで、普段使いからビジネスまで幅広いシーンで活用できます。
記事執筆時の価格
スペック | 価格 |
---|---|
Ryzen 5 7530U / 16GB / 256GB | 8万4700円 |
Ryzen 7 7730U / 16GB / 1TB | 11万9900円 |
※2023年10月25日時点
実際の使い勝手については、ディスプレイやキーボードに多少の安っぽさが見られましたが、特に気になるほどではありません。性能についても十分です。ただし、これと言った特徴もありません。バランスがいいと言えばそうなのですが、選択肢としては無難な機種だと思います。
また記事執筆時点では上位シリーズである「ThinkPad Eシリーズ」と値段があまり変わらないため、「だったらThinkPadよね」というのが正直な感想です。ただしセールで大きく値引きされれば、アリでしょう。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
スペック
発売日 | 2023年2月28日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home / Pro |
ディスプレイ | 15.6インチ、1920×1080、IPS、非光沢 |
CPU | Ryzen 3 7330U / Ryzen 5 7530U / Ryzen 7 7730U |
メモリー | 8 / 16GB DDR4-3200 ※オンボード8GB、スロット×1、最大32GB |
ストレージ | 256GB~1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2、有線LAN(1Gbps) |
インターフェース | USB3.2 Gen2 Type-C(充電 / 映像出力対応)×2、USB3.2 Gen1×2、HDMI、有線LAN、SDカードスロット、ヘッドホン端子 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅357×奥行き235×高さ18.9mm / 約1.7kg |
バッテリー | 約13時間(Ryzen 3) / 約11.7時間(Ryzen 5) / 約11.9時間(Ryzen 7) |
本体デザイン
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Ryzen 5 7530U |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」の「電源およびパフォーマンス」を最高の「エクストリーム・パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、AMD Zen3世代のRyzen 3 7330U(4コア8スレッド) / Ryzen 5 7530U(6コア12スレッド) / Ryzen 7 7730U(8コア16スレッド)が使われています。
Ryzen 5 7530U搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、なかなか優秀な結果がでました。CPUの平均値は全体で見ると「中の中」あたりの位置付けですが、ThinkBook 15 Gen 5では「中の上」あたりのスコアです。上位のRyzen 7 7730Uであれば、より高いパフォーマンスを期待できるかもしれません。
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
ThinkBook15(Ryzen 5 7530U) |
18058
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Core i7-1355U |
15636
|
Core i3-1315U |
13033
|
Ryzen 3 7330U |
10909
|
Core i3-N305 |
10265
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Ryzen 3 7320U |
9249
|
Intel N100 |
5620
|
※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
薄型ノートPC向けCPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Core i7-1360P |
3670
|
Core i5-1335U |
3665
|
Core i7-1355U |
3606
|
Core i3-1315U |
3573
|
Ryzen 7 7735U |
3289
|
ThinkBook15(Ryzen 5 7530U) |
3263
|
Ryzen 7 7730U |
3228
|
Ryzen 5 7530U |
3136
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3089
|
Ryzen 5 7520U |
2573
|
Ryzen 3 7320U |
2485
|
Core i3-N305 |
2279
|
Intel N100 |
1971
|
※スコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadeon Graphicsが使われます。Ryzen 5 7530U搭載の試用機で3Dベンチマークを行なったところ、CPU内蔵タイプとしてはやや低めの結果が出ました。とは言え、本来のグラフィックス性能を考えれば、妥当なところです。ゲームやグラフィックス系ソフトなどでの効果は、あまり期待しないほうがいいでしょう。
内蔵グラフィックスの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3445
|
Radeon(RDNA 3) |
2862
|
Radeon 680M(RDNA 2) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR) |
1302
|
Radeon (Vega) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR) |
1149
|
ThinkBook15(Radeon, Vega) |
1132
|
Iris Xe(Core i5+DDR) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は大きく上回っています。コンテンツ制作(写真加工や3D制作、動画編集)のテストについてはスコアがあまり高くはないものの、スタンダードノートPCとしては妥当なところ。文字中心の作業に適した機種です。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10223
10616
9882
10917
10258
10501 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
9879
10003
6966
9572
7417
7622 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5778
6018
5500
6536
6026
6624 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶Vostro 15 3550 | Core i5-1335U / 16GB / Iris Xe |
▶IdeaPad Flex 5 Gen 8 | Ryzen 7 7730U / 16GB / Radeon |
▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公称値で、約13時間(Ryzen 3) / 約11.7時間(Ryzen 5) / 約11.9時間(Ryzen 7)とされています。しかし公称値は実際の利用を想定した測定結果ではないため、実際の利用では駆動時間が短くなりがちです。
そこでRyzen 5モデルを使って最大パフォーマンスの状態でビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から6時間9分で休止状態へ移行しました。公称値よりも短い結果でしたが、消費電力が大きい状態でのテストであることを考えればやむを得ないでしょう。電源プランや画面の輝度を変更すれば、駆動時間はさらに延びる可能性があります。
バッテリー駆動時間の計測結果 ※Ryzen 5モデル
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | 約14.5時間 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 6時間9分 |
50%充電までにかかった時間 | - | 26分 |
フル充電までにかかった時間 | - | 1時間40分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
ThinkPad Eシリーズと変わらない値段
記事執筆時点での価格はRyzen 5モデルで8万円台半ば、Ryzen 7モデルで12万円前後。特別安いわけではありませんが、頑丈な作りや筐体の仕上がりなどを考えれば妥当なところだと思います。良くも悪くも普通で、無難な機種といったところ。個人的にはディスプレイのパネルをワンランク上げたり、天板のデザインをもうちょっと地味にしていただきたいとは思います。
ただし現在は上位シリーズであるThinkPad Eシリーズが安く、Ryzen 5モデルが8万円台後半、Ryzen 7モデルが10.5~11万円前後で販売中です。ThinkPad Eシリーズのほうがキーボードの仕上がりが良かったり、モデルによってはディスプレイ品質も高かったりしますから、選ぶならThinkBookよりもそちらを選んだほうがいいでしょう。
とは言えThinkBookシリーズもセールによっては大幅に値下がりすることがあるので、そのタイミングで購入するならアリです。
*
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