デルのVostro 3430は、14インチのフルHDディスプレイを搭載するビジネス向けスタンダードノートPCです。CPUはインテル第13世代Coreプロセッサで、メモリーは8~16GB、ストレージは256 / 512GBのSSD。ビジネス向けモデルだけあって、手厚い有料サポートサービスも用意されています。
※Vostroシリーズは法人向けのビジネスPCですが、個人事業主や自営業者でも購入できます。注文時に所在確認などはありません。
性能的には、軽めの作業をしっかりこなすための機種です。しかし値段が高いわりに本体がかなりチープ。ボディやキーボード、インターフェース周りは格安ノートPC相当でした。基本的にはビジネス向けのサービスを利用したい人向けですが、大幅に値引きされているタイミングで入手するのもアリです。
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Vostro 14 3430
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スペック
発売日 | 2023年3月17日 |
---|---|
OS | Windows 11 Home / Pro |
ディスプレイ | 14インチ、1920×1080ドット、WVA(広視野角パネル) 、非光沢、220nit、45% NTSC |
CPU | Core i3-1305U / Core i5-1335U / Core i7-1355U |
メモリー | 8GB×1 / 16GB(8GB×2) DDR4-2666 ※メモリースロット×2 |
ストレージ | 256 / 512 NVMe SSD |
グラフィックス | UHD Graphics(i3、またはi5 8GB×1構成) / Iris Xe(i5 8GB×2構成またはi7) |
通信 | 11a/b/g/n/ac、Bluetooth 5.0、有線LAN(1Gbps) |
インターフェース | USB3.2 Gen1 Type-C(データ通信のみ)×1、USB3.2 Gen1×1、USB2.0×1、HDMI1.4(最大1920×1080@60Hz)、有線LAN、SDカードスロット、ヘッドフォン出力 / マイク入力 |
セキュリティ | ※生体認証は非対応 |
サイズ / 重量 | 幅323.67mm、奥行き220.26mm、高さ18.62~19.48mm / 約1.46kg |
バッテリー | 3セル 41WHr ※駆動時間は非公開 |
本体デザイン
あらかじめお伝えしておくと、Vostro 3430の筐体はかなりチープです。ボディは樹脂(プラスチック)製の安っぽい仕上がり。「シンプル」と言えば聞こえがいいのですが、いかにもなデザインを以前からずっと採用し続けています。価格が5~6万円台であれば納得できますが、7~13万円台の製品としてはかなり厳しいでしょう。
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i5-1335U(10コア、15W) |
---|---|
メモリー | 8GB×2(DDR4-2666) |
ストレージ | 512GB NVMe SSD |
グラフィックス | Iris Xe Graphics(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「MyDell」の「電源マネージャ」→「サーマルモード」を「超高パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、インテル第13世代のUシリーズ(低消費電力タイプ)が使われています。Core i5-1335U搭載の試用機でCPUベンチマークテストを行なったところ、現行世代のCPUとしては中位クラスの結果でした。とは言え現行世代のCPUは性能が非常に高く、中位クラスでも十分パワフルです。
しかし同じCore i5-1335Uの平均値よりも、9%程度低い結果が出ています。Core i3やCore i7についても、同様の結果となるかもしれません。
CPUの性能差 (総合性能)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Ryzen 7 7735U |
21043
|
Core i5-1340P |
20760
|
Core i7-1360P |
19623
|
Ryzen 7 7730U |
18979
|
Core i5-1335U |
18240
|
Ryzen 5 7535U |
17163
|
Vostro 14 3430(Core i5-1335U) |
16654
|
Ryzen 5 7530U |
16196
|
Core i7-1355U |
15636
|
Core i3-1315U |
13033
|
Ryzen 3 7330U |
10909
|
Core i3-N305 |
10265
|
Ryzen 5 7520U |
9759
|
Core i3-1305U |
9724
|
Ryzen 3 7320U |
9249
|
Intel N100 |
5638
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
その一方で、軽めの作業に強く影響するシングルスレッド(シングルコア)性能のテストでは、非常に優秀な結果でした。日常的な作業では、快適に利用できるでしょう。重いソフトをいくつも使った複雑な作業よりも、少数のソフトでちょっとした作業を行なうのに向いています。
CPUの性能差 (シングルスレッド)
CPU | PassMark CPU Mark Score |
---|---|
Vostro 14 3430(Core i5-1335U) |
3711
|
Core i7-1360P |
3670
|
Core i5-1335U |
3665
|
Core i7-1355U |
3606
|
Core i3-1315U |
3573
|
Ryzen 7 7735U |
3289
|
Ryzen 7 7730U |
3228
|
Ryzen 5 7530U |
3136
|
Ryzen 5 7535U |
3105
|
Ryzen 3 7330U |
3089
|
Ryzen 5 7520U |
2573
|
Ryzen 3 7320U |
2485
|
Core i3-N305 |
2279
|
Intel N100 |
1971
|
※そのほかのスコアはPassMark CPU Benchmarksによる集計値
グラフィックス性能
グラフィックス機能は、パーツ構成によって変わります。Core i3モデルまたは8GBメモリー×1構成のCore i5モデルではUHD Graphics、8GBメモリー×2構成のCore i5 / i7モデルではIrisi Xe Graphicsを利用します。
試用機では8GBメモリー×2構成のIris Xeでしたが、性能は低めです。おそらくメモリー速度が2666MHzとやや遅いためでしょう。ただ、そもそもVostro 3430はビジネス向けPCなので、あまり気にする必要はありません。。文字や数値中心の作業であれば、高いグラフィックス性能はそれほど必要ないはずです。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Radeon 680M(Zen3+) |
2211
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4) |
1528
|
Iris Xe(Core i5+LPDDR4) |
1302
|
Radeon (Zen3) |
1204
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Vostro 14 3430(Core i5+DDR4) |
1089
|
Radeon (Zen2+) |
1000
|
Iris Xe(Core i5+DDR4) |
977
|
UHD(Core i3) |
900
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
各テストの目標値は大きく上回っており、一般的な使い方であれば快適に利用できるでしょう。ただしCPUに高い負荷のかかるマルチコア系の処理は苦手なようです。どちらかと言えば、軽めの作業に向いています。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10191
10616
10917
9869
10258
10501 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
7246
10003
9572
8854
7417
7622 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
5780
6018
6536
8298
6026
6624 |
※スコアの目標値はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック(スリムノートPC)
▶ThinkBook 14 Gen5 | Ryzen 5 7530U / 16GB / Radeon |
---|---|
▶IdeaPad Flex 5 Gen8 | Ryzen 7-7730U / 16GB / Radeon |
▶Zenbook 15 OLED | Ryzen 7 7735U / 16GB / Radeon |
▶HP Pavilion 15-eg | Core i7-1355U / 16GB / Iris Xe |
▶Inspiron 16 5630 | Core i7-1360P / 16GB / Iris Xe |
バッテリー駆動時間
バッテリーの駆動時間は公開されていません。そこでビジネス作業 (Web閲覧や文書作成、ビデオチャットなど)での駆動時間を計測したところ、開始から7時間58分でバッテリー残量が3%に達し、休止状態へ移行しました。最近の機種としてはあまり長いほうではありませんが、据え置き用であることを考えれば十分な結果です。。
ディスプレイの輝度やパフォーマンス設定を下げれば、さらに駆動時間が延びる可能性があります。しかしバッテリー駆動時は電源接続時に比べて、パフォーマンスが低下することがあるので注意してください。
PCMark 10バッテリーテスト検証結果(Core i5モデル)
テスト方法 | バッテリー消費 | 駆動時間 |
---|---|---|
※公称値 | 小 | ※非公開 |
Modern Office (ビジネス作業) | 大 | 11時間35分 |
充電率50%までの時間 | - | 52分 |
満充電になるまでの時間 | - | 2時間25分 |
※テストの条件や計測方法についてはコチラ
個人で導入するにはやや厳しい
記事執筆時でのVostro 3430の値段は、Core i3モデルで7万5000円前後、Core i5+16GBメモリーモデルで10万2000円前後、Core i7モデルで約13万円です。同じ14インチの『Inspiron 14 5430』(個人向けモデル)ならCore i5+16GBメモリーモデルで約8万円、Core i7モデルで9万円ちょっとであることを考えると、Vostro 3430は値段が非常に高いと言わざるを得ません。
そのぶん本体が高品質なわけでもなく、むしろかなりチープです。筐体的には、5~6万円台の格安ノートPCと同じレベル。7~13万円台は価格的にはミドルレンジ~ハイエンドクラスですが、それだけのお金を払ってプラスチック製のベコベコボディで性能もほどほどとなれば、コスパは低いと断言できます。
ちなみに前モデルのVostro 3420でもまったく同じように評価しているんですよね……。
https://komameblog.jp/review/vostro3420/
しかし、法人需要の点で考えると若干変わってくるかもしれません。個人向け製品にはない保証 / サポートサービスを選べる点はメリットですし、ソリューション込みなどでの一括導入ともなれば1台あたりの値段は大きく変わるでしょう。そのあたりについては、デルに電話で問い合わせることをおすすめします。
また前モデルでは、タイミングによっては大きく割引されることがありました。標準価格はかなり高いので、セールのときに狙うといいでしょう。
Vostro 14 3430
*
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