レノボのLegion Slim 770i 16型は、第12世代CoreプロセッサとRTX 30シリーズを搭載するゲーミングノートPCです。ディスプレイはやや大きめの16インチで、解像度は最大2560×1600ドット。165HzのリフレッシュレートやHDR400、G-SYNCにも対応しています。パワフルなのに、本体がスリムな点もポイントです。
価格は最安モデルで20万円から。GPU性能がエントリー~ミドルレンジあたりなので、値段としてはやや高めです。また高負荷時の駆動音はやや大きめでした。しかしCPU性能が非常に高い上に、スペック以外の細かな部分でゲーマー向けの配慮が感じられます。総合的には仕上がりに優れた、満足感の高い機種と言えるでしょう。
ポイント
- 😄 高性能なのにスリムな本体
- 😄 165Hzの高リフレッシュレート
- 😄 ゲーマー向けの細かな配慮
- 🙄 排気音がちょっと大きい
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
Legion Slim 770i
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スペック
OS | Windows 11 Home / Pro |
---|---|
ディスプレイ | 16インチ 非光沢 タッチ非対応 IPS 100%sRGB |
パネル | 1920×1200 165Hz 350nit / 2560×1600 165Hz 500nit HDR400 G-SYNC対応 |
CPU | Core i5-12500H / Core i7-12700H / Core i9-12900H |
メモリー | 8GB(オンボード8GB×1) / 16GB(オンボード8GB+DIMM 8GB) ※DDR5-4800 |
ストレージ | 512GB / 1TB NVMe SSD ※デュアル構成対応 |
グラフィックス | RTX 3050 Ti(4GB)/RTX 3060(6GB) |
通信 | Wi-Fi 6 / 6W、Bluetooth |
インターフェース | Thunderbolt 4(映像出力対応、USB PD対応)×1、USB3.2 Gen2 Type-C(映像出力対応、USB PD対応)×1、USB3.2 Gen2×1、USB3.2 Gen1×2、HDMI、SDカードスロット、ヘッドセット端子 |
生体認証 | 指紋センサー |
サイズ / 重量 | 幅357.7×奥行き260×高さ16.9~21mm / 約2.23kg |
バッテリー | 約9時間 |
本体デザイン
サイズと重量
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
試用機のスペック
CPU | Core i7-12700H(Pコア6+Eコア8) |
---|---|
メモリー | 16GB |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | RTX 3060(6GB) |
最大グラフィックスパワー | 100W |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」、電源モードを「最適なパフォーマンス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」の「サーマル・モード設定」を「パフォーマンス・モード」に設定。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
CPU性能
CPUとしては、第12世代CoreプロセッサのHシリーズ(ゲーミングPC / クリエイター向けPC用)が使われています。Core i7-12700H搭載の試用機ではマルチコア性能のテストで、非常に優秀な結果が出ました。同CPUの平均値を大きく上回っていることからも、内部の冷却性能やチューニングが優れていることがわかります。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i9-12900HX |
21119
|
Legion Slim 770i(Core i7-12700H) |
17012
|
Core i7-12700H |
16039
|
Ryzen 7 6800H |
13673
|
Ryzen 9 5900HX |
12654
|
Ryzen 7 5800H |
11346
|
Core i7-11800H |
11123
|
Ryzen 5 5600H |
8901
|
Core i5-11400H |
7529
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (シングルコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i9-12900HX |
1906
|
Core i7-12700H |
1804
|
Legion Slim 770i(Core i7-12700H) |
1801
|
Ryzen 7 6800H |
1532
|
Core i7-11800H |
1502
|
Core i5-11400H |
1461
|
Ryzen 9 5900HX |
1459
|
Ryzen 7 5800H |
1375
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、エントリー(入門)向けのRTX 3050 Tiまたはミドルレンジ(中級)向けのRTX 3060が使われています。
RTX 3060搭載の試用機で3Dベンチマークテストを行なったところ、当サイトの平均値をやや下回る結果が出ました。試用機の最大グラフィックスパワーは100Wで、仕様上の上限は115Wです。特別低く設定されているわけではないものの、本体内部の熱が上がりすぎるのを防ぐために、あえてパフォーマンスを抑えているのかもしれません。
とは言え性能的には十分ミドルレンジの範囲内で、普通にゲームを楽しめます。
GPUの性能 (DirectX 12、WQHD)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 Ti |
13493
|
RTX 3080 |
11612
|
RTX 3070 Ti |
10357
|
RTX 3070 |
9707
|
RTX 3060 |
8297
|
Legion Slim 770i(RTX 3060) |
7918
|
RTX 3050 Ti |
5207
|
RTX 3050 |
4426
|
GTX 1650 |
3178
|
Iris Xe (Core i7) |
1250
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能 (DirectX 11、フルHD)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 Ti |
30787
|
RTX 3080 |
28274
|
RTX 3070 Ti |
25538
|
RTX 3070 |
25161
|
RTX 3060 |
21476
|
Legion Slim 770i(RTX 3060) |
20343
|
RTX 3050 Ti |
13528
|
RTX 3050 |
11051
|
GTX 1650 |
8758
|
Iris Xe (Core i7) |
4486
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
GPUの性能 (レイトレーシング)
GPU | 3DMark Port Royal Graphicsスコア |
---|---|
RTX 3080 Ti |
8527
|
RTX 3080 |
7148
|
RTX 3070 |
5957
|
RTX 3060 |
4909
|
Legion Slim 770i(RTX 3060) |
4601
|
RTX 3050 Ti |
585
|
RTX 3050 |
537
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではCPUとストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は非常に優秀です。特にコンテンツ制作のテストでは、旧世代のCPUを搭載したRTX307搭載機のスコアを上回っています。ゲームだけでなく、さまざまなシーンで従来機よりも快適に活用できるでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10659
9477
8362
9667
9418
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
10494
6534
8253
8530
7927
8766 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
11614
5363
6187
8109
8486
10284 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Surface Studio | Core i7-11370H / 16GB / RTX 3050 Ti |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
▶GALLERIA UL7C-R37 | Core i7-11800H / 16GB / RTX 3070 |
ゲーム性能
RTX 3060モデルでゲーム系ベンチマークを試したところ、1920×1200ドットであれば重いゲームでも快適に(平均60FPS以上)楽しめそうな結果が出ました。ただし2560×1440ドットは、動作が軽い競技FPS以外は厳しいと考えたほうが良さそうです。
RTX 3050 Tiモデルでも、基本的にはゲームは快適に楽しめます。ただしRTX 3060よりは性能が低く、快適にプレー / 高フレームレートを実現するには画質を調整する必要があるでしょう。予算があるなら、RTX 3060モデルをおすすめします。
検証結果まとめ
- ・激重タイトルでも高画質で快適
- ・軽いタイトルなら2560×1600も可
- ・レイトレは中量級タイトルまで
- ・中量級FPSは画質調整で120~165Hz
- ・競技系FPSは165Hzはり付き可能
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
エーペックスレジェンズ 射撃訓練場(中量級)
画質 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 84.6 / 65.2 |
最低画質 | 164.6 / 126.6 |
※実際のプレーではこの結果よりもFPSが低下します
CS:GO FPS Benchmark(軽い)
画質 | 平均FPS |
最高画質 | 411.9 |
最低画質 | 554.29 |
※ワークショップ内のマップ「FPS Benchmark」を使用
レインボーシックス シージ(軽い)
設定 | 平均FPS / 最低FPS |
最高画質 | 308 / 249 |
最高画質 | 397 / 333 |
※ゲーム内ベンチマークの結果
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 7703 / 快適 |
標準品質 | 10869 / とても快適 |
軽量品質 | 13544 / 非常に快適 |
※スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 17832 / 123.5 FPS |
高品質 | 21537 / 153 FPS |
標準品質 | 25449 / 185.1 FPS |
ファークライ6(ちょっと重い / DX12)
設定 | 平均FPS / 最小FPS |
レイトレ最高画質 | 67 / 61 |
最高画質 | 82 / 71 |
最低画質 | 115 / 96 |
アサシン クリード ヴァルハラ (重い)
設定 | 平均FPS / 低位1% |
最高画質 | 77 / 43 |
最低画質 | 146 / 110 |
Marvel’s Spider-Man Remastered(ちょっと重い)
設定 ※レイトレ無効 | 平均FPS / 低位1% |
レイトレ最高画質 | 68.2 / 34.1 |
最高画質 | 84.8 / 45.9 |
最低画質 | 102.2 / 54.1 |
薄いけど排気音がやや大きい
試用機を検証した限りでは、性能や品質面での不満は感じられませんでした。ベンチマークテストの結果を見るとGPU性能がやや抑えられている印象ですが、実際のゲームプレーでは気になりません。むしろアンチゴースト対応のキーボードやHDR / G-SYNC対応のディスプレイなど、ゲーマー向けのパーツがしっかり使われている点に好感を覚えます。またパワフルなゲーミングノートPCでありながら、本体がスリムな点も魅力です。
ただしそのぶん、値段がけっこう高めです。試用したRTX 3060搭載モデルの価格は、記事執筆時点(2022年11月上旬)で22万円台。ミドルレンジクラスのゲーミングノートPCが13万円あたりから入手できることを考えると、GPU性能以外の仕上がりをどう考えるかこの機種のキモと言えるでしょう。確かに仕上がりはいいのですが、もう少し安ければというのが正直な感想です。
あと、排気音がやや大きい点が気になりました。環境や計測機器によって結果が大きく異なるため駆動音は計測していないのですが、ほかのレノボ製ゲーミングノートPCと比べて明らかに排気音が大きく聞こえます。耐えられないほどうるさいわけではないものの、ヘッドホンを使わずにゲームをしていると音がよく聞き取れないことがあるほどです。
排気音が大きく聞こえるのは、筐体がスリムなため内部に熱がこもりやすいからでしょう。ノートPC冷却台などで熱対策を行なえば、ある程度は抑えられるかもしれません。ゲーミングノートPCである以上ある程度の音はしょうがないのですが、それでもできるだけ音を抑えたいのであれば、もっと厚くてゴツい機種を選ぶべきだと思います。
Legion Slim 770i
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