レノボの「 Yoga 770(14型 AMD)」は、画面が回転する2-in-1タイプのノートPCです。14インチで高精細OLEDディスプレイを搭載しているほか、CPU性能とグラフィックス性能に優れるモバイルRyzen6000シリーズが使われている点が特徴。プレミアムな2-in-1ノートPCとしておすすめします。
ポイント
- 😄 OLEDの映像は超美麗
- 😄 高性能なRyzen6000シリーズ
- 😄 USB4対応
- 🙄 値段が高い
この記事ではメーカーからお借りした実機を使って、デザインや性能、実際の使い心地などをレビューします。
スペック
OS | Windows 11 Home / Pro |
---|---|
ディスプレイ | 14インチ 光沢 タッチ対応 |
パネル | ・2880×1800 OLED 90Hz 400nit DisplayHDR 500対応 DCI-P3 100% ・2240×1400 IPS 60Hz 300nit sRGB 100%(オプション) |
CPU | Ryzen 5 5600U(オプション) / Ryzen 7 6800U |
メモリー | 16GB / 32GB(オプション) LPDDR5-6400 ※オンボード |
ストレージ | 512GB(オプション) / 1TB NVMe SSD |
グラフィックス | Radeon 680M(CPU内蔵) |
通信 | Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.2 |
インターフェース | USB4×1(USB PD / 映像出力対応)、USB3.2 Gen2 Type-C×1(USB PD / 映像出力対応)、USB3.2 Gen1×1、HDMI、microSDカードスロット、ヘッドセット端子 |
生体認証 | 顔認証用IRカメラ、指紋センサー(オプション) |
サイズ / 重量 | 幅316.66mm、奥行き220.25mm、高さ17.35mm / 約1.42kg |
バッテリー | 4セル 71Wh 最大約17時間駆動 |
本体デザイン
サイズと重量
ディスプレイについて
キーボードについて
ベンチマーク結果
今回は比較用に、同型のYoga 770iのベンチマーク結果と合わせて解説します。Yおが 770iの詳細については、レビュー記事でご確認ください。
https://komameblog.jp/review/yoga770i/
試用機のスペック
Yoga 770 | Yoga 770i |
---|---|
Ryzen 7 6800U | Core i7-1260P |
16GB | |
1TB NVMe SSD | |
Radeon 680M(CPU内蔵) | Iris Xe(CPU内蔵) |
※ベンチマークテストはWindows 11の電源プランを「バランス」に設定した上で、標準収録ユーティリティー「Lenovo Vantage」で「電源およびパフォーマンス」をもっとも高性能な「エクストリーム・パフォーマンス」に変更。さらに電源アダプターを接続した状態で実施しています
※ベンチマーク結果はパーツ構成や環境、タイミング、個体差などさまざまな要因によって大きく変わることがあります
ストレージ性能
ストレージには、1TBのSSDが使われています(カスタマイズモデルでは512GBもあり)。SSDの規格は高速なPCIe 4.0 x4ですが、アクセス速度はPCIe 3.0 x4並みでそれほど速くはありませんでした。プレミアムモデルなのにやや残念な結果ですが、もしかすると発熱を抑えるためにあえて速すぎないSSDを選んでいるのかもしれません。
CPU性能
CPUとしては、AMD Zen3+世代のモバイルRyzen 6000シリーズが使われています。Ryzen 7 6800U搭載の試用機でベンチマークテストを行なったところ、ノートPCとしては非常に優秀な結果が出ました。特に、高度な処理で求められるマルチコア性能はトップクラスのパフォーマンスです。負荷の高い処理や複数のソフトを使った作業で威力を発揮するでしょう。
ただしシングルコア性能については、インテル第12世代Coreプロセッサのほうが優秀です。ネットの調べ物やちょっとした文書作成、ファイル操作などでは、第12世代Coreプロセッサを搭載するYoga 770iのほうが有利かもしれません。
CPUの性能差 (マルチコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i7-1280P |
12396
|
Yoga 770(Ryzen 7 6800U) |
11151
|
Ryzen 7 6800U |
10183
|
Ryzen 7 5825U |
9728
|
Yoga 770i(Core i7-1260P) |
8447
|
Ryzen 5 5600U |
8411
|
Ryzen 7 5700U |
8304
|
Ryzen 5 5625U |
7580
|
Core i7-1250U |
7552
|
Ryzen 5 5500U |
6779
|
Core i5-1235U |
5989
|
Core i3-1215U |
5715
|
Core i7-1185G7 |
5668
|
Ryzen 3 5300U |
5140
|
Core i5-1135G7 |
4932
|
Core i7-1165G7 |
4711
|
Core i3-1115G4 |
3378
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
CPUの性能差 (シングルコア性能)
CPU | CINEBENCH R23 CPUスコア |
---|---|
Core i7-1255U |
1743
|
Core i7-1280P |
1733
|
Core i7-1250U |
1726
|
Core i3-1215U |
1661
|
Yoga 770i(Core i7-1260P) |
1648
|
Core i5-1235U |
1648
|
Yoga 770(Ryzen 7 6800U) |
1523
|
Core i7-1185G7 |
1484
|
Ryzen 7 6800U |
1471
|
Ryzen 7 5825U |
1433
|
Core i7-1165G7 |
1423
|
Ryzen 5 5625U |
1404
|
Core i5-1135G7 |
1349
|
Core i3-1115G4 |
1329
|
Ryzen 7 5700U |
1254
|
Ryzen 5 5500U |
1177
|
Ryzen 3 5300U |
1125
|
※10分間実行し続けた際の最終スコア。そのほかのスコアは当サイト計測値の平均
グラフィックス性能
グラフィックス機能としては、CPU内蔵のRadon 680Mが使われます。従来はIris Xeを内蔵するインテルCoreプロセッサのほうが高性能でしたが、Zen3+世代の新CPUであるモバイルRyzen 6000シリーズでは3Dベンチマークのスコアで第12世代Coreプロセッサ内蔵のIris Xeを大きく上回りました。
とは言え、さすがにゲーム用GPUである現行世代のGeForce GTX / RTXシリーズにはかないません。しかし数年前のエントリー向けGPUであるGeForce GTX 1050(2GB)のスコアを上回っており、アッパーエントリー(?)のGTX 1050 Tiに迫るスコアが出ています。内蔵グラフィックスとしては驚くほど優秀で、ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を期待できるでしょう。
GPUの性能差(DirectX 12)
GPU | 3DMark Time Spy Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
3241
|
Yoga 770(Radeon 680M) |
2407
|
Radeon 680M(Ryzen7) |
2211
|
Yoga 770i(Iris Xe) |
1632
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
1528
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
1149
|
Radeon (Ryzen 7) |
1000
|
Iris Plus |
812
|
UHD |
407
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均、すべてノートPC向けのiGPU/dGPUです
GPUの性能差(DirectX 11)
GPU | 3DMark Fire Strike Graphicsスコア |
---|---|
GTX 1650 |
8513
|
GTX 1050 Ti |
7658
|
Yoga 770(Radeon 680M) |
7521
|
Radeon 680M(Ryzen7) |
6994
|
GTX 1050(2GB) |
6157
|
Yoga 770i(Iris Xe) |
5343
|
Iris Xe(Core i7+LPDDR4x) |
4734
|
Iris Xe(Core i7+DDR4) |
3420
|
Radeon (Ryzen 7) |
3384
|
Iris Plus |
2880
|
※そのほかのスコアは当サイト計測値の平均、すべてノートPC向けのiGPU/dGPUです
PCを使った作業の快適さ
PCMark10は、PCを使った作業の快適さを計測するベンチマークテストです。一般的な作業を想定しているため、テストでは比較的軽い処理が行なわれています。各テストの傾向としては「Essentials」(一般利用)ではCPUのシングルコア性能やストレージ性能、「Productivity」(ビジネス利用)ではCPUのマルチコア性能とメモリー性能、「Digital Contents Creation」(コンテンツ制作)ではマルチコア性能とストレージ、GPU性能が強く影響するようです。
ベンチマークテストの結果は非常に優秀です。コンテンツ制作のテストでもGPU非搭載ながらGPU搭載機と同等以上のスコアが出ており、小規模な作品作りであれば問題ないでしょう。
PCMark 10ベンチマーク結果
テスト | スコア |
---|---|
Essentials (一般的な利用) 目標値:4100 |
10606
10743
9477
8362
9667
9418
10093 |
Productivity (ビジネス利用) 目標値:4500 |
8578
6474
6534
8253
8530
7927
8766 |
Digital Contents Creation (コンテンツ制作) 目標値:3450 |
7972
6389
5363
6187
8109
8486
10284 |
※スコアの目安はPCMark 10公式サイトによるもの
比較機のスペック
▶Surface Pro 8 | Core i7-1185G7 / 16GB / Iris Xe |
---|---|
▶Surface Studio | Core i7-11370H / 16GB / RTX 3050 Ti |
▶Inspiron 16 Plus | Core i7-11800 / 16GB / RTX 3050 |
▶raytrek R5-CA | Core i7-10875H / 16GB / RTX 3060 |
▶GALLERIA UL7C-R37 | Core i7-11800H / 16GB / RTX 3070 |
ゲーム性能
ゲーム系ベンチマークを試したところ、内蔵グラフィックスタイプとしては非常に優秀な結果が出ました。中量級クラスに相当するFF14ベンチの最低画質で平均60FPSを上回ったのは、はじめてのような気がします。ちょっと重い程度のタイトルであれば、画質や解像度を変更することでそこそこ楽しめるかもしれません。
ただしディスプレイのアスペクト比が16:10であるため、16:9以外に対応していないゲームだと画面の縦横比率がおかしくなる可能性があります。
※平均60 FPS以上が快適に遊べる目安
FF15ベンチ (重い / DX11)
画質 | スコア / 評価 |
高品質 | 2046/ 重い |
標準品質 | 3338 / 普通 |
軽量品質 | 4279 / 普通 |
※フルHDの結果。スコアが6000以上で「快適」
FF14ベンチ:暁月のフィナーレ (やや重い / DX11)
画質 | スコア / 平均FPS |
最高品質 | 5584 / 39.6 FPS |
高品質 | 7113 / 50.8 FPS |
標準品質 | 8787 / 63.1 FPS |
※1920×1080ドットの結果
eGPUの利用について
前述のとおりUSB4を搭載するYoga 770では、GPUボックスを経由したeGPU(外部グラフィックス)を利用できました。ただし規格的には可能ではあるものの、メーカーとしては保証していないかもしれません。またグラボやGPUボックスの種類によっては、相性などでうまく動作しない可能性があります。あくまでも「できるかも」程度に捉えてください。
ちなみに今回筆者が検証で確認した機材はグラボがPalit製のGTX 1070およびGALAXのRTX 2070 SUPERで、GPUボックスがRazerのRazer Core X Chroma。またYoga770とGPUボックスの接続には、Thunderbolt 3対応ケーブルが必要です(たいていGPUボックスに付いているはず)。
[wpap service=”with” type=”detail” id=”B08518LK35″ title=”Razer Core X Chroma 外付けGPU(eGPU)BOX ThunderBolt 3 700W Windows Mac 両対応【日本正規代理店保証品】…”]
GPUボックスとグラボを利用すると、Yoga 770のグラフィックス性能は飛躍的に向上します。たとえば3DMarkのTime SpyではRadeon 680Mの結果が「2407」であったのに対し、GPUボックス経由のRTX 2070 SUPERでは「8168」とおよそ3.4倍のスコアが出ています。このレベルであれば、重いゲームでも快適にプレー可能です。
ただしベンチマークテストではGPU本来のパフォーマンスより20~30%低いスコアが出ており、わずかにパフォーマンスが低下する点に注意してください。GPUボックスから外付けディスプレイに接続すると、ノートPCの画面に映像を出力するよりも高いスコアを得られます。
インテルCoreプロセッサシリーズでは以前からThunderboltに対応していましたが、RyzenシリーズはThunderbolt非対応でこれまでeGPUを利用できませんでした。しかしモバイルRyzen 6000シリーズがThunderboltと互換性のあるUSB4に対応したことでeGPUを利用可能となり、新たな可能性が広がったように思えます。
ただしモバイルRyzen6000搭載でも、機種によってはUSB4に対応していない場合があるので注意してください(USB4搭載でもeGPUには対応していない場合もあります)。
スキのないプレミアム2-in-1
全体的に不満のない仕上がりです。今回試用したモデルの価格は15万円台で、予算が十分にあるなら選ぶ価値は大いにあります。見た目が良く性能が非常に高く、映像もキレイで機能面もバッチリ。これでもう少し軽ければ言うことなしですが、現時点だとそこまでは技術 / 値段的に厳しいのかもしれません。先進的で未来を感じさせる機種として、おすすめします。
*
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